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「ゲームに夢中」は不安になる?でも、それは家族の大きなチャンスかもしれない

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多くの親を悩ます「子どもとゲームの関係性」。
夫婦でマンガ家ユニットを組み、ゲームを題材にしたヒットマンガを多く制作されているうめ先生にゲームとの上手な向き合い方を伺いました。

自宅で過ごす時間が増え、子どもとゲームは今や切ってもきれない関係に。

それでもついゲームを長時間やっている子どもをみると「いつまでやっているの?」と声をかけたくなったり、「こんなにゲームばかりしていて大丈夫なのだろうか?」と、不安な気持ちがよぎる方もいるかもしれません。

多くの親を悩ます「子どもとゲームの付き合い方」。

今回は夫婦でマンガ家ユニットを組み、ゲームを題材にしたヒットマンガを多く制作されているうめ先生にお話を伺いました

親たちが抱くゲームへの不安の正体は一体何なのか?

気になる子どもとゲームへの向き合い方や育児観についてお話を聞いてみました。

*漫画家「うめ」 プロフィール*

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小沢さん(右)がシナリオの担当、妹尾さん(左)が作画を担当する漫画家ユニット。
現在連載中の『東京トイボクシーズ』では、e-sportsとそれにまつわる社会の軋轢と戦う主人公を描いている。ゲーム開発者について描いた『大東京トイボックス』は、2012年マンガ大賞で2位となり、ドラマ化もされ話題に。
現在12歳と9歳になる娘さん達が生まれた当初の2人の家事育児の奮闘を、パパママ両方の視点から描く育児漫画『ニブンノイクジ』はCakesにて人気連載中。

「ゲームやろう」僕からは誘わないと決めていた

―― 娘さんたちとは一緒によくゲームをされるんですか?

小沢:それこそ妹尾は、第一子の陣痛の合間にもゲームをやっていたくらいなんで、産まれる前から子ども達はゲームが家にある環境で育ったんです。
僕自身もゲームはよくやります。

妹尾:ちょうど「逆転裁判」にはまっていた時期で、陣痛中でもやめられなかったんです。笑

上の娘は今、「ゼルダの伝説」シリーズにはまっているんですけど、娘が夢中になっているのを見て私もやることにしました。
「ここまでクリアした!」と娘に報告すると、「かーたん、頑張ったね!」とほめられます。

ゲームを通して完全に友達みたいになってますね。同じ話題があるのは、単純に楽しいです。

―― お子さん達がゲームをやり始めたきっかけは?

小沢:今、子ども達は12歳と9歳ですが、初めてやったのは3歳くらいからかな。Wii Uからはじめました。

親がゲームをしているのを見て、子どもから「やりたい」といってきたんです。「じゃ、やってみる?」という感じでした。


でも、実はこの始め方にはこだわりがあって、僕から「ゲームをやろう」と誘うことは絶対しないでおこうと決めていたんです。

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―― お子さんがやりたいと言い出すのを待っていた、ということでしょうか?



小沢:僕自身、子どもの頃に父親にキャッチボールをよく誘われたんです。
僕の親には「親子でキャッチボールをする」のが、フレンドリーな家族という幻想があったようで……。

でも、僕はそれがすごく嫌だった。

ボールをとれないと怒られたり、バカにされたり。そのうえ、近所の人がよく通る場所でわざと僕とキャッチボールをしたがったりしました。
そういうのがすごく嫌で一時期、野球に限らずスポーツをすることも、する人も、見ることすらダメだったんです。
だから、子どもに何かを強要することだけはしたくなかったんですよね。



―― でも、いつかは一緒にゲームをやりたいと思っていた?

小沢:やりたいというよりは、ゲームをやる人を否定的に見て欲しくないというぐらいかな。ゲームをやるかやらないかは自分の意思で決めてくれればいいし、子どもがやりたい!と思えば一緒に楽しみたいというぐらいの気持ちでした。

同じ家庭に育っても、長女はよくゲームをしてますが、次女は友達が来た時くらい、という風に違いはあります。


――ゲームがお子さんに与えた影響で、良かったなと思うことはどんなことでしょうか?

妹尾:娘はゲームで、地形や植生の知識を自然と身につけていたりします。あとゲームの中で遺跡を散歩しながら、その世界の歴史を案内してくれたこともあって、あれは面白かった。ここはこういう地形だから、こうやって攻められたんだよと説明してくれたりして、深いところまで良く味わってるなと感心することもあります。

小沢:ただゲームを通じて、現実の知識を増やしてほしいとは、さほど思ってません。まあ、武将の名前くらいは、ちょっと楽に覚えられますけど。
ゲームが与えるよい影響の本質は、考える、実行する、結果を見て、もっと良い方法を考える、というサイクルを安全に、何度も挑戦できるところにあると思います。

親と違って、ずっとその相手をしてくれるのが、ゲームのすごい所です。


妹尾:娘のゲームプレイを見ていると、なぜそんなに素早い判断力で対応できるんだろう?と感心します。
私が1時間かけてできなかったことも、娘があっさりクリアできたりすると、単純にすごいなと思ったりしますね。まだまだモノによっては負けませんが。笑



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ゲームをやる上での家庭のルールは?


―― そうは言っても、やり過ぎるとゲーム依存症になるのでは?など、心配している方も多いと思うんです。ゲームをやる上で決めている、ご家庭のルールはありますか?

小沢:ゲームをすることと、ゲーム依存症を簡単に結びつけて心配することは、とりあえずしなくてよいと思います。それ以前の部分、家庭ごとの生活習慣との折り合いをどうつけるか、をまずは考えることが大事かなと。うちは、基本的にその日にやらなければいけない勉強、あとは生活面で歯を磨くとかお風呂に入るとか、ごはんを食べるとか、そういった事がその日のうちに終わるのであれば、基本的に好きにやってもいいという感じです。

ご飯は、家族みんなで食べるようにしてます。ただゲームの区切りが悪いときは、それを見ながら先に食べてることもある、くらいのゆるさです。勉強以外は、就学前からこんな感じでしたね。

妹尾:私が残酷描写が苦手なのもあって、その手のゲームはそもそもやらないですね。

小沢:レーティング*は、参考にしています。映像のレーティングのように単に対象年齢がわかるだけでなく、暴力的なのか、性的なのか、残酷描写なのか、などレーティングの理由が細かくわかるのは便利です。この辺りは、ご家庭ごと、お子さんの傾向ごとに、判断すると良いと思います。とはいえ、うちの場合は、結果として、ほぼその年齢に応じたものしかやってないですね。

*レ-ティング…ゲームソフトの暴力表現や性表現などの表現内容に基づき、対象年齢等を表示する制度。


―― ゲームに夢中になって寝るのが遅くなるのも心配だと思うのですが、寝る時間について決めていたことはありますか?

小沢:たしかに、夜な夜なやってしまうのは心配ですよね。うちは幸い、睡眠時間を削ってまでゲームをするということはいまのところないです。今、長女は通学時間が長いので、あまり夜遅くまで起きていると身体が持たないという自覚があるみたいで。休みの前日に、たまに遅くまでやることがあるぐらいですね。

妹尾:この間、夜中の12時にダウンロードするタイプのゲームがあって、小沢がダウンロードすれば?と、娘を誘ってましたけど、娘の方から「体力もたないからやらない!」と逆に言われていました。笑


親が抱える罪悪感の正体は?

―― 小沢さんや妹尾さんが子ども時代は、今よりもゲームに対しての否定的な意見も多かったのでは?

小沢:僕が子どもの頃は、「ゲームをやるな」というより、「ゲームなんて、くだらない」「こんなものをやるなんてだめなやつだ!」という言われ方をよくされました。
でも、自分が楽しんでいるものを、そんな風に大人にばかにされるのって、子どもとしては心地よくないじゃないですか。
だから、当時は理解できないほうがおかしいよね?と心の中で反発していました。


でも不思議なことにね、妹尾が洗い物をしている間に自分がゲームをやることに、なぜだか罪悪感を感じることに気づいたんです。

うちは僕が料理をして、妹尾が皿などの洗い物をするという役割分担なので、「わるいこと」ではないはずなんですが。




―― 小沢さんにとっては自由時間だったのに、ゲームをやるのに罪悪感を感じたんですね?

小沢:で、あれ?この気持ちは一体なんだろう……と思って。

妹尾に、そこは罪悪感かんじるとこじゃないからって、すごく言われて。そうやって言われていくうちになんとなく段々と慣れていって、今はその罪悪感がだいぶなくなったんですが……。
原因を考えていくと、子どもの頃、親が僕にくだらない!と言っていたことが、今でも罪悪感として僕の中に無意識に残っているのかもしれない、とは思います。

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何かを好きになる力は人生の大事な力になるから


―― だからこそ、お子さんにはそういうタブー感を感じてほしくないという気持ちなのでしょうか?


小沢:それは、すごくありますね。

多分、僕たちの親世代はゲームも漫画も良くないものっていう、そういう時代だったと思うんですね。
でも僕は何かを好きになる気持ちっていうのは、とても大切だと思うんです。

子どもの時に何かにのめり込んで、好きになった気持ちは、おそらく一生人生を引っ張っていくほど価値のあるものだと思うので。

しかも、その「好き」という感情が作られやすいのは子供のころに限られていて、その時期に、親から否定的なことを言われていない、できれば肯定されるというのがすごく大事。

そうすると、その力は強くなるんですよ。すごく。


例えば、妹尾なんかは、あまり親から否定されずに育ったんですよね。

――妹尾さんは子ども時代、どんなことに夢中になっていましたか?

妹尾:ゲームより漫画に夢中でしたね。漫画は1巻読み始めたらやめられなくなって最後の巻まで寝ないで一気に読んでしまったり。

モチベーションが落ちた時や、迷った時に今でも読み返すのは、『ガラスの仮面』です。22巻をひたすら読み返したりしてます。

うちは母も漫画好きで、大人が買いに行くのは恥ずかしいから、ちょっと買ってきて……と私にお金を渡してくれるような感じだったので、コンテンツを楽しむことを否定された記憶はないですね。

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―― そんな妹尾さんを小沢さんから見て思うことは?

小沢:妹尾の場合、何かを好きになった時に、のめりこむ力が僕と全然ちがいますね。

最近ですと海外ドラマを一気見するとか僕は割とできないんですが。

妹尾は一気見を平気でやった挙句に、関連書籍を読み漁っていく。好きなものにのめりこむスピード感やバイタリティがすごい。


この僕と妹尾のバイタリティの違いは幼少期にあるんじゃないか?というのが僕の仮説。


なので親が子どもをばかにしないという事は、子どもの自己肯定感やその後の人生を培うバイタリティに、すごくつながるんじゃないかなと思っています。

だから、ゲームであれ何であれ子どもが夢中になっているものを大人の都合で安易に否定したくない、という気持ちが強くありますね。



ゲームへの漠然とした不安との向き合い方


―― ちなみに現代のゲームに対する状況は変わってきていると感じますか?
「子どもがゲームをやりすぎるとなんだか不安」という気持ちとどう向き合ったらよいでしょうか。


小沢:何年か前の同窓会で、元同級生から「うちの子がゲームをすごくやっていて、どうしたらいいか分からない……」と、真剣に相談をされたことがありました。

僕はちょうどそのころ『大東京トイボックス』というゲーム開発者の漫画を描いていたころで、同世代だけどゲームに対する意識がこんなにも違うのか……と思いました。

妹尾:きっと不安の正体って、単純にゲームの事がよく分からないからというのもあると思うんです。人って分からないものに恐怖を感じるのかなと。

なので、ゲームをやるお子さんをいきなり否定的な目で見るのではなくて、興味を持ってそれ何してるの~?どうして進めないの?とコミュニケーションをとっていくだけで、違うのかなと。本当は親もゲームを一緒にやれると一番いいと思うんですけど、それが難しければ親の方から理解しようという姿勢を見せる事も大事なのかなと思います。子供がなにを考えてゲームと向き合ってるのか少しでも理解できれば、不安も減ると思うんです。

ゲームって、進めないと友達とやり取りして、ああそこ、こうやるんだとか、じゃそうやってみようか?と一緒に考えたり、積み重ねから学んだり、アウトプットすることで考えを深めたり。1人でやっているようで、実は他の人とつながっているものなんですよね。

小沢:1人でモニターに向かって遊んでいるように見えて、もちろんオンラインゲームでつながっている場合もありますが、コントローラーの向こう側に開発者がいることも忘れないで欲しいと思います。

一人用のゲームを極めていく中で、開発者と対話をしているような気持ちになる瞬間もあるんです。

時には、誰とも話したくない、閉じこもりたくなる時もあるかもしれない。そういう時にゲームが唯一の社会との接点となってくれることもあります。そういう目で、ゲームをやる子どもを時に見守る気持ちも大事かなと思います。



――『東京トイボクシーズ』の主人公の蓮は、ゲームへの偏見の多い社会と戦う存在なんでしょうか?

小沢:蓮は漫画の中では高校生の女の子なんですが、僕の中では、年齢や性別などを負わせていない純粋なゲームの妖精のような気持ちで描いています。今は高齢プレイヤーもでてきていて、ゲームをやる人間の年齢層も広がってきているし、性別や国籍なども関係がない存在として描いてますね。

妹尾:e-sportsはブームとはいえ、まだまだ誤解や偏見もあります。なので、蓮は社会との摩擦や軋轢とわたりあえるキャラクターとして捉えています。
ただ「戦う」というよりは、社会の偏見やタブーをあぶり出して、その上で希望になる存在であってほしいなと思っていますね。


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(コノビー編集部:柳澤 )

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コノビー世代が気になるあの人に、子育てや日々の思いなどをインタビューするスペシャル企画です。...

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