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お風呂に入ることが、なぜこんなにも難儀になってしまったのだ。

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お風呂って、めっちゃ面倒くさくないですか。

私は、その存在がもう面倒だと思うくらいには、面倒です。


お風呂に入るのが、難しすぎる。


ゆっくりお風呂に入るなんて、もう何年していないだろう。

お風呂がリラックスタイムだったことなんて、今や昔のおとぎ話だ。


夕方、疲れた3人を風呂にいざなうのが、もう面倒だ。

都合よく、「お庭でズボンが濡れちゃった」とか、「ころんでお膝が汚れちゃった」とか、風呂場に直行したくなる理由がある日は、ラッキーデー。

夕方に限っては、いっそお漏らしさえも、ラッキーシグナルになったりする。

「お風呂できれいにしようね」と言えば、すんなり服を脱いでくれる。

だけれど、毎日が、そんな都合のいい汚れにまみれているわけでもないから、帰宅した子どもたちが、うっかりテレビを見始めたりなんかしたら、もう気が重くなる。

3人ひとりひとりを、機嫌よく湯場までいざなうのが、気が遠くなるほど面倒。

準備しておいた夕飯を仕上げているうちに、お風呂に入ってもらいたいのに、みんな、とっても腰が重たい。

お味噌汁を温めながら、お風呂に入っておいで、と声をかける。

私ってそんなに声が小さいのかしらと思うほど、誰も振り向かないし、お返事もしてくれない。さみしいじゃないか。



フライパンで焼いているお魚の具合も、お味噌汁のお鍋の具合も、気にしながら、何度でも、「ほらお風呂にはいりなさい」と声をかけてかけてかけ続けて、ひとり、またひとりとお風呂へ流れていく。

最後のひとりがお風呂に入るころには、最初のひとりがびしょ濡れの髪を滴らせて、「ママー拭いてー!」と呼ぶんだから、せわしない。


私も一緒に入る、というパターンももちろんあるのだけど、それこそ大儀が過ぎる。

ひとりないし、ふたりならなんとかなる感じもあるんだけど、ママが入るなら、我も我もと全員一緒に入りに来る。まさに芋の子。

洗い場を奪い合って、ひとりずつ洗って、お風呂のおもちゃでアイスやさんごっこをして、いい加減ママも洗いたいよ、というか湯舟に一瞬だって浸かってないよ、と思っているうちに、誰かしらが「もうあがるー」とお風呂の扉を開ける。

開けた瞬間に、噴出しているシャワーが、脱衣場にびゃーって侵入するのなんて、もう何回みたかしら。


泡だらけの身体を持て余しながら、そこ、いつものそこにタオルあるでしょ!ちゃんと拭いてからお部屋に行ってね!!と声をかけたそばから、びしゃびしゃのままバスマットから脱出する誰か。いやうちの子なんだけど。

「このタオルじゃなくってぇ、ほらこれがよかったの!」

お気に入りらしいタオルを持ち上げてにっこり笑う。かわいい。かわいいけど脱衣場も、君がこれから着る予定だった下着もパジャマも、飛び火を受けて濡れてるじゃん。

いいんだ、私が着るわけじゃないんだ。



私が、必死で身体や頭を洗う後ろをすり抜けて、どんどんお風呂を終えていく子どもたち。

それぞれに、とりあえず肌着だけでも着なさいよ、と声をかけて、長女の長くて細い絡まりやすい髪の毛にトリートメントを揉みこんで、ドライヤーをあてる。

こうしないと長女の髪はすぐに絡まってしまう。

自分のドライヤーなんて、大昔に銭湯にあった頭を突っ込むタイプの、あのドライヤーような大胆さで済ませているというのにね。

というか、ほぼ自然乾燥なのにね。


長くなったけれど、こんな具合で、子どもたちと入ると、お風呂上りにどっと疲労を感じる。

今すぐお布団に直行したい気持ちが、高まりすぎる。



かといって、子どもたちが寝た後、ひとりでゆっくり入ると決めた場合、これもまたこれで厄介だ。

そもそも、寝落ちしないことが、高すぎる壁なんだけど、そのことについて書き始めると長くなるので、奇跡的に生還した前提で話を進める。


そおっとお布団を這い出して、お風呂場へ。

でもその前に、やっぱり少しのんびりしたいじゃない?ね?

けれど、気持ちと理性はお風呂に直行しているのに、脱衣場に小さくかがんで、どれどれとおもむろにスマホを開いてしまったりする。

あら、長女の新しい水筒はこれがいいんじゃないかしら。そういえば、息子のハーフパンツが破れたんだった、どれどれ。



いやいやこれではいかんよね、とお風呂場のドアを開けて、湯船のふたを開ける私の右手、の反対の手にはスマホが握られて、しつこく湯船につかったまま、ついそのままSNSだとか、通販サイトだとかを巡回してしまう。

こんなことしている場合じゃない、と胸の中ではざわざわ焦っているのに、ページをめくる手が止められない。

こんなことしている場合じゃないのに、こんなことしている場合じゃ……ええい、と、ようやく理性的な方の私が勝って、洗い場に出たら、ほら来た。

耳をすませば聞こえる、誰かの泣き声。

地の果てから「まーーーーーまーーーーー」と泣いている。

寝ぼけながら、手探りでママを探して、どうやらお布団にママがいないらしい、と悟った誰か(たいていは末っ子か真ん中長男)が、呼ぶ声。

夫が同じ部屋で安眠しているはずなんだけど、どうして双方、気が付かないんだろう。夫が起きたらいいと思うし、子どもたちもパパがいるから、いいじゃないか。


ぐずぐずお風呂に入らなかったり、頭を洗わなかったりした私が、もちろんいけないんだけど、「ちくしょう」と、ほんの数ミリだけ思ったりする。

とりあえず、バスタオルを身体にぐるんと巻いて、二階の寝室に向かって駆け上がる。

泣いている子が末っ子なら、トントンをして、長男なら私の二の腕を握らせて、二回目のおやすみなさい。

すっかり冷えた体で、お風呂場に舞い戻って、さっきまでの自堕落な自分を恥じながら洗う身体は、なんだかひと回り小さい。

しょんぼりと、お風呂場を後にする。

こんな具合だから、夜中のお風呂は、焦りと隣り合わせな上に、後味が悪い。



だいたい、私のお風呂はこんな具合にしかならないんだから、お風呂のハードルが上がるばかりだ。

独身の頃、あんなにお風呂が大好きだったのに、もはや、「お風呂=めんどい」としか思っていない。

なんならいっそ、服を脱ぐことすら面倒くさい。

日本人は、いったいいつから、毎日お風呂に入る文化が根付いたんだろう。

ここがケニアの砂漠の真ん中だったら、毎日こんなに身体を清めなければと、思うはずなんてないのに、すべての面倒はこの極東の島国で生まれたことによる、副産物なのでは。

面倒が高まりすぎて、気持ちがどんどん、はるかな方へ向かっていく。

そんなことを思う暇があるなら、さっさとお風呂に入ればいいのにね。


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この記事を書いた人
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ハネ サエ.

成分のほとんどは3児のおかあさん。
おかあさん以外のときは取材をしたりエッセイを書いたりしています。

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