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公開 2020年07月04日  

子どもの好き嫌いが悩ましい…そんな時に思い出してほしい、魔法のルール。

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子どもの少食・偏食に悩むパパやママの心がラクになる本、『食べない子が変わる魔法の言葉』(山口健太著/辰巳出版)よりその一部をご紹介!


前回のご紹介から読みたい方はこちら。

魔法のルール 1日1分!


「食べない子」が変わるためにお母さんに意識してほしい「魔法のルール」をお伝えします。

まず、なにより一番大切なことを「魔法のルール」1つ目に挙げます。

それは「1日1分!」です。

厳密に1分を守るという意味ではありません。

「やりすぎない」ための目安として、「1日1分」を意識しましょう。

「食べない子」 が変わるには、1日に何時間もかけるよりも、少しずつ取り組んでいく方が大切だからです。

オススメの時間帯は、忙しい朝ごはん時よりも、比較的余裕が生まれやすい晩ごはん時です。

「今日は余裕がないな~」という日はお休みして、自分が食事を楽しむことを優先させましょう!

それくらいの軽い気持ちのほうが、むしろうまくいきます。

カウンセリングに来る「食べない子」を持つお母さんは、すでに色々な工夫を自分なりに試していることが多いです。

それでもなかなか食べてくれず、周りに 相談しても「そのうち食べられるようになるから大丈夫!」とだけ言われて、具体的な解決策が提示されなかったり、挙げ句の果てには「好き嫌いが多いからあまり甘やかさないでください」「栄養が足りていないのでちゃんと食べさせてください」などと、責められたりするケースも少なくありません。

だからこそ、私としても、お母さんの仕事を必要以上に増やしたくはないと思っています。

無理をせずに、できるところから取り入れてくださいね。


魔法のルール 4つの"しすぎ"を手放す


「食べない子」が変わるために、まずはお母さんが「自分にはどの"しすぎ"の 傾向があるか?」を考えてみましょう。

私はこれを「大人の4つの"しすぎ"」 と呼んでいます。

具体的には次の4点です。

1 イライラしすぎ
2 不安になりすぎ
3 プレッシャーのかけすぎ
4 放置しすぎ


イライラしすぎ」は、食べてくれないことでイライラしてしまい、食卓がギスギスした雰囲気になり、子どもがさらに食べなくなるというケースです。

「楽しい」があっての「食べられる」ですから、これでは食は進みませんね。


不安になりすぎ」は、子どもが食べないことを、必要以上に心配しすぎるケースです。

大人の不安が子どもにうつり、余計に食べなくなってしまいます。

もちろん、子どもが食べないと不安になる気持ちはよく分かります。

それ自体は悪いことではありませんので、本書でその不安を解消していきましょう。


プレッシャーのかけすぎ」というのは、たとえば「これくらい食べなさい!」 という圧力が、その子のキャパシティを超えてしまうケースです。

2018年6月に静岡県で当時小学6年生の児童が、担任から給食の牛乳を飲むよう強制されてPTSDを発症したとして、家族がその小学校を管轄する町に対し、250万円の慰謝料を求める訴えを起こしました。

この報道からも分かるように、子どもにプレッシャーをかけすぎると、食事のトラウマから精神障害を起こすこともあります。

実際、私が会食恐怖症の642人に取ったアンケートでは、4分の1に当たる162人が「親からの食の強要が会食恐怖症の発症のきっかけになった」と回答しました。


放置しすぎ」というのは、特に偏食がちな子が少しでも食べるように「好きなものしか食卓に出さない」などのケースです。

これでは食べられるものがいつまでたっても広がりません。


子どもの体質だけではなく、この「大人の4つの"しすぎ"」が原因で食べられない場合が、思っている以上に多いのです。

「食べない子」が変わるために、 まずはお母さんがこれらの"しすぎ"を自覚し、そして手放しましょう。

それが、 「食べない子」が「楽しく食べられる子」に変わる第一歩なのです。


魔法のルール お母さんにかける魔法の言葉


私がオススメする魔法の言葉があります。それは、お母さん自身にかける、魔法の言葉です。

子どもが食べてくれない時や、つい「なんで食べないの!」と言ってしまいそうになった時に、この言葉を心の中で唱えてみてください。

それは......「そうきたか!」という言葉です。

「食べない子」のみならず、普段子どもが問題を起こすと「はぁ、またか......」と落ち込んだり、「どうしよう!」と深刻になったり、「なんでそんなことをしたの?」と怒りたくなりますよね......。

もちろんその気持ちは自然なことですが、 あまり感情的になりすぎると、平常心に戻るには時間がかかります。

そんな時、「そうきたか!」と、心の中で唱えてみましょう!

すると、気持ちが引き締まり、感情的になるのを防げるので、「よし、それならやるべきことをやろう!」「今度はどの作戦でいこうかな?」と心を切り替えて、前を向くことができます。

今日から使える魔法の言葉です。

ぜひ試してみてください。


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イラスト:こたきさえ

年齢が上がるにつれ、お子さんとの知恵くらべになっていくかもしれません。こんなしたたかなセリフも飛び出すかも!?「これもまた成長!」と思いましょう

魔法のルール スモールステップを大切に


「食べない子」が「楽しく食べられる子」になるためには、大人と子どもの「食べるまでのステップのズレ」を認識する必要があります。

大人が想定する「食べられない」→「食べられる」までのステップは、

「苦手なものがある」
→ 「一口でも食べさせてみる」
→「子ども用に取り分けてみる」


くらいのものです。

しかし、子どもが実際に感じているステップは、次のようなイメージです。

「苦手なものがある」
→「食卓に並んでいる」
→ 「パパママが食べている」
→「その食べ物について関心が出てくる」(これ、なんだろう?)
→ 「その食べ物についての情報を得る」(これって、そういう食べ物なんだ!)
→「食べ物について興味が湧く」(ちょっと気になるなぁ) →「試しに匂いを嗅いでみる」
→ 「ペロッと味見をしてみる」 →「一口食べてみる」
→「自分用として食べる」


これくらいの差があるのですね!


これを頭に入れておくメリットはたくさんあります。

まず「食べていない状態でも、食べるための準備は子どもの内側で始まっている」と理解できるので、あまり焦らなくなります。

そして、1つ1つのステップが非常に細かいので、「今この段階だから、次はこうしてみようかな」と具体的な行動プランを立てやすくなります。

また、子どもとの関わり方として非常に大切なのは、「常にできているところ (少しでも前に進んだ部分)」を見ることです。

そうすると、さらに食べてくれるまでのスピードがアップします。


たとえば「料理の匂いを嗅いだだけで食べなかった」ことがあったとします。

そういう時に今までだったら、「せっかく作ったのに匂いを嗅いだだけで、食べないなんて!」と思っていたかもしれません。

それを、「今日は匂いを嗅いだから一歩前進したな!」と見てあげるようにするのです。

「本当にそれでいいの?」と思うかもしれませんが、まずはここから始めることが大切です。

大人に置き換えてみてください。

「ダイエットのために毎日5キロジョギングしよう!」と思った人がいたとします。

しかし余裕がなくて3キロしか走れなかった日がありました。

そんな時に、周りの人に「5キロ走るって言ってたよね? 全然できてないじゃん。それだったらダイエットにならないよ」なんて言われたら、やる気がなくなりますよね。

それよりも「3キロでも続けられているってすごいね! きっとその調子だったらダイエットもうまくいくと思うよ!」と言われた方が、「よーし、じゃあこれからも頑張ろう!」と思うのではないでしょうか?

ですので、まずは頭の中で先に挙げた「スモールステップ」を意識しましょう。

焦りすぎず、「1ヶ月に1つステップアップしたら順調」といっても良いくらいです。

その上で、「できているところ」を見ていくようにしましょうね!






食事を準備しても、子どもに食べてもらえないとがっかりしてしまうものです。


「食べることに慎重な子が、ようやく一口食べるようになる。」

そこまでに、とても細かい段階を踏んでいるのだと想像すると、おおらかな気持ちになれるかもしれません。


次回も書籍『食べない子が変わる魔法の言葉』から、「食卓と、子どもにとっての自己肯定感」をテーマにご紹介します。

7月7日に公開予定です!




(編集:コノビー編集部 大塚)


※ この記事は2024年03月26日に再公開された記事です。

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