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公開 2021年05月11日  

【医師監修】安定期はいつから?安定期の計算方法や過ごし方、気をつけることなど

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妊娠中、よく「安定期」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。「安定期って妊娠中期のこと?」と思ってしまいがちですが、実は「妊娠中期」と「安定期」は厳密には違います。今回は「安定期」がいつからなのか、安定期の過ごし方、気をつけることなどをご紹介します。《監修:つづきレディスクリニック》


目次 妊娠時の安定期はいつからいつまで?母体の変化とは
妊娠報告はいつする?
安定期の過ごし方
安定期に気をつけたいこと
安定期の流産のリスク
安定期の母体トラブルと対応のしかた
安定期だからといって、無理は禁物

妊娠時の安定期はいつからいつまで?母体の変化とは

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まずは妊娠安定期とはどの時期を指すのか、母体にはどのような変化があるのかを解説します。


妊娠安定期はいつからいつまで?


妊娠は1〜4ヶ月(16週未満)を妊娠初期、5〜7ヶ月(16〜28週未満)を妊娠中期、8ヶ月(28週)以降を妊娠後期と分類されます。

「妊娠安定期」というのは医学用語ではなく、一般的には妊娠5ヶ月(16週)以降、妊娠中期のことを指します。

ただし、厳密な決まりはないため、医師によっては中期の3ヶ月間ではなく、流産のリスクがぐっと下がる妊娠4ヶ月からを安定期と呼ぶこともあります。

厳密にいつからいつまでと言うよりも、妊娠初期の不安定な体調変化やつわりの症状が落ち着き、胎盤が完成して流産のリスクが下がった時期を安定期ということが多いようです。

妊娠中の体調も個人差が大きいため、安定期と言うのはあくまでも目安です。

妊娠週数の数え方については、以下の記事などを参考にしてください。


安定期の母体の変化とは?


安定期に入ると赤ちゃんが入っている子宮の大きさは、大人の頭くらいの大きさになります。

そのため、ママの体はだんだんお腹が膨らんできて、見た目にも妊婦だとわかるようになってきます。


さらにこの頃になると、胎盤が完成し、流産のリスクがグッと下がります。

つわりも落ち着いてくるママが多いので、母子ともに安定した状態になります。


お腹の赤ちゃんの動きも活発になり、胎動を感じ始める人もいます。

胎盤の完成により赤ちゃんは急速に発達するので、健診の度に赤ちゃんの成長を感じられるでしょう。

早い人は赤ちゃんの性別も分かるかもしれません。


赤ちゃんが急速に発達する一方で、ママも体重管理に気をつけなければ急速に体重が増える時期でもあります。

妊娠によるマイナートラブルも出てくるので、バランスの良い食事や適度な運動など気をつけるようにしましょう。


妊娠報告はいつする?

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仕事をしているママは、会社へいつ妊娠を報告するか、タイミングに悩むかもしれません。

妊娠が分かると嬉しさのあまりすぐに報告したくなるかもしれませんが、一般的には安定期に入ってから行うのが良いとされています。

特に妊娠初期は流産するリスクも高いため、親しい人以外には安定期に入ってから報告するのがいいでしょう。

ただし、立ち仕事やハードな職場環境、つわりが酷い場合は、胎児の心拍が確認できてから報告しておくと良いかもしれません。

逆に報告が遅くなり過ぎると産休や退職の手続きが間に合わなくなったり、後任の引き継ぎができなくなったりと周囲に迷惑をかけてしまうことも。

言いづらい職場環境もあるかもしれませんが、引き延ばし過ぎるのはやめましょう。

SNSなどで友達に一斉に妊娠報告をしたい方もいらっしゃると思いますが、その場合も安定期まで言わないようにした方がいいかもしれません。

どうしても知らせたい友人がいる場合は、個別に連絡しましょう。

身内への報告のタイミングについては、夫婦でしっかり話し合ってから決めるようにしましょう。


安定期の過ごし方

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安定期にしておくべきことや、オススメの過ごし方をご紹介します。


出産、産後の生活の準備


妊娠後期に入り臨月が近づいてくると、いつ出産になってもおかしくありません。

予定日はまだまだ先だと思っていても、急に破水したり陣痛が始まったりすることもあります。

安定期のうちに今後必要なマタニティ用品や出産準備、産後必要なものを揃えておくようにしましょう。


産後の書類やお金の手続きの確認


出産後は赤ちゃんのお世話で慌ただしい日々が始まります。

「出産一時金」や「出産手当金」など、自分がもらえるお金を調べて必要な手続きも把握しておくようにしましょう。

また、産後は出生届を提出したり、児童手当の申請をしたりと手続きはたくさんあります。

産後のママの負担にならないように、いつ誰が提出しに行くのかも決めておくと良いでしょう。


歯科治療


妊娠中はつわりで歯磨きができなかったり、間食が増えたりと口内環境が悪くなりやすい時期です。

歯周病も早産や低出生体重児へのリスクを高めると言われています。

安定期のうちに一度は歯科を受診して、必要な治療は済ませておくようにしましょう。


適度な運動


安定期に入ったら体に負担がかからない程度の適度な運動を習慣づけるようにしましょう。

軽いウォーキングなどがオススメです。

ただし、切迫早産の危険がある場合や体調の優れない場合、また妊娠中の合併症など異常な経過が指摘されている場合にはは、絶対に無理をしないようにしましょう。


両親学校などへの参加


産院や市区町村で開催されている両親学校などに積極的に参加してみましょう。

両親学校などでは、赤ちゃんの基本的なお世話の仕方から、出産のことなど様々なことを教えてくれます。

パパと一緒に参加できるものもあるので、ぜひ夫婦で参加してみてはいかがでしょうか。


産後なかなか行けないところに行っておく


産後は赤ちゃんの世話に追われて、ママの自由な時間はほとんどなくなります。

また、子連れでは行きにくい場所も多くあります。

だからこそ、安定期の間に映画館や美容院、ちょっと贅沢なランチなど無理のない範囲で楽しんでみてはいかがでしょうか。


保育園について調べておく


産後すぐに職場復帰する予定のママは必ず保育園について調べておきましょう。

産後早いうちに預けたい場合は、安定期のうちに相談や見学に行っておくのがオススメです。

手続きの方法も忘れずに確認しておきましょう。


安定期に気をつけたいこと

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安定期は「絶対に大丈夫な時期」ではありません。

安定期だからこそ気をつけるべきこともあります。

ここでは特に気をつけておいたほうが良いことをご紹介します。


マタタビは慎重に


マタニティ旅行、通称マタタビ。

「妊娠中でも安定期なら旅行に行っても大丈夫でしょ」と思うママもいるかもしれません。

しかし、妊娠中はいつ何が起こるか分かりません。

距離にもよりますが、近距離でもお腹が張ったら休憩するなど、しっかりとした配慮が必要です。

また、思い切って海外に旅行に行き、現地で出産なんてことになれば、莫大な出産費用を請求されることになります。

飛行機に乗ることも可能ではありますが、長時間のフライトは確実にママや赤ちゃんの負担になります。

安定期とはいえ、飛行機に乗るような妊娠中の旅行は主治医に相談してから行くようにしましょう。


急激な体重増加に注意


安定期に入るとつわりがおさまることが多いため、急に食欲が増す場合も多いようです。

しかし、急激に体重が増加すると妊娠高血圧症や妊娠糖尿病になるリスクが高まり、難産になる可能性もあります。

妊娠後期にはさらに体重が増えて行くので、カロリー計算をするなど安定期のうちから体重管理に気をつけておきましょう。


安定期の流産のリスク


流産は妊娠12週未満のものを早期流産、妊娠12週〜22週未満のものを後期流産と言い、それ以降は流産ではなく死産という形になります。

流産の頻度は全妊娠の約15%とされ、その中で早期流産が13〜14%、後期流産が1〜2%と言われています。

全妊娠の15%が流産するということは、6人に1人が流産するという計算になります。

決して流産は他人事ではありません。

安定期であっても、1〜2%の確率で流産は起こり得るということを知っておきましょう。


安定期の母体トラブルと対応のしかた

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安定期は母体にトラブルが起こらないわけではありません。

むしろ、安定期になると妊娠中のマイナートラブルが増えてくることも多いようです。

それでは、主なマイナートラブルについてお伝えしていきます。


動悸や息切れ


妊娠中は妊娠前と比べて血液量や心拍数が増加します。

そのため、動悸や息切れを感じやすくなります。

動悸や息切れを感じた場合は、安静にして休憩をとるようにしましょう。

もし、安静にしても動悸や息切れが治らない場合は、医師に相談するようにしましょう。


貧血


妊娠中は血液量が増加しますが、液体成分の増加に比べ赤血球の数が不足するため、貧血を起こしやすくなります。

貧血でふらつきを感じた場合は絶対に安静にしましょう。

日頃からレバーやほうれん草など、鉄分を多く含む食材を積極的に摂ることがオススメです。

それでも改善されない場合はお医者さんに相談すると、鉄剤を出してもらえることがあります。


腰痛


安定期に入る妊娠5ヶ月頃はお腹が大きくなり、見た目で妊婦とわかるようになります。

お腹が大きくなることにより、腰の湾曲が大きくなり背中や腰に痛みを感じる人も増えてきます。

できるだけ立ち続けたり、座り続けたりといった同じ姿勢を長時間するのは避けましょう。

寝具のマットレスを硬めのマットレスにするのもオススメです。

また、体重増加が多い場合は腰の負担が大きくなるので、体重管理もしっかりおこなうようにしてください。


痔や便秘


妊娠中は黄体ホルモンの分泌が増えたり、大きくなった子宮が腸を圧迫したりすることで便秘や痔になりやすくなります。

日頃から食物繊維を多く摂り、適度な運動を心がけるようにしましょう。

お医者さんに相談するとマグネシウムなど、妊娠中でも飲める薬を処方してもらうこともできます。


安定期だからといって、無理は禁物


妊娠期間の中でも安定期に入るとついつい食べ過ぎたり、体調が安定しているため無理をしたりしてしまいがちな時期です。

比較的安定している時期とは言え、妊娠初期や後期と同様に、いつ何が起こるか分からないということを忘れないようにしてください。

無理をしない範囲で、お腹の赤ちゃんと一緒にマタニティライフを楽しみましょう。


【監修】つづきレディスクリニック

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・理事長 吉岡範人
2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業後、同大学初期臨床研修センター産婦人科に入局。
16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学しがんの研究に従事。
2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディスクリニックの院長に就任。

・医師 鈴木季美枝
2006年に聖マリアンナ医科大学を卒業後、同大学にて周産期専門医の資格を取得し、産科医療を中心に従事。
現在はつづきレディスクリニックにて非常勤医師として勤務。

つづきレディスクリニック(http://www.tsuzuki-ladys.com/

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