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外出自粛をどう乗り切るか。用意したおうち遊びは、ことごとく無駄になったけど、それでも幸せな日々。

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毎日はっきり詰んでるけど、きっとみんなもそうだよね、って思いながら暮らしてます。


順調に新学期が始まった、と思ったのはほんの数日だった。


覚悟は決めていたけれど、やはり3人そろって休校、休園ともなると、なかなかの破壊力がある。


不要不急のおでかけが大好きな、子どもたちとの軟禁生活なのだから、春休みや夏休みとは訳が違う。難易度がずいぶんと高い。


お天気がいい日はまだいい。お散歩をしたり、お庭でやり過ごしたりすることもできるけれど、問題は雨の日。

朝起きて、空がどんより薄暗いと、それだけで「詰んだ」と感じてしまう。



今日がまさにそれだった。

朝、窓の外を見て「まじか」と思った。空が今にも泣きだしそうに、暗い顔をしていた。


とりあえず、長女の大量の宿題を、毎日こつこつこなすべく、いったん座学。

5歳と3歳にも、ぬりえや迷路やまちがいさがしをあてがって、平和な時間を期待する。

我ながら周到だなぁ、と感心していたのは、ほんとに序盤の序盤だけで、後半は3方向から、わからないやら、できないやら、クーピーがないやら呼ばれ続けて、ほとんど、もぐらたたきのような状態だった。白目を剥いていた。

この座学タイムに乗じて、お仕事しようとパソコンを開いたのが、滑稽に思えたほど。


外出自粛をどう乗り切るか。用意したおうち遊びは、ことごとく無駄になったけど、それでも幸せな日々。の画像2


宿題、テレビ、おひるごはんを経た昼過ぎ、退屈を持て余す子どもたちに、「新聞紙でなにかつくろう」と声をかけたら大歓喜してくれた。

そうそう、その調子、お外はすっかり雨だし、おうちで楽しく遊ぼうじゃないの、とほっこりしたのも、やっぱり序盤の序盤だけだった。

エネルギーがありあまっているらしい5歳男子が、誰よりも早く作品名「かたな」をつくり上げ、だれかれかまわず叩きまわった。

柱を叩き、長女を叩き、末っ子を叩いて、走り回る。私に叱られることさえ楽しいらしく、歓声を上げて刀を振り回し、なにかしらをものすごい勢いでずっと叩いていた。破裂音がずっと響き渡っていた。

そのうち、5歳と3歳の戯れが騒がしいやら危ないやらの、追いかけっこに発展した。

新聞紙でスカートを作っていた長女が、まるで戦火の中で一心不乱にミシンを踏む人(なにそれ)、みたいな雰囲気をかもしてなんだか妙に切なくなって、下のふたりを隔離する。



5歳と3歳をいったん2階に回収して、YouTubeのダンス動画を再生する。

軽快な音楽が流れて、かわいらしいお姉さんの明るいかけ声が聞こえると、ふたりともたいそう喜んだ。

私がステップを踏み始めると、ふたりも合わせてきゃあきゃあと、はしゃぎながら、ぎこちないステップを踏む。


そうそう、これこれ。私も運動不足の解消になるし、エネルギーの塊、幼児たちも発散できるし最高、と思ったのもやっぱり序盤の序盤だけだった。

それは10分間のダンスをもとにしたフィットネス動画で、画面の右上にはカウンターが大きく表示されていた。確かあれは3分半が過ぎた頃。

ふたりともテンションがあがり過ぎて、部屋の隅の古いローテーブルの上に乗って踊り出した。

ああ、危ない、と止めようとする思考の切れ間に、画面にばばんと表示される「からだがあったまってきたね!」の文字。太字。

そんな気がする、ここからが本番だね、と、つい気持ちがお姉さんに向いてしまって油断した。

すっかり気分が高まった息子が、ローテーブルを足がかりに、カーテンレールに飛びついた。意味がわからない。なにをやってるのか。
そこからはまるで、スローモーションを見ているようだった。

カーテンレールが窓枠からすこんと外れて、弓なりになった息子の身体が宙を舞い、同じくローテーブルの上にいた末っ子をアタックした。

重量21kgが、勢いよく12kgの華奢なからだに、メガヒットの瞬間だった。

床に敷いてあった絨毯に突き刺さるように、テーブルから落ちる末っ子3歳。なにもう泣きたい。



慌てて末っ子を抱き起こして、顔をくまなくチェックすると、鼻の下と口の中が少し出血していた。

カーテンレールにぶら下がっちゃダメって、あんなに言ったでしょ、と息子に言いながら、よそのお宅でこんな台詞言うことってあるのかしら、と気が遠くなる。

そう、息子にはカーテンレールにぶら下がった前科がある。

36年間生きてきて、カーテンレールにぶら下がったこともなければ、ぶら下がりたいと思ったこともない身からすると、発想自体がもうほとんど宇宙だよ。

日本中探したって、私くらい読みが甘くて、空回りしまくってるおかあさんって、ほかにいるんだろうか。

いなくてもいるって言ってほしいし、みんなそうだよって抱きあいたい。


ああ、もう、と末っ子の背中をさすりながら途方に暮れて、ぐったりしていたら、長女が完成品の「スカート」を履いて現れた。

きちんとギャザーが寄せられていて、ふんわりとしたシルエットが、新聞紙で作ったということを忘れるくらい、とってもかわいらしい。

本人も満足したらしく、ほくほくの笑顔に、たった今の惨事なんてころりと忘れてつい、こちらまでにこにこしてしまう。



つくづく自分の段取りの下手さに、うんざりしてしまうけれど、単純だから、こんな瞬間だけで勝手に報われる。

新聞紙のスカートを履いた長女に、スマホのカメラを向けると、小首を傾げてほほ笑んでくれる。思わず「ああ、かわいい」と声が漏れる。

さっきまでしょぼくれていた息子と、泣いていた末っ子が、笑いながら割り込んでくる。

それをレンズ越しに見ながら、また「ふふ、かわいい」と声が漏れた。

なんだ私、単純だな。


家の外に目を向けてたら、笑えない状況ばかりだけれど、こうして半径1mの子どもたちに翻弄されていたら、不安にかられる暇もない。

私は元来、極度の不安がりだから、こんなしっちゃかめっちゃかな毎日が、丁度いいのかもしれない。怪我されるのは困るけど。


白目を剥いたり、途方に暮れたり、怒ったり、笑ったり、家の中だけで、私は今、じゅうぶん忙しい。


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ハネ サエ.

成分のほとんどは3児のおかあさん。
おかあさん以外のときは取材をしたりエッセイを書いたりしています。

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