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公開 2020年11月20日  

これはアリかも!母の「褒められ待ち」スタイルが、家庭円満のヒケツ

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母親って、もっと褒められてもいいはずですよね、何かと!


人知れず、今日も母は運んでいる


重い……重すぎる。

そりゃ13キロになった3歳の娘を抱っこするよりは軽いけど、今私が持っているのはハードカバーの20冊の絵本。

それらを持って、娘の手を引き、定期的に市の図書館へ向かう。

家を出た時はヒィヒィ言いながら運んでいたけれど、図書館の階段を登る頃には、もはや「ふんぬっ!」と気合を入れながらじゃないと運べないレベルなのである。


目新しい絵本を求めて

我が家での就寝前ルーティンには、絵本の読み聞かせが入っている。

家にも絵本はあって、繰り返し読んでいたのだが、私も息子も同じ絵本を読み過ぎてマンネリ化してしまっていた。

お決まりの展開もいいけれど、新しい絵本を読んで、次はどうなるのかワクワクするのも良いではないか。(というか、親の私もしたい)

そんなわけである日、図書館に足を運び、読んだことのない絵本を借りてみた。

息子は目新しい絵本にたいそう喜び、そしてそれらを読み終わると、このシリーズの続きが読みたいな~!と言うので、合点承知とばかり私は図書館に頻繁に通うようになった。

そんなわけで、今日も重い。

重い20冊を運ぶ。

図書館からは、新型ウイルスの影響で1回の貸出冊数は増やす分、来館回数を減らしてくださいとのお達しが出た。

それで毎回、限度いっぱいの20冊を一気に借りて、またそれらを携えて20日後に私はこの場所に戻ってくるのである。


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本の重み(文字通り)

「図書館の絵本ぜんぶ読み終わった~。また借りてきてね」

うん。簡単に言ってくれるな、息子よ。

「いやいや、これがね、重いんですよ~。

この絵本全部持ってさ、車庫行って、車乗って、図書館行って、階段登って……、とにかく重いのよ。

すごい疲れるんだからさ、簡単に言わないでよ~」

こんなこと言っても仕方ないと分かっちゃいるけど、小言の一つでも言いたくなる。

ところが、それに対して息子がひとこと。

「え、別にこれくらい、重くないし」

「いや重いって」

「重くないよ」


な・ん・だ・と!?(怒)


「じゃあ明日図書館行くから、息子が絵本全部持ってよ!お母さん手伝わないからね!」

みなさん。

あらためましてどうもこんにちは、大人げない母親です。

いや、でもよく考えると、これも良い経験になるに違いない。

実際やってみないと分からないことがある。

息子のドキドキワクワクの読み聞かせタイムは、この母の頑張りのもと、成り立っていることを肌で感じてもらいたい。


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いざ、図書館へ!


そして翌日。

じゃ、よろしく!と息子に絵本20冊入りの重いカバンを持たせた。

来るぞ、来るぞ。

「え~こんなに重いの無理!」とか

「お母さんこんなに重いのを毎回運んでくれてたの!?」みたいなやつ。

むふふ。

「こ、これは……」

うんうん。

「か、かる~い!」

え……!?

「ぜ、全然、重くな~い」


はは~ん。

これはもうね、ダウト!です。

重くない、と言いつつ全然進んでないし、めっちゃ歯を食いしばっていますし、ね。

そうだ、そういえば私は肝心なことを忘れていた。

彼は、「6歳の男子」なのだ!

毎日見えない敵と戦って、家の中をダッシュで移動して、一挙一動ドゥーン!バーン!デュクシ!と言いながら歩き、お風呂に入る前に、ちょっと息子くん筋肉ついたんじゃない?どう思う?と聞いてくる、典型的男子なのだ。(毎日言うけど、それ、骨だよ)

そんな彼が、お母さんが「重い」と言ったものを、「そうだね、重いねぇ」なんて言うはずなかったのである。

結局息子は亀の歩みよろしく、肩にカバンの紐を食い込ませながら、休み休みなんとか歩いて、図書館に到着した。

「はぁはぁ。ぜんぜん、重くなかった……」

いやいや、息切れとるやないかい!

と、ツッコミたかったのだが、弱音を吐かず、初心を貫いた息子の姿はなんとも意地らしく、ちょっと頼もしささえ覚えてしまった。

一方で帰り道、私がまた20冊入りのカバンを肩に掛けると、それには目もくれず、いたってナチュラルに、妹と手を繋いで先を歩く息子がいた。

私は、そうだよねぇ、重いもんねぇ、とニヤけながら、彼らの後を追いかけた。


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そしてその日の夜

早速今日借りてきた絵本を持ってきた息子に、聞いてみた。

「ねえねえ、今日本当に重くなかった?」

「えーと、重くなかったけど、思ってたより重かった!」

「そうかそうか~。お母さんは毎回あんな感じで絵本を借りに行ってるんだよね」

今まで自分が見えないところで行われていた、絵本の貸出と返却の大変さを身に染みてわかってもらったところで、私は1つ提案をした。

「そんなわけで、これからはお母さんが絵本を借りて来た日には、ここぞとばかりに褒めて下さい!」

息子はなにそれ~!と爆笑していたが、それ以降、新しい絵本を借りてきた時には大袈裟に感謝してくれるようになった。

「お母さん、重かったねぇ~!ありがとうねぇ~!」


依頼した上でもらう、「ありがとう」。

それでも十分嬉しかったりする。

なぜなら心の中では思ってくれているのだ。

それを実際言葉にしてもらうだけで、こっちの心はグッと上を向く。

夫との関係だって、そう。

「夕飯、新メニュー挑戦したけど、コメントあるかな!?ってやっぱり気付かない……!どうせ私の努力なんて……もう!」と静かに不機嫌になるよりも

「新メニューどう?!ポジティブな意見のみ受け付けます!」

「はい!すごく美味しいです!また食べたいです!」

と茶番をやっていた方が、私達夫婦は上手くいっている。

「ありがとう」をはじめとする感謝の言葉は、労力や手間をかけてくれた相手に対する一番シンプルなお返し。

お金がなくたって、時間がなくたって、すぐ出来てしまう優れモノ。

一方で、そのシンプルさゆえにないがしろにされてしまいがちだから、ここでひとつ、その価値を見直したい。

事実、私はその言葉ひとつで、次も頑張れたりするのだから。


そんなわけで、褒めてもらったところで、20冊の絵本がグンと軽くなるわけではないのだけれど。

母の図書館へ向かう足取りは、いくらか軽くなった。

次は、どんな言葉で褒めてもらえるのかなァ。


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※ この記事は2024年02月10日に再公開された記事です。

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