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公開 2021年09月14日   更新 2022年09月09日

「おもちゃ永遠に片付かない」を考察したら、ほんのりエモい結論でした。

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1人目を産んでから12年。「よく似たものがたくさんあるんだからそろそろやめよう」そう思ってもどんどん増え続けるオモチャ達を巡る12年の軌跡(大げさ)


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そんなに沢山いらないはずだった…

私が第一子の息子を出産して退院してきた日、我が家にはベビーベッドとベビー服、あとは最低限の赤ちゃん用品があるだけのほぼ大人仕様で、小さな子ども用のオモチャはまだひとつも用意されていなかった。

確か息子が最初に手にしたオモチャは出産祝いのベビー服の包みの中に入っていたパウダーブルーの布製ガラガラだったと思う。

その後にプレゼントしてもらったのは、キレイな色の外国製の布の絵本、それから木の輪っかに鈴のついたオモチャ、どれもデザインが素敵で当時まだ駆け出しのママだった私は

「我が家にはこういう自然の素材で、愛らしいデザインのオモチャを揃えよう、そして気に入った少しのものを長く大切に使おう、そうしよう」

そう思った。

思っただけだった。


息子誕生から2年もたたないうちに、自宅にはプラレールとトミカとブロック、それに毎月家に届く幼児用の通信教材の小さなオモチャが自宅のあちこちに転がるようになった。

音が鳴る物、光る物、大体がプラスチック素材のキャラクターもの。

だって小さい息子が喜ぶから。

増えすぎて片付かなくなったオモチャの収納の為にと用意した大人の腰位の丈のカラーボックスはあっという間に飽和状態になり、長女を妊娠した頃にはそこに収まり切らず雪崩を起こすようになったオモチャを眺めながら私は、次生まれて来る子にオモチャは極力買わないようにしようと心に誓った。

乗り物系のオモチャは沢山あるし、おままごとセットも、可愛いぬいぐるみもいくつもある、それできょうだい一緒に遊んだらいい。

そう思って、長男とは2歳5ヶ月差で生んだ長女が1歳になった頃、オモチャ箱用のカラーボックスは2つになった。

そしてこの長女から少し間をあけて、6歳差で生まれた次女が3歳の今

我が家の和室の壁を巨大なオモチャ用の収納棚が占領している。

これ、もしかしたら勝手に増えているのかもしれない。


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春の仕分け祭り

そう思いたいところだけれど、オモチャは勝手に増えない。

親と、あとは祖父母や伯母や叔父、そういう周囲の大人達が買ってしまっているから増えているのだ。

知育にいいのかもしれないとか、お誕生日だからとか、クリスマスだからとか、そんな口実を見つけては

「これどうかな、喜ぶかな?」

そんな風に考えながらつい手に取っては買い求め、綺麗に包装してもらう。

小さな子どもに贈り物を選ぶという行為は、私も覚えがあるけど、とても楽しい。

ただ最近は12歳の長男と10歳の長女の2人は、ゲームやアニメに夢中でオモチャでは遊ばなくなってしまった。

数年前、あんなにばぁばに「欲しい」とねだって買ってもらったぬいぐるみがおもちゃ箱の中から私を恨めしそうに見つめている。

それならもう家にあるオモチャは綺麗に処分してしまおうかなとも思うけれど、ウチにはあと1人現役幼児の次女がいる。

そこでここ数年は子ども達の学年が変わる春頃、盛大に自宅にあるオモチャを収納箱から出して部屋に広げて

これは使える?

これは壊れてるけどいる?

ねえこれは…一体何?

そうやってオモチャの『仕分け式』をしている。

長男が生まれてからの12年間、その後に生まれた2人の妹も含めて3人分増え続けていたオモチャの中で壊れている物、使ってない物、そしてもう元々は何だったのか既にわからない物なんかは、ひとつひとつ子ども達の決定を仰いだ上でお別れしている。

これが意外と大変で、何しろ中にはドールハウスのセットが山盛りある。

可愛いけれど親にとっては掃除の宿敵でもある小さな動物達とお家のセット、その中の米粒位のオモチャのクロワッサンまで仕分けの対象になる。

もう何食わぬ顔で掃除機で吸ってなかったことにしたい。

でもそうはいかない。


そしてここでは「大体アンタ達こんなの今ひとつも使ってないでしょう」という物が、例えば赤ちゃんの頃に使っていた紐を引っ張ると音が鳴る小さなクマなんかが

「ダメ、絶対捨てないで」

子ども達の強い希望でもう何年も残留したりしている。

でもこうして必要そうな、そして一応使える物だけを手元に残しているし、それで十分楽しく遊べているんだからこれ以上のオモチャはもういらないんじゃないかな、そう思う私の気持ちをヨソに、今日も我が家のオモチャは増え続けている。

それもとても細々としたものばかりが。


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オモチャは増えるよどこまでも

原因は、今のこの時代と関係している。

かもしれない。

『マスク、消毒、人込みを避ける』この3つが外出の大原則になったここ2年程の間、末っ子の次女には基礎疾患があるという事情もあり、お休みの日は、まだ人が少ない早朝の公園なんかに夫が車で連れて行ってそこを散歩するのが恒例になった。

次女は午前中によく歩くと午後、お昼を食べた後に少しお昼寝をしてくれるし、そうしたら私もその隙に仕事ができる。

それを助かるなあ、ありがたいなあと思っていたら、小さな手のひらサイズのオモチャが、キッチンのカウンターの上、ダイニングテーブルの下、そしておもちゃ箱の隅、幾つも家の中で発見されるようになり

「ねえ、これなあに?」

次女にそう聞くと、次女は

「ガチャガチャシタノ!」

そう答えて、そして更に

「パパトシタノ!スーパート、デンキヤサン!」

それは公園までの道中、ちょっと買い物にと寄り道したスーパーや家電量販店の通路なんかにずらりと並んでいるガチャガチャに、パパが手渡してくれた100円玉を2枚入れて回し、手に入れてきたものだと言う。

いや、いいんですよ、私が掃除したり食料品の買い物に出ている間、夫が次女と長女を外に連れ出してくれているのはとても有難いんですけどね。

大抵の小さな子どもは、お金を入れてレバーを回すと楽しいオモチャが出て来るあの箱を見ると絶対一度は回したがるし、私も長男が小さい頃は、出先でぐずると可愛いオモチャをひとつ、レバーを回して買ってあげていた。

そうすると機嫌が直るし、とても助かっていた。

ただ、一度あのくじ引きみたいなガチャガチャの楽しさを覚えてしまうと、割と大きくなるまで子どもはそれを欲しがるようになるし、そしてキリがない。

結果、あの小さくて可愛いオモチャの類が家に溢れかえる事になる。

しかもこの小さな手のひらサイズのオモチャは、手に入れたその時はとても喜んで遊ぶけれど、家に持ち帰った頃には飽きてしまっている事がしょっちゅうで、その小ささ故に部屋のあちこちに紛れ込み、ラグの下に潜り込んだりしているのをたまに踏むとこれがまたすごく痛い。

でも、また休みの日に出かけた先でまたやりたがる。

そして次女は今3歳

「今日はガチャガチャはやらないよ、また次の時にしようね」

そんな提案が微妙にまだ聞き分けられないお年頃だ。

今日も小さなオモチャたちは増え続けている。

私はもう諦めて、また新しく小さなオモチャ用の収納箱を作った。3歳児というのは恐ろしい生き物で、これはもういいんじゃないのとか、ふたつ同じのがあるじゃないと親が思ってそっと捨てようと思ってもそれを刻銘に記憶していて

「アレドコイッタ?」

と言って泣く。

仕方なく私は全部を取っておく羽目になる。

もしかして子どもというのは、記念日に買ってもらった大物よりも、こういう『パパと日曜日にスーパーに行った時にねだって買ってもらったガチャガチャのオモチャ』のような、小さなものの方が嬉しくて、記憶に残るものなのかもしれない。

そう言えば、次女が乳児の頃に買って以来、別に本人達が使った訳でもないのに、長男や長女が

「絶対に捨てないで」

と強く主張している「紐を引っ張ると音が鳴るだけのクマ」というのも、その辺で適当に買ったものだった。

そしてそれは生まれてから4ヶ月程入院してなかなか家に帰ってこられなかった次女にと思って購入したものでもある。

生まれてから退院までがちょっと普通の子よりも長くかかって、なかなか帰って来てくれなかった妹の病院での画像や動画にいつも映り込んでいたそれに長男と長女は思い入れがあるらしい。

オモチャって、そういう子どもの思い出が付いてくるので、なかなか減らない。

多分あと数年、春のオモチャの仕分け式は続くだろうし、前述のクマは半永久的にこの家にいて、そして次女のガチャガチャのオモチャもあと数年増え続ける気がする。



※ この記事は2024年03月10日に再公開された記事です。

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