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公開 2021年12月11日  

【クリスマスに♪】音楽は「音で楽しむ」もの!遊びながら自己表現も

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大人も子どもも、楽器経験の有無にかかわらず参加できる音楽の即興ゲームを集めました。楽しく遊びながら自己表現や協調性が学べます。


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音楽といえば、譜面通りに楽器で演奏するもの……そんなふうに思っていないでしょうか?

もちろん、プロの音楽家たちは長い歴史のなかで素晴らしい音楽をたくさん作り、それらは楽譜に起こされてきました。

けれども、必ずしも音楽はそうしたプロの音楽家だけのためのものではありません。

たとえ楽譜が読めず楽器が弾けなくとも、誰でも音楽に参加して楽しむことはできます。


では、どのように参加すればよいのでしょうか?

そこでオススメしたいのが『おとなと子どものための即興音楽ゲーム』(山田衛子訳、音楽之友社、2002年)

という1冊です。

本書では、楽器の経験の有無にかかわらず、誰もが楽しめる音楽の方法をゲーム形式で多数紹介しています。


著者の人生を決定づけた衝撃的な出来事

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著者のリリ・フリーデマン(1906~1991)は、音楽大学時代に高名な作曲家のもとで学び、卒業後はヴァイオリン奏者として主にクラシックを中心とした音楽活動を行ってきた人物です。

プロフェッショナルな演奏家としてキャリアを重ねていましたが、50歳の頃にその後の人生を決定づける衝撃的な出来事に遭遇したといいます。

それは、音楽家仲間で集まって会議をしていたときのこと。

そのうちの1人が

「こんなに大勢の音楽家が集まっているのに、楽譜がないというだけで、一緒に何も弾けやしない。こんなことでいいのか?」

といった趣旨の発言をしたそうです。

この言葉にフリーデマンは衝撃を受け、以後、必ずしも譜面を用いることがない自由な即興演奏を中心とした音楽活動へと軸足を移していくこととなりました。


ちなみに即興演奏とは、事前に決められた曲を再現するのではなく、その場で臨機応変に曲を作っていく演奏スタイルのこと。

フリーデマンは、音楽大学などで即興演奏のレクチャーを行うとともに、自身でも即興演奏を中心とした音楽を制作する活動に取り組んでいきました。


どんな音楽ゲームがある?

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そんなフリーデマンが77歳になる1983年に出版されたのが本書の原著です。

親子向けの音楽ゲーム集となっていますが、そこには即興演奏に捧げた半生で得た著者の教訓が注ぎ込まれているといえます。

本書は大きく「太鼓を用いたゲーム」「踊りや動きを主としたゲーム」「音や響きを使ったゲーム」の3つのセクションに分かれており、それぞれ10種類前後のゲームが紹介されています。

ゲームに参加するためには、基本的には特別な楽器演奏技術は必要ありません。

なかには、手ぶらでも参加者と適度な広さのスペースさえあれば実行できるゲームもあります。


たとえば冒頭で紹介されている「名前さけび」。

参加者は輪になり、(太鼓やバケツなど叩くものがない場合は)膝を叩いて音を出しながら、好きな順番で自分の名前を叫ぶというごくシンプルな遊びです。

叩く音量は全員で一緒に緩やかな強弱をつけます。

内気な子でも、大音量のシーンであれば名前を叫ぶことができるかもしれません。

このゲームを通して、自分を解放したり、集団で打ち解け合って楽しむことができるようになるとフリーデマンはいいます。

本書ではほかにも、音をダンスで表現したり、何を表現している響きなのか当てたり、多種多様なゲームが紹介されています。

なかには一筋縄ではいかない複雑なゲームもあるので、楽器演奏に慣れた人でも楽しめることでしょう。


失敗を恐れずチャレンジしよう!

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大切なのは、周りの目を気にせずに自己表現にチャレンジしてみること。

そして、集団で協調しながらコミュニケーションを取ることです。

どちらも人間社会では重要なことですが、大人になっても苦手意識を持つ人は少なくないはずです。

現実の社会生活では、自己表現や集団でのコミュニケーションにつまづくと、そのまま大きな失敗につながることもあり得ます。

その点、即興音楽ゲームであれば、遊びながらなんどでもチャレンジしてみることができます。

譜面を用いた音楽のように正解がないため、失敗を恐れる必要もありません。


著者のフリーデマンもこのように述べています。

「どうか、すべてをあまり真剣に考えすぎないように。これはあくまでもゲームなのだから」(本書、93ページ)

そうして遊びながら生まれた音楽は、たとえ全員が音楽のアマチュアであったとしても、決してプロには真似できない唯一無二のクリエイティブな価値を聴かせてくれるはずです。

近年では、音楽療法の分野でもあらためて注目が集まっている即興音楽ゲーム。

「音楽はプロだけのもの」という固定観念を捨て、大人も子どもも遊び感覚でいちど楽しんでみてはいかがでしょうか。


※ この記事は2024年03月06日に再公開された記事です。

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