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公開 2020年07月08日  

息子は、なんでこんなにも牛乳が好きなんだ。牛乳の消費スピードが光のよう。

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我が家の牛乳の消費の勢いがすごくて、いつまでたっても慣れない。

牛に申し訳ないくらいには、毎日がぶがぶ飲んでます。


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末っ子(三歳)は、とにかく牛乳が好きだ。

多分、すべての液体の中で、牛乳がいちばん好きなんじゃないだろうか。

ただ、この牛乳、なんの変哲もない牛乳、これがいろんな面倒を連れてくる。


帰宅して、おやつを食べながら「ぎゅうにゅう!ちょうだい!」これはまだいい。おやつには牛乳だものね。

問題はそこから、ごちそうさまの後にも「ぎゅうにゅう!」。

え、さっき飲んだじゃん、と思うけれど、まぁ、もう一杯くらいいいかしら、成長期なのね、とコップに注ぐ。ちょっと気持ち控えめに。

すると、「いっぱいじゃないーーーー!!!」、そこまで悲嘆にくれなくてもいいじゃない、とびっくりするような勢いで怒ったり、泣いたりする。

このくらいにしておこうね、と少し継ぎ足して、いったんおしまい。

だけれど、そこからお風呂に入るまで、ちょっとした隙間に「ぎゅうにゅう」が聞こえてくる。

口さみしいのか、喉が渇くのか、単に牛乳が飲みたいのかさっぱり分からないけれど、とにかく牛乳がいつだって飲みたいらしい。



お水やお茶なら、カロリーがないから、お腹に溜まらないくていいのだけど、いかんせん乳脂肪なわけだから、そこそこのカロリーがある。夕飯に差し支えてほしくないから、あまりやすやすと差し出したくない。

とはいえ、そこは言ってもまだまだ「ちゃんちゃい(3歳)」だから、説得したって、うまく折り合いをつけられないことも多い。

ついついこちらも、少しだけね、と差し出すんだけど、ここでもうひとつ問題が浮上する。ちゃんちゃいの手元はまだまだ覚束ない。

つまり、こぼす。まあまあの確率で。

気をつけて飲んでね、と言葉を添えて「はーい」と大きな声でお返事が聞こえても、いったん気持ちがどこかにそれてしまうと、がしゃんとコップがひっくり返る。

床に広がる白い水たまり、可能な限り目を背けたい。

これが水なら、多少の拭き残しは目をつぶるのだけど、牛乳だもの、そんなわけにはいかないじゃない。
シミにもなるし、くさくもなるし。ね。

うっかりの仕業なら、まだ、「気をつけようね」と笑顔を添えて言えるのだけど、息子とふざけ倒して、「こら、牛乳飲んでるからやめなさい」と言ったそばともなると、眉間にぎゅっとしわが寄ってしまう。



この面倒な牛乳を、ちゃんちゃいは、つい先月頃、なにがどうひらめいたのか、哺乳瓶で飲みたいムーブメントがやってきていた。

これがまあ、面倒。

最初のうちは、遅れてきた赤ちゃん返りかしら、と微笑ましく見守っていたのだけど、いかんせん飲む頻度があれなので、洗うのが億劫だ。

さっき飲んでシンクに置いておいた哺乳瓶で、不意打ちのように「ミルクのぎゅうにゅうちょうだい!」と、オーダーが入る。

え、今洗うの?と面倒がよぎって、「コップじゃダメ?」と交渉するのだけど、もちろんコップでいいはずがなく却下される。

はいはいと哺乳瓶を洗う間も「ミルクのぎゅうにゅう~!」とご機嫌な声。

だいぶ面倒だった。

生憎、ちゃんちゃいには立派な歯が生えそろっているので、そのうち、乳首が破れてしまい、哺乳瓶は私によって隠されるに至った。

ちゃんちゃいに乳首の破損が見つかって、新しい乳首を用意せざるを得ない流れになるのは避けたかったのだ。

ちゃんちゃいのために、乳首を用意する選択肢はない。



哺乳瓶がなくなっても、当然、牛乳は飲みたいわけで、ちゃんちゃいはせっせと牛乳を飲み続ける。

そして、ここ最近、唐突に訪れたブームは、「ストローで飲む」というもの。やっぱり面倒。

ストローは、子どもの手の届く範囲においておくと、セロテープをぐるぐる巻かれたり、豆まきよろしくばらまかれたり、無駄づかいか、惨事にしかならない。

つまり普段は子どもたちの、手の届かないところにしまい込んである。

「しゅとろーで飲みたい」と言われるたび、いちいち私はパントリーからミニサイズのストローを一本だけ出してやる必要があって、それがつまり面倒。

さらに、面倒なことを言うと、先日、息子が、ちゃんちゃいにとんでもない悪事を吹聴した。


「見ててね!ほら!!!」
「きゃーー!!」


なにやってるの?とのぞき込んだら、そこには牛乳をストローでぼこぼこに泡立てて遊ぶふたり。


ここで、「こらやめなさい!」とぴしゃりと言えないのが私だ。

一瞬、うわぁ、面白そう、と私の中の童心が羨ましがる。私のばか。

私だって、子どものとき、それやったし、やるたびどこまで膨れ上がるのかそりゃあもう、わくわくしたし、気持ちが分かりすぎてしまう。


「お行儀が悪いから、やめなさい」


と、一応、胸の中にいる小学生の私を諫めて、定型文らしいことを口に出してはみるのだけど、なんだか歯切れが悪い。

表情に険しさを演出できないし、むくむく膨らむ泡を凝視してしまう。


ああ、止めなくちゃ、と思っているうちに泡が膨らんで、気がついたら、テーブルの上は飛び散った牛乳だらけになった。

コップの周りも、牛乳がまとわりついている。

ああ、やっぱり止めるべきだった。んもう、と言いながら、テーブルを拭く。


ブームは非常によくない方向にはたらいて、しばらく続いた。

とっても憂鬱だった。



とにかくそんな風に、面倒と厄介を繰り返しながら、我が家はものすごいスピードで、牛乳を消費している。

買い物のたびに3パック買うのだけれど、3日と持たない。

でもそれ以上買うと重たいから、私の腕の限界を鑑みて、3パック。

なんで蛇口から牛乳が出ないんだ、っていつでも思っている。

周りを見ると、牛乳好きなお子様はほんとうに多くて、お友達が大勢遊びに来た時なんて、3パックの牛乳が一瞬で消え失せる。

こんなに子どもたちに牛乳が愛されていることを、私はちっとも知らなかった。

給食の牛乳が、あんなに余っていた私の小学校の頃の記憶は、もしかして平成の現風景かなにかかな。


※ この記事は2024年03月10日に再公開された記事です。

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