娘さん(現在4歳)に真剣に向き合う中で、日々気づいたことをエッセイ漫画で綴ってきたさざなみさん。
深い洞察から生まれた漫画は、共感したり、思わず「なるほど~!」と頭に「!」マークが広がるような発見にあふれています。
そんな5万フォロワーを有するさざなみさんのtwitterでも大反響の漫画が、一冊の本『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!』(KADOKAWA)にまとまりました。
考える母、さざなみさんに、著作やお子さんとの向き合い方について聞いてみました。
―― さざなみさんが、子育てをしていて幸せだな、嬉しいなと感じるときはどんなときですか?
子どもが私を信頼してくれたときに、日々幸せを感じます。
差し出した手をきゅっと握ってくれたとき。
頑張った成果を見せてくれるとき。
発見したことをいち早く教えてくれるとき。
お母さんなら応えてくれる、と信じている子どもたちを見ると、「良かった、気持ちが伝わってるな」と思います。
―― 可愛い子どもたちの子育てですが、そんな中でもやはり戸惑うことも沢山ありますよね。さざなみさんが、子育てを通して驚いたことや、自分自身が変わったなと感じることはありますか?
書籍の中の「親子で人見知りを克服する話」 で、子どもが自分とは別人だと悟る瞬間があります。
私自身がかつて、そうだったからという理由で、以前は幼稚園でみんなの輪に入らずひとりでいた長女のことも、ひとりが気楽なタイプなのだと思い込んでいました。
でも、遊んでいるみんなを寂しそうに見つめる長女の表情から、本当は輪に加わりたいのだと気づきました。
その時、わが子とはいえ感じ方も考え方も違うひとりの個人なのだとハッとしました。
そこから、子どもへの接し方を変え、子どもの気持ちを自分基準で決めつけることを止めました。
その代わり、注意深く観察したり、子どもに合わせて伝え方を工夫するようになりました。
こんなに丁寧に誰かとコミュニケーションを取ろうとしたのは、私の人生で初めてのことでした。
―― さざなみさんは、どうしてそういう反応するのかな?と、子どもの目線に寄り添いながら理解しようとする姿が印象的です。子どもへの接し方で、何か心がけていることはありますか?
子どもを産んでから、育児の中の色々な場面に想起されて、幼い頃の記憶が鮮明にあることに気づきました。
一つの出来事を思い出すと、数珠繋ぎにそのときの状況や気持ちが蘇ってくるのです。
面白いことに、記憶の中の私はいつも、幼いなりに自分の考えを持っていました。
子どもは、大人には理解できない行動をしたり、要求をすることがよくあります。そんなときは、きっとこの子なりの理由があるんだろうなと考えるように心掛けています。
『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!』”ほめられると泣く子”より
―― 本のタイトルには、どのような想いがこめられていますか。
私の育児は、「我が子と言えど、自分とは別の人間なのだ」と気づくことから始まりました。
そして、子どもとどうコミュニケーションを取るか、どんな言葉なら伝わるだろう?と、あれこれ思い悩み、試行錯誤を繰り返してきました。
本の中でも、子どもの気持ちを想像こそすれ、決めつけることはしないように心掛けています。
逆に、私が子どもに伝えたいことも、全て伝わっているとは思い込まないようにしています。
だけどもし、一つだけ絶対に確実に子どもの心に届くなら、「どんなときでも味方だよ」という言葉を伝えたいです。
どんなあなたでも構わない、あなたがあなたのままでそこにいてくれるだけで嬉しいんだという想いを本のタイトルに込めました。
―― その気持ちに、すごく共感します! 最後になりますが、この本がどんな方に届くと良いと思われますか。
育児に関わっていると、孤独を感じることがよくあります。
小さな子どもとの生活の中で、いろんなことを感じ考えるのですが、それを誰かと共有する時間は意外と少ないですよね。
子育て期間は、人生で一番と言っていいほど大きく心を動かされ、考え方が変わる瞬間が沢山あるはずですが、きっと、あっという間に過ぎ去ってしまいます。
そんな時を留めておきたいと、私個人が感じたり、考えたりしたことを、これまで育児漫画として形にしてきました。
でも、きっと私が書き留めたことは特別なことでもなく、誰もが一度は胸に抱く思いなのだと思っています。
私の漫画に共感したり、何かを考えるきっかけになってくれたら嬉しいです。
育児に関わったことがある人もない人も、幼い頃の自分のことを思い出したり、育ててくれた親の気持ちを想像したり……。読んだあと、優しい気持ちになってくれたらいいなと願っています。
(編集・インタビュー:コノビー編集部 柳澤)