2014年にドイツで産まれた長男。
日本的な子育てをドイツで実践した時のお話です。
自分の意見をハッキリと言い、その主張をなかなか曲げることのない国民性のドイツ人。
それは保育園や幼稚園の小さい頃からすでに培われていきます。
例えば、おもちゃで遊んでいたりブランコをしていても、日本のように「順番」や「半分こ」といった気遣いはあまりしません。
基本的には遊びたい子が満足するまで遊ぶことができます。
2歳頃にはもう先生やママが介入して順番を促したりする事はなく、順番を待っている子は自分で代わってくれるよう交渉します。
待っている他の子に譲ってあげるのか、それともまだ遊び続けたいのか、それは遊んでいる子自身で決めることができるのです。
最初は、そんな交渉なんて小さい幼児達が出来るの!?
と半信半疑でトラブルになる前に介入してしまうこともありましたが、案外子供は自分達で決められるものでした!
もちろんお友達を叩いてしまうなどのアクシデントが起きた時は介入することもありますが、基本的には親や先生が介入せずに辛抱強く観察していると、思いのほか子供達はうまくやっていきます。
そうかぁ、こんな幼児期から既にドイツ人の自己主張を大事にする教育は始まっているのか...!!
とカルチャーショックを受けたことを覚えています。

「どうぞ」ができるのは本当に良いこと?海外在住ママのジレンマ<第三回投稿コンテスト NO.123>
11,486 Viewドイツで子育てをしている、てぃてぃさん。子どもには、日本人の良さである“譲る文化”「順番」「はんぶんこ」ができるようになってほしいと、常日頃から考えていたといいます。

でもやっぱり、相手のことを考えて譲ってあげられる、そんな日本人らしさも長男に知って欲しいな...と思っていました。
そこで日本語教育や譲り合い文化を知るためにも、日本から通信のDVDコースを受講したり、日本の絵本を毎日読み聞かせたり。
長男はすっかり日本文化が大好きな「どうぞ」や「半分こ」が出来る4才児になりました!
日本人らしく笑顔で優しく遊べる長男は、通っている現地の幼稚園でたくさんのお友達から
「長男は僕のベストフレンドだ!」
と言われ、お友達同士が長男を取り合いケンカするほどの人気者に。
幼稚園で顔を合わす色々なママに
「うちの子は家でずーっと長男くんの話ばかりしているのよ!良かったら家に遊びに来て!」
と声を掛けられ、電話番号を交換することも多くなりました。
もちろん私は
「やっぱり日本人らしい思いやりだって大事なことだったんだ!」と思いとても嬉しくて、誇らしい気持ちでした。
しかし色々なお友達が長男と一緒に遊びたがり、休日などのプライベートでお誘いをもらってもなかなか行きたがらない長男。
日本人や日独ハーフのお友達とは喜んで遊びに行くのに、どうして現地のお友達とは遊びたがらないのだろう...と、少し違和感を感じ始めた頃。
長男が
「ママ、ドイツではだれもどうぞしないよ。はんぶんこもしないよ。ぼくだけがいつもすきなものをあげないといけないの。」
と言いました。

私はその時に頭をガーーーンと殴られたような衝撃を受けました。
長男の言ったその言葉でやっと、長男の置かれている立場に気付いたのです。
幼稚園で、長男は自分が楽しく遊んでいても誰かが「貸して」と言えば自動的に貸してしまう。
でも自分が貸して欲しい時は誰も貸してくれない。
おやつを食べていても「ちょうだい」と言われれば自動的に半分こしてしまう。
でも自分はちょうだいと言っても誰も半分こしてくれない。
日本だったら周りのお友達も順番を守ったり半分こをしてくれるから、他人に優しくしたら自分も優しくしてもらえる。
でもここでは、自分だけが常に我慢をしている。
実は長男を慕ってくれるお友達は、他のお友達とはおもちゃの取り合いやケンカになるのに、全部合わせてくれる長男とは楽しく遊べる都合の良さから長男が好きなのではないか?
もちろん相手も3〜4歳児なのでそこまで深く考えてもいないでしょうが、そう考えたら異常なほどに好かれる理由に納得してしまう部分がありました。
そして何よりそんな毎日を過ごしていた長男の気持ちを考えると可哀想で、日本人らしくいて欲しいという自分のエゴを押し付けてしまったのではないかと後悔しました。

人として、とても大事な譲り合い。
日本人として、どうしても覚えておいて欲しい。
でも、でも、それで現地に馴染めないのなら...
それで長男が苦しい思いをしていたら...
どうしたら良いのかとても悩みました。
そこで長男と話し合い
「譲ってあげるのはとても素敵なことだけど、長男が悲しくなるのなら譲らなくてもいいよ」
と伝えました。
そのかわり断る時はきちんと理由を話し
「まだ遊びたいからもう少し待ってくれる?」
とお友達に聞いてみることにしました。
その後長男とお友達のやりとりを注意深く観察していると、優しい口調で断ることもできるようになりました。
待てなくて癇癪を起こしてしまうお友達には譲ってあげる長男。
それでもイヤイヤながらに譲ったのでもなく
「もうちょっとあそびたかったけど、かしてあげたらよろこんでたね〜」
と言って笑顔になる長男。
少しずつ子供だけのやりとりでも上手くやれるようになりました。
そして嬉しい変化がもう一つ。
長男は相手からおやつをちょうだいと言われると
「じゃあそっちのおやつも半分ちょうだい」と言うように。
こうして子供たちは自然とおやつ交換をしたり、妥協案をみつけていけるようになりました。

文化の違いもあり、異国で初めての子育てをすることは戸惑うこともたくさんあります。
ドイツで日本の一般的な育て方を否定されることもありました。
それでもきっと子供にとってプラスになる!と信じてやってきた分、この経験はとてもショックとともに大きな学びとなりました。
長男が悲しい思いをしていたのではないかと考えると、今でも胸がぎゅーっと締め付けられます。
それでも長男が自分で日本とドイツの良いところを積極的に取り入れて上手くいくようになったことは、子供の成長を強く感じることができました。
育児に正解がないように、長男をよく見ながら長男に合ったやり方を模索してドイツと日本のバランスをうまくとりながら長男が楽しく成長できるように母も頑張ろうと思えた経験でした。
(ライター:てぃてぃ)

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