我が家の娘と息子は3学年差。
5歳の娘が幼稚園に行くとき、2歳の息子は基本的にベビーカーに座らせて一緒に連れて行っていました。
娘は幼稚園のお友達と一緒に楽しそうに歩き、息子は家のおもちゃを片手にベビーカーで座っているというのが基本的な登園スタイル。
息子はどちらかというと穏やかで、あまり愚図りません。
ベビーカーからおりても元気いっぱい走り回るというよりは、私や娘と一緒に手を繋いで歩くことが多い男の子でした。
だんだん成長して娘と一緒に歩きたくなってきた息子。
ベビーカーに乗りたくないと愚図りだすことも多くなってきました。
でも幼稚園には9時10分までにはつかないといけないし、お友達も待ってくれています。
そのため、歩きたくて大泣きする息子をそのままベビーカーに座らせて登園することが多かったのです。
娘を送り届けた帰り道も
「一回ベビーカーからおろしてしまうと、遊び始めて何時に帰れるか分からないし…」
「買い物も行きたいのに、毎日歩きたいと言われたら困るし…」
と私目線で考え、基本的にベビーカーに座らせていました。
ところがそんなある日、息子がベビーカーに乗りたくないとついに大暴れ!
息子がそんなに大暴れすることはあまりなかったので、一体何をしたいのか不思議になってきました。
そして、とことんつきあってみようと決心したのです。
息子の好奇心に付き合おうと決めた日、朝にする家事は登園前にある程度終わらせていざ出発!
登園時は時間の制限があるため、いつも通りベビーカーに座らせましたが、娘を送り届けた後はベビーカーからおろすことにしました。
その途端、キラキラした笑顔になり、突然小走りになる息子。
急に止まったと思ったら、しゃがんで見つめていたのはアリの行列でした。
たくさんのアリが時々荷物を運びながら綺麗に並んで歩いている様子を不思議そうに眺めていました。
そしてまた歩き出し、次に向かったのはメダカのいる水がめ。
いつも見ている水がめですが、この日は「もう行くよ」と声をかけることなく、ずっ~と一緒に眺めてみました。
「めだかの赤ちゃん!」「小さいねぇ」など、息子なりにきちんと理解していることに気づきました。
しばらく一緒にめだかを眺めていましたが、満足したのか「めだかちゃん、バイバイ!」と。
次はまさかの逆戻り!
止まったのは、木から落ちた柿の実の前でした。
落ちて腐ってきた柿の実をじっと見つめて、不思議そうに木を見上げる息子。
「柿、甘くなって美味しくなって落ちちゃったのかなぁ」と息子と柿の木を見上げながらのんびりたたずんでいました。
今度はようやく家の方向に歩き出し、最後に止まったのは、ベランダで鳥を飼っておられるご近所の家の前。
その鳥は時々人の言葉を真似して話をしてくれ、近所の子ども達に大人気です。
息子はじっと鳥を見つめて、何度も「おはよ〜!!」と。
鳥に言葉を教えているようで、とても微笑ましい光景でした。
ふと気づくと幼稚園を出発してから40分!
たくさんの人が横を通り過ぎる中、息子と一緒にずっとしゃがんだり、空を見上げたり。
いつもは「もう行くよ!」「何してるの~?」「早くお買い物行こうか」など、次の行動ばかり促していたことに気づきました。
大人目線で見てみると、よくある住宅街での当たり前の風景。
けれども、息子の好奇心に合わせてみると、確かにこれくらいの時間が必要だと実感しました。
少ししゃがんで、息子の目線に合わせて見てみると、街中がおもしろいことだらけで溢れていたのです。
もちろん、毎日子どもの好奇心に合わせることは、時間的にも私の心の余裕的にも難しいことです。
しかし、息子目線で景色を見てみると面白い発見の連続でした。
大人にとっては無駄だと感じることも、子どもにとっては大発見。
私の基準で物事を判断し、子どもに押し付けてしまないようにしようと気づいた40分のお散歩でした。