書籍『日本全国「へぇ、そうだったのか!」雑学』(KADOKAWA)には、他県民からすると驚いてしまう、その地域特有のあるあるネタがいっぱいです。
その中から、思わず誰かに話したくなる厳選ネタをご紹介!
出汁のきいたつゆでのど越しの良い蕎麦をツルツルツルっと…。
鰹出汁といったら、関東の蕎麦つゆですよね。
でも実は、日本で鰹節が一番消費されているのは、関東ではなくあの南国だったんです!
果たしてその場所とは……?
沖縄県、那覇市でした!
言われてみれば、鰹節はチャンプルーなどにも使われることが多いですね。
関西人が東京へ来て驚くことのひとつに、うどんのつゆの色があります。
たしかに、関西で食べるうどんの汁は透き通った黄金色なのに対し、関東で食べるうどんの汁は黒と言っていいほど濃い色。
驚く気持ちもわからないではありません。
しかし、違っているのは色だけではありません。
汁に使われているだしも、関西が昆布なのに対し関東は鰹節。
こんな違いが生じたのも、北前船の航路のためだといわれています。
当時の海運技術では、太平洋を使って船を運航するのは困難でした。
北海道名産の昆布は日本海を通って関西へと運ばれてしまい、関東では昆布以外の食材でだしを取らざるを得ませんでした。
その〝昆布のかわり〟として選ばれたのが鰹節だったのです。
つまり、関東は昔から鰹節の消費量が多かったということ。
当然、いまも……と思いきや、なんと日本国内で最も鰹節を消費しているのは沖縄県那覇市だったのです。
しかも、一世帯が一年間に消費する金額は三三三二円。
全国平均が九三二円ですから、その三倍以上。
第二位の静岡市が一五七一円なのを見ても、ダブルスコアです。
なぜ、これほどまでに沖縄の人たちは鰹節を消費するのでしょうか。
沖縄で鰹節をこれほど大量に利用するようになったのは、江戸時代以降のことだといわれています。
薩摩藩が鰹節を中国へ輸出する際、琉球を経由していたのがきっかけで、だしに利用する習慣が始まりました。
そして、中国で鰹節が薬がわりに用いられていることが沖縄に伝わると、当時、琉球王朝で食されていた宮廷料理が薬膳志向の強いものだったことと関連し、鰹節の消費量が飛躍的に増えたのです。
ところで、沖縄は長寿県としても知られてきました。
最近はやや下降ぎみですが、二〇一三年公表の「都道府県別平均寿命ランキング」でも、女性は未だに全国第三位をキープしています。
この長寿の一因が、鰹節の大量摂取にあるとされているのです。
鰹節は昆布よりも濃いだしが出るため、料理をする際に塩をあまり加える必要がありません。
そのため、沖縄に住む人たちの塩分摂取量が少なくなったというわけです。
塩分の摂りすぎが生活習慣病の原因となることは知ってのとおり。
つまり寿命を縮めずにすんだというわけですね。
ちなみに、那覇市の人々たちの食塩購入量は一六四三グラムで全国三八位という低さです。