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公開 2020年02月05日  

ワーキングマザーは迷惑…?変わるきっかけをくれた女性上司の話<第三回投稿コンテスト NO.102>

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出産後も、以前と変わらず、バリバリ働きたいと考えていた、あみちさん。しかしある時、疲労がピークに達し、大事な会議をすっぽかしてしまい…。女性上司にかけられた言葉が、救いになったお話です。



働きながら子どもを育てているわたしにとって、忘れられない人がいます。

第一子の産後、約1年の育休を経て仕事に復帰したときのことです。

配属されたのは出産前とは違う部署。

Nさんという先輩が指導役につき、慣れない業務を親切に教えてくれました。

自身も小学生のお子さんがいるNさんは、明るく面倒見の良い女性。

ちょっとお節介すぎるところもありました。

体調が少し悪くてデスクでうつむいていたとき、Nさんに「大丈夫?今日はもう帰りな!ほら、早く」とうるさいくらいに促され、仕事もそこそこに早退させられたことも。

彼女はいつも「育休後の1年はリハビリ期間みたいなもんよ。今までどおりに働けないのは当たり前。ほどほどに働いてたらいいのよ」と、カラカラ笑いながら言うのでした。

はじめてNさんの考え方を聞いたとき「なんて無責任なこと言うんだろう」と、許せない気持ちがあったのを覚えています。

妊娠前はどちらかというとブラックな働き方をしていたわたし。

時短勤務で早く退社したり、突然休んで周りにフォローしてもらったりするワーキングマザーを少し疎ましく思っていました。

わたしは、他のワーママみたいに人に迷惑をかけるような働き方はしないのだ。

子どもがいない人と変わらない成果をあげたい。

そんな気負いがあったのかもしれません。

Nさんの言葉を背中で聞き流しながら、私は自分の仕事を着実にこなしていました。


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復帰して数ヶ月ほど経ったある日の朝。

着任してはじめて大きな仕事を任され、ときどき残業もしながら頑張っていた矢先のことです。

子どもの夜泣きがひどかった時期で、ちょうど自宅の引っ越しで荷造りに追われていたことも重なって、疲労がピークに達していました。

保育園の送り出しは夫にお願いしたから、自分も軽く家事をしてから出社しよう…とソファに腰かけたところで、意識がふっとんでいました。

気がつくと、時計の針は11時近く。

始業時刻はとっくに過ぎています。

それどころか、午前中に大切な打ち合わせがあったような…。

顔からサーッと血の気が引くのを感じました。

“せっかく周りの信頼を積み重ねようと頑張ってきたのに、最悪だー”

心臓をバクバクさせながら職場に電話すると、Nさんの元気な声が聞こえました。

「最近無理してたもんね。大丈夫大丈夫。こういうときフォローするために私がいるんだから。今日もう休んじゃえば?アハハ」

明るく笑い飛ばすその声に、どれほど救われたことか。

それ以来、他人に迷惑をかけないように意地を張るのはやめました。


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周囲の力を借りる。

無理をしない。

つらくなったら早めにSOSを出す。

子どもを育てながら働くためにとても大事なことです。

Nさんがいなければ、学ぶことができなかったかもしれません。

それから1年ほど経ち、わたしの仕事も軌道に乗ってきたころ、Nさんは体調を崩して休職。

その後、退職してしまいました。

わたし以外にもたくさんの同僚を気づかい、時には上司との調整にも入っていたNさん。

彼女の心労は計りしれません。

Nさんにもらった優しさは、今度はわたしが新米ワーママのフォローをして返していきたいと思っています。


(ライター:あみち)


※ この記事は2024年02月28日に再公開された記事です。

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