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公開 2015年06月06日  

「そもそも、なんで感情的に怒っちゃだめなの?」 その理由から考える、叱らない子育てのススメ

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「頭では良くないと思っていても、子どもを感情的に叱ってしまう・・・」こんな悩みをお持ちの方も多いのでは?

インクルーシブ教育研究者として、数多くの子どもの指導と、指導員の育成に携わってきた野口あきな先生が、ポジティブに子どもと関わり、子どもの個性をぐんと伸ばす子育て方法を伝授!今回は「子どもを叱らなくてよくなる環境のつくり方」を紹介します。


子育てをしていると、時にはイライラしてしまうこともありますよね。大声で泣いている子どもに「うるさい」と言いたくなったり、駄々をこねている子どもに「わがままを言わないの!」と言いたくなったり。

感情的になってはいけないと分かっていても、思わずかっとなってしまうことはあると思います。



でも、感情的に怒ってしまったことに後々落ち込んだり、結局、子どもの行動が変わらずにイライラしてしまったりするお母さんも少なくないのではないのでしょうか。

そもそも、なんで感情的に怒っちゃだめなの?

まずは「自分が感情的に叱ってしまったとき」を思い出してみてください。

「だめ!」「うるさい!」「やめなさい!」

このようなフレーズを使っていませんか?



感情的に叱ってしまうと、子どもは叱られた理由、不適切な行動がどういうものかを理解できないため、「お母さんが怒るからやらない」という考え方になっていきます。そして「お母さんがいると怒られるからやらないけれど、お母さんがいなければ怒られないからやる」という考えになり、不適切な行動を繰り返すという結果になってしまいます。

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感情的になる原因って?

「感情的に叱ってはいけない理由は分かりました。でも、どうしても子どものいたずらにはイライラして、つい大きな声で叱ってしまいます・・・」



お母さんだって人間ですから、そういうこともありますよね。



特に、家事に育児にと日々やるべきことに追われていれば気持ちの余裕もなくなっていきます。

まずは「私、ちょっと疲れているのかも?」と、考えてみてください。もし「最近眠れていない、寝つきが悪い」「自分だけが頑張っているような気持ちになる」ということがあれば、それは心がアラートをあげている証拠。アロマやヨガなど自分の好きなリラックス方法を試してみたり、相談できる人を見つけて話してみたりして、気持ちに余裕を持てるようにしましょう。



次に、子どもがパニックやかんしゃくを起こしている場面に出くわした時には、物理的に一歩下がって深呼吸をしてみましょう。子どもの感情に反応して同じテンションで叱ったとしても、子どもにはなかなか伝わりませんし、お母さんも「なんで分かってくれないの」と悲しくなるばかりです。

お母さんはぜひ、お子さんの様子を見ながら気持ちを落ち着けていきましょう。



ポイントは「物理的に距離を置くこと」。

お母さんがヒートアップすると、子どももどんどんヒートアップしてしまいます。お互いに距離を置き、子どもが落ちつくのを待ってから話すようにしましょう。

やっぱり感情的に叱っちゃった!その後どうする!?

リラックスをして気持ちに余裕を持つようにしていても、子どもと物理的に一歩離れて落ち着こうとしても、やっぱり「感情的に叱ってしまった」ということはあると思います。



まずは自分の中で整理してみましょう。

子どもがどういう行動をして、自分はどういう気持ちになって怒ってしまったのかを考えてみましょう。文字に起こしてみることもオススメです。文章にする中で自分を客観的にみられるようになり、気持ちも落ち着いていきます。



そして気持ちが落ち着いた後には「①実はこういう行動に対して、②お母さんはこういう気持ちになって、③だから感情的に叱ってしまった」ということを子どもに伝えましょう。その時にはぜひ「○○ちゃんのことは大好きだよ」という言葉も添えてください。子どもは怒られたことで頭がいっぱいになってしまっていると思いますが、お母さんが落ち着いて説明をすることで、話を聞く姿勢になっていきます。

どう伝えれば、理解してもらえる?

では、実際に子どもに伝わりやすい話し方のポイント3点をお伝えします。

基本のポイントはこの3つ!

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「ちゃんと片づけて」



大人にとっては当たり前の言葉が、子どもには伝わっていないかもしれません。例えば、絵本を部屋いっぱいに広げていた場合、お母さんに「読み終わったらちゃんと片づけるのよ」と言われたとします。でも「ちゃんと」ってどういうことでしょう?



本を一つの場所に集めるのも、本棚に取りあえず詰め込むのも、その子にとっての「ちゃんと片づけた状態」かもしれません。もしかすると、本が広がっていたとしても「ちゃんと片付いている」という風に思うかもしれません。

でもお母さんとしては「本棚に絵本を並べる」ことを「ちゃんと片づけること」と考えていたなら、きっと「どうしてちゃんと片づけなかったの!」と叱ってしまいますよね。



子どもとしては「ちゃんとしたのに」と困惑するばかり。あいまいな表現ではなく、具体的に話してあげましょう。



また、子どもを叱る時には、できるだけお母さんの話に集中できる場所を用意しましょう。例えば、テレビが映っているとどうしてもそちらが気になってしまい、お母さんの話に集中できなくなってきます。



この他、耳からの情報を受け取ることが苦手だというお子さんもいますよね。その場合は写真や絵を使って「どうすると良かったのか」を説明してあげましょう。伝えたいことを明確に分かりやすくするという点でもオススメです。



叱ること自体がダメという訳ではありません。でも、「行動が不適切な理由はこうで、実際にはどうすると良かったのか」が伝えられないと、子どもは理解することが難しく、そのうちに「お母さんの顔色をうかがいながら生活する」ようになってしまいます。

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叱らなくて良い環境をつくってしまおう!

叱ってばかりいると、子どもはもちろん、お母さんもつらくなっていきますよね。それならばいっそ、叱らなくて良い環境をつくってしまいましょう!



子どもが不適切な行動を取ってしまう時、「楽しいから」「好きだから」という理由もありますが、それと共に「ダメな理由を知らないから」という理由もあります。

学生時代、もしくは会社員の時に「そんなルールがあったなんて知らないよ!怒るくらいなら先に言ってよね」と思ったことはありませんか?



子どもも同じ、最初は「何が良くて何が悪いか」なんて知らないものです。そのため、どういう行動が良くて、どういう行動が不適切かを事前に伝えてあげましょう。そして適切な行動ができたときには、しっかりと褒めてあげましょう。その繰り返しで、子どもは適切な行動を学んでいくことができるようになります。

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まとめ

さて、今回は「どうして感情的に叱ってはいけないのか?」「感情的に叱ってしまう原因」「感情的に叱ってしまった時、その後どうする?」「叱るときのポイント」「子どもを叱らなくてよくなる環境のつくり方」の5つのポイントをお話させていただきました。



褒め方のポイントでもお伝えしましたが、パパママの関わり方一つで子どもの成長は変わってきます。

ぜひお試しくださいね!

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