家事子育てと仕事を両立することは、簡単なことではなかった。
「子どもの病気」というアクシデントに直面した時、どうにかギリギリ保っていた(と思っていた)すべてのバランスが崩れ、せっかく手にしたキャリアのチャンスを逃してしまった。
……そして、その怒りの矛先を夫に向けてしまい、夫婦喧嘩になってしまった。
夫婦喧嘩はエネルギーが必要で、感情が乱され、心が痛む。
でも、その代わりに得たものが2つある。
まず1つ目。
自分が本音をぶつけたことで、「相手の本音も知ることになった」ということ。
夫なりの苦しみを初めて聞かされた時は、なかなか言葉にできないモヤモヤに包まれたけど、少し時間が経つと冷静に受け止められるようになってきた。
そして2つ目。
「思っているよりも、自分は相手のことを理解していない」ことに気付いたこと。
それまでの杏奈は、出産を機になかなか仕事のチャンスに恵まれないことや、周囲からも「社会人」である前に「母親」であることを期待されていることに悩んでいた。
どうして自分ばかり……と思っていたけど、夫なりの苦しみを知った上で社内を見渡してみると、自分には見えていなかった「パパの働きづらさ」に気づくようになった。
パパやママがそれぞれ感じている働きづらさを解消するのは、簡単なことではない。
問題の根源は、夫婦関係にも、会社にも、社会にもつながっている。
だからこそ大切なのは、きっと、まずはお互いのことをしっかりと“知る”ということだ。
そこから少しずつ、次の一歩につながっていくかもしれないのだから……。
杏奈が子育てと仕事の両立に悩んでいた頃、シングルマザーのナース・裕子は、葵のお友達関係の“ある問題”を知ることになり……?
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