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公開 2020年05月25日  

乳腺炎ってなに?乳腺炎の症状と原因、予防と対処法について

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出産して母乳の分泌が始まると気をつけておきたいのが乳腺炎。乳腺炎は、激しい痛みや高熱をともなうこともあり、できればなりたくないものです。今回は乳腺炎の症状から予防法、そして万が一なってしまった場合の対処法などを詳しくご紹介して行きます。


目次 乳腺炎ってなに?
乳腺炎の種類について
乳腺炎の兆候と症状とは
乳腺炎の原因と予防について
乳腺炎の対処法について
乳腺炎になっても授乳はできるの?
まとめ:乳腺炎になった場合は速やかに治療をしましょう

乳腺炎ってなに?

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乳腺炎は「母乳のうっ滞(母乳が乳腺に停滞すること)」や細菌感染により、おっぱいの乳房組織が炎症を起こした状態になります。

主な原因が、乳腺内に母乳が溜まることによって起こるため、授乳開始後6〜12週間のママが発症しやすくなっています。

また、この期間でなくとも、授乳回数の変化や断乳・卒乳時期など、乳頭に傷ができた場合にも発症しやすくなります。


乳腺炎の種類について

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乳腺炎には急性と慢性がありますが、産後のママが注意するべきは急性の乳腺炎です。

そして、急性の乳腺炎にも急性うっ滞性乳腺炎と急性化膿性乳腺炎の2種類があります。


急性うっ滞性乳腺炎


母乳が乳腺内に溜まることで炎症が起こる乳腺炎です。

おっぱいが痛いくらいパンパンに張ったり、熱おびたりするのが特徴です。

特に初産の産後数日の間に多く症状が見られます。

逆におっぱいが溜まりにくく、母乳の量が安定してきたら急性うっ滞性乳腺炎になるママは少なくなります。


急性化膿性乳腺炎


乳管や乳頭にできた傷から細菌感染(連鎖球菌や黄色ブドウ球菌など)で炎症を起こす乳腺炎です。

急性化膿性乳性炎の方が症状は重く、おっぱいが腫れあがり、授乳時も痛みがあります。

また、しこりができたり悪寒や高熱が出たりもします。

急性うっ滞性乳腺炎が誘因になることもあるので、急性うっ滞性乳腺炎になった場合は、急性化膿性乳腺炎に移行しないように注意が必要です。


乳腺炎の兆候と症状とは

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乳腺炎の主な兆候として、授乳中におっぱいに痛みや違和感(圧迫感やチクチク)が出たり、張りが強くなったりします。

そうした兆候の後、うっ滞性乳腺炎の場合は赤く腫れて、授乳時にも痛みをともなうようになります。

また、おっぱい自体がかなり硬く熱っぽくなり、押すと痛みが出ます。

急性化膿性乳腺炎の場合は、うっ滞性乳腺炎からの移行が多いため、うっ滞性乳腺炎の症状に加えて悪寒や震えをともなう高熱、腋窩(えきか)リンパ節まで腫れや痛みが広がる場合もあります。

実際に乳腺炎は「皮膚で起こる感染症の中では、最も症状の激しい病気」とも言われています。


乳腺炎の原因と予防について

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激しい痛みや高熱を伴う乳腺炎。そんな状態での小さな赤ちゃんのお世話は辛いもの。

乳腺炎の原因と予防法を知って、できるだけ乳腺炎にならないようにしましょう。


乳腺炎の原因は?


乳腺炎の原因は母乳の溜まり過ぎや、乳管の詰まりが多いようです。

特に産後すぐは乳管が十分に開いていないことが多く、赤ちゃんも母乳を飲む力が弱いため母乳が溜まりやすくなっています。

また、乳管の詰まりやすさは体質もあります。

急性化膿性乳腺炎の場合は、赤ちゃんによる授乳中の噛み傷から細菌感染を起こしてしまうことがあります。

産後すぐ以外でも噛む力がついたり、歯が生え始めたりする頃は注意が必要です。

おっぱいがパンパンに張っている場合や授乳時に痛みがある場合は、乳腺炎になりかけているかもしれません。

違和感を感じた場合は、できるだけ早めに対処するようにしましょう。

また、急性乳腺炎の発症後、治りきらないでいると慢性の乳性炎に移行する危険性もあります。


乳腺炎の予防法は?


乳腺炎を予防するためには、とにかく母乳を溜めないようにすることを心がけましょう。

次のことに気をつけて、乳腺炎にならないようにしっかりと予防しましょう。

1. 授乳の間隔を3時間以上あけない
授乳の間隔が3時間以上あくと、母乳がうっ滞して乳腺炎になる危険が高まります。母乳の出が安定するまでは特に注意するようにしましょう。

2. 姿勢を変えて授乳する
同じ姿勢でばかり授乳していると、吸われていないところに母乳がうっ滞して乳管が詰まりやすくなります。抱き方や姿勢を変えていろんな角度から授乳するように心がけましょう。

3. しこりの部分をマッサージしながら授乳する
部分的に詰まっているような違和感を感じたら、そこを軽くマッサージしながら授乳してみましょう。少しの詰まりであれば、それでスッキリすることもあります。ただし、力を入れすぎると乳腺を傷つけてしまうので、清潔な手で優しくマッサージするようにしましょう。

4. 両方のおっぱいをまんべんなく飲ませ、空っぽになっているかを意識する
毎回同じ方のおっぱいから授乳していると、反対側のおっぱいがうっ滞しやすくなります。できるだけ両側のおっぱいをまんべんなく飲ませるようにしましょう。均等な授乳時間よりも、空っぽになっているかを意識するようにしてください。

5. 赤ちゃんが飲み切れずに余ったら搾乳する
新生児のうちはおっぱいを飲みながら寝落ちしてしまう赤ちゃんも多くいます。赤ちゃんが飲みきれずに余ってしまった場合は、搾乳機などで軽く搾乳するようにしましょう。

6.バランスの良い食事を心がける
偏った食生活もおっぱいが詰まりやすくなる原因です。産後はいつも以上にバランスの良い食事を心がけましょう。

7.乳頭を清潔に保つ
細菌感染を起こさないためには、乳頭を清潔に保つことも大切です。

8.十分な休息をとる
赤ちゃんのお世話をしているとなかなか休息をとることはできませんが、できる限り意識して休息をとるようにしましょう。


乳腺炎の対処法について

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どんなに気をつけていても、母乳育児をしていると乳腺炎になってしまうことはあります。

万が一、乳腺炎になってしまった場合は、すぐに病院や助産師さんに相談するようにしましょう。

母乳外来をしている病院で相談するのがおすすめですが、母乳外来は曜日が決まっていたり、その病院で分娩した人のみと言う場合もあったりします。

病院に行く前に電話で症状を説明し、診てもらえるか確認するとスムーズに受診できます。

また、早めに気づいてすぐに治療を開始すれば軽症ですみますが、治療せずに放置すると手術でしか治せなくなることもあり、重症化する前の対処が大切です。

乳腺炎の治療は一般的に経口用の抗生物質が処方されます。発熱やひどい痛みがある場合は、解熱鎮痛剤も一緒に処方してもらいましょう。

授乳中なので市販薬は自己判断で服用せず、病院で処方してもらうのが安心です。

可能であれば助産師さんに母乳マッサージをしてもらい、乳管の詰まりを取ってもらうとスッキリしますよ。


乳腺炎になっても授乳はできるの?

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乳腺炎になると授乳時に泣きたくなるほど痛みを感じますが、乳腺炎になっていても授乳は可能です。

むしろ、授乳することで乳腺炎は早く治るため、頑張って授乳するようにしましょう。

授乳をする際は乳頭を清潔にすることを心がけ、できるだけ体勢を変えながらおっぱいをまんべんなく飲ませるようにしてください。

手で触れて詰まっている場所やしこりがわかる場合は、そこを優しくマッサージしながら集中的に飲ませるのがおすすめです。

また、痛い方のおっぱいばかり飲ませていると、反対側のおっぱいも母乳が溜まって乳腺炎を引き起こしてしまう危険があるので、搾乳機など上手に使用しながら両方のおっぱいを空にするよう意識しましょう。

ただし、あまり絞りすぎると乳腺を傷つけたり、さらに母乳が作られたりするので過剰な搾乳は禁物です。

医療機関を受診して抗生物質を処方された場合は、念のため病院の先生と相談して授乳するようにしてください。


まとめ:乳腺炎になった場合は速やかに治療をしましょう


乳腺炎は母乳育児をしているママの多くが経験する母乳トラブルです。

あらかじめ原因や予防方法を知っておけば、乳腺炎になる確率を下げることができます。

また、乳腺炎になってしまったとしても、早めに対処することができて軽症で済ませることが可能です。

おっぱいに違和感を感じて「乳腺炎かも?」と思ったら、できるだけ早めに病院や助産師さんに相談するようにしてくださいね。

産後すぐのママ以外も保育園の入園や仕事復帰、病気などで長時間おっぱいがあげられないタイミングで乳腺炎になることはあります。

断乳時も乳腺炎になりやすいので、産後すぐに関わらず母乳育児中は気をつけるようにしておきましょう。


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