小学2年生になり、めっきりお姉さんぽくなってきた娘。
つい2~3年前までオムツだったのに、最近では一緒にお風呂に入って身体を洗ってあげようとすると
「プライベートゾーンは自分で洗う!」
と、断られてしまいます。
このスピードで成長すると、きっとあっという間に思春期です。
近頃の娘を見ながら少し切なく思っていると、私がはじめて生理を迎えたときの記憶が蘇ってきました。
今から30年ほど前。
奥手でシャイだった私は、初潮を迎えたことに気恥ずかしさがありながらも、嬉しくて
2つ年上の姉と母にだけ、こっそりと打ちあけました。
自分の生理用品を手に
「私も女性になったんだ……」
と、ソワソワ、ワクワクした気持ちだったことを覚えています。
翌日、学校から帰ると下駄箱の上になぜかプラスチックのパックに入った赤飯が2つ置かれていました。
どうしてこんなところに赤飯が?
……いやな予感。
ドキドキしながらキッチンで夕飯の支度をする母に
「これなに?」
と聞くと、まるで他人事のことのように言ったのです。
「あ~、それ?あんたが生理になったからお父さんが赤飯炊いて親戚に配ってたよ」
え~~~!?
なんということでしょう!
わが家の親戚というと、近所に3家族、総勢13名。
おばあちゃんやおじさん、おばさんのほか、同年代のいとこも男女ともにいます。
「なんてことしてくれんのよ~!!」
初潮を迎えたことを親戚中に知られた私は、恥ずかしすぎて大号泣!
父に猛抗議しました。
おそらく父の時代、故郷では子どもが初潮を迎えると、赤飯を炊いてお祝いするのが当たり前だったのでしょう。
でも、そんな風習は私の時代には、ほぼ廃れていました。
元板前の父は「腕の見せどころ!」とばかりに得意の赤飯を炊いて、親戚中にふるまったのです。
良かれと思ってとった行動で娘を泣かし、こっぴどく怒られた父は
「ごめん」
と一言だけ言っていじけていました。
それから数日間は父と顔を合わせても一切、口をききませんでした。
アラフォーになった今の私なら、そんな父の想いを汲んで笑って許すこともできます。
しかし、当時は思春期真っただ中。
羞恥心絶頂の私にとって、まさに「穴があったら入りたい」最悪の出来事でした。
父は8年前に他界しました。
そして、不思議なことにその翌月、なかなか子どもができず悩んでいた私のお腹に娘がやってきてくれたのです。
子どもが好きで近所の子どもたちと全力で追いかけっこをしたり、相撲をとったり、時には張り切りすぎて転んで怪我をしたり、いくつになっても少年みたいだった父。
病室で意識がぼんやりするなか
「孫っていうのが、どんなのかは見てみたかったな~」
と、つぶやいていました。
きっと空の上で孫の誕生を喜び、成長を見守ってくれているでしょう。
当時最悪だと思った出来事も、今は「あのときはありがとう」と父に言いたい気持ちでいます。
私の場合は時間が解決してくれましたが、みんなが同じ気持ちになるとは限りません。
私自身の苦い経験は、娘を育てる上で心にとどめておきたいなと思います。