1. 総合トップ
  2. >
  3. 妊娠・出産
  4. >
  5. 「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>

「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>

「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>のタイトル画像

夫の立ち合い出産は無理だろう…と思っていた松山マミさんでしたが、「いざ出産!」という時に夫のナイスアシストがあったそうです。



うちのダンナは鈍くさい。

そのうえヘタレである。

だから、出産に立ち会うなんて無理に違いない。


そう思っていました。


両親教室では居眠りをするし、起きていたとしても習ったことはすぐ忘れる。

そのくせ出産に立ち会いたいという希望だけは強い。


困ったなぁ、と思っていたんです。

あ、わかってますよ?

この文章のお題が「パートナーのナイス育児」だってことは。


さて、続けましょう。

ここからは出産当日のお話です。


「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>の画像1
pixta_61721325_S


あの日、本格的な陣痛が来たのは夜になってからでした。

夫の運転で病院に行き、入院したのが夜中の0時。

私が陣痛室で痛みの波をやり過ごしているとき、夫はというと、廊下の長椅子に横になって高いびき……。

助産師さんが廊下を通るたびに、心配そうな顔で、「ダンナさん、起こそうか?」と声をかけてくれたものです。

私はそのたびに「……たぶん、起こしてもまたすぐ寝ちゃうんで、寝かせておいてください」と答えていました。


もう、帰って寝ればいいのにね……。


そして夜が明け、分娩室へ移ったのが午前8時。

すっきりした表情で起きてきた夫は、「立ち会いますか?」と助産師さんに聞かれて、神妙な面持ちで「はいっ!」と。

気合は十分でしたが、どうしたらよいのかわからないようで(そりゃそうだ。この人、両親教室で爆睡してたもの)、分娩台の横に置かれた椅子に、ちんまりと座っていました。


いざ分娩となったら、助産師さんに言って追い出してもらおうか……。


私がそんな考えを巡らせているとも知らず、夫は私の横でニコニコしながら、何の面白みもない話を、ぽつりぽつりとし続けていたのでした。


「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>の画像2
pixta_14949324_S


そうこうしているうちに子宮口が開いてきて、いよいよ産まれるというとき、助産師さんが言いました。

「ダンナさん、お母さんの頭を持って、いきむタイミングで持ち上げて!」

「はいっ!」

待ってましたとばかりに夫は立ち上がり、私の頭の下に手を置きました。


タイミング外さないかな。

あ、来る。

来るよ。

大きな波が。

来る、来る、来たっ、キターっ!!!


そのときです。

私の呼吸に合わせて、夫は私の頭をスッと持ち上げました。

厚くて大きなてのひらで、ほどよい角度に、最適のタイミングで。


あ、私、支えられている、と思いました。

ほんの少しの間の、あまりにさりげない手助けだったけれど。

今、まさに外の世界に飛び出そうとしている娘と、その娘の背中を押している私と、その私を支えている夫。

その3人がつながったと思いました。


妊娠期間中、私はずっと自分ひとりで走ってきたつもりでした。

でも、違った。

ずっと支えられていたんです。


「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>の画像3
pixta_54003937_S


石橋を叩く前にダッシュで渡ろうとする私を、石橋を叩いて叩いて叩いてから、ソロリソロリと渡る夫が。


石にかじりついても目的を遂げようとする私を、拘泥しない夫が。


認めるのは悔しいけど、言うのは恥ずかしいけど、ナイスだよ。

なかなかナイスなアシストだったよ。


一説によると、ダンナの語源はサンスクリット語の「贈る」なのだとか。

私はなかなかよい贈り物をもらったようです。


あの日からもうすぐ4年が経ちます。


うちのダンナは相変わらず鈍くさいし、ヘタレだし、加えて最近は涙もろい。

人様に誇れるような、「ナイス育児」なエピソードなんて、正直ひとつも思い浮かばない。

でも、私の100倍くらい向こう見ずな3歳児が無事に育っているのは、マイペースで、慎重で、情に厚い夫の、さりげない手助けによる「ナイス育児」の賜物なのです。


たぶん、ね。



(ライター:松山マミ)


当社は、この記事の情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行うすべての行動やその他に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。また、表示価格は、時期やサイトによって異なる場合があります。商品詳細は必ずリンク先のサイトにてご確認ください。

この記事を書いた人
 第四回 記事投稿コンテスト『パートナーのナイス育児』の画像
第四回 記事投稿コンテスト『パートナーのナイス育児』

応募期間2020年4月16日~5月31日。入選発表は6月下旬を予定。
第4回コノビー投稿コンテスト、1次審査通過作品をお楽しみください。...

  1. 総合トップ
  2. >
  3. 妊娠・出産
  4. >
  5. 「夫は頼りない」と思っていた。分娩台で気づいた、大切なこと。<第四回投稿コンテストNO.85>