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公開 2020年01月31日  

みんな昔は赤ちゃんだった。里帰り出産で知る母の愛情<第三回投稿コンテスト NO.87>

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里帰りして息子を出産した、りんりんさん。そこで母から、自分が赤ちゃんだったころの話をされ、改めて母の偉大さに気づいたといいます。



息子が産まれる1ヶ月前から産後1ヶ月まで里帰りで実家に帰った私。

妊娠、出産、そして息子の新生児期の子育てを通して、私も愛情をたくさん注がれて育ったひとりの「娘」であることをより実感した。


里帰りギリギリまで仕事をしていたため、息子が産まれる前に急いで出産準備を進めました。

ネットで「出産準備 買うもの」などと検索して、ベビー布団や哺乳瓶を購入しますが、なかなか買うものが多く、本当に必要なの?と疑問に思うことも。

そういえば、母は私たち兄弟を3人育てたんだと思い、母に絶対必要なもの、産後必要になったら買えば良いものなどアドバイスをもらうことに。

しかし母の第一声は「昔のことはわかるけど、今の子育てはよく分からないなー」と頼りない一言。

とは言いつつ、やはり経験者、いろいろ教えてくれる。

そんな出産準備の中で印象に残った言葉、それは数ある新生児下着が分からず一緒に買い物に付き合って貰ったときのこと。

「あなたを妊娠して、赤ちゃん用の服を洗濯しているときに、幸せで涙がでたわ」

そのときは必要なものを揃えるのに必死だったのであまり深くは考えなかったけれど、確かに洗濯して干した赤ちゃんの服を見ると、母の気持ちが分かった。

お腹の中に、赤ちゃんがいる。

私のところに赤ちゃんが産まれてくる。

こんなに小さな服を着る赤ちゃんが。

そんな思いを、母も私に対して思っていた。

私も母にそう思わせる存在だったこともあったんだ。


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息子が産まれたあとは、出産前とは比べ物にならないほど、母を頼ることになった。

市の開催する母親学級で新生児の生活について教えてはもらっていたものの、こんなにも大変なのか、、、新生児、、、と早くもギブアップしたくなることばかり。

まとめて寝られない、授乳がうまくできない、なぜ泣いているのか分からない、泣き止ませなきゃ、おっぱいなんで飲めないの、とにかく寝たい、と無限ループ。

母はそんな私を気遣い、近くのスーパーに買い物に行っておいでと言って息子を預かってくれた。

外にでると、出産前には毎日散歩して見ていた桜は散り、緑が生い茂る。

咲いていなかった花が咲いていて、私の知らない間に季節が変わっていた。

私だけ取り残された気持ちになって涙が出た。

でも泣いてはいけない、子育ては楽しいもののはずだ。

息子はとてもかわいい。

いとおしい。

なのに、辛いなんて思ってはいけない。

息子に申し訳ない。

早く帰って息子の世話をしないと、母親なんだから。

だから少しだけ遠回りをして涙が乾いたらすぐに帰った。

それからも母は仕事をしながら、私の面倒をみたり息子の面倒をみたりと、多くのサポートをしてくれた。

泣き止まない息子に私が疲弊しているとき、母が息子の抱っこを変わってくれた。

私のただ必死に泣き止ませようとする抱っことはちがい、母は童話をうたいながら、優しく息子に話しかけて抱っこをする。

さすが経験者、赤ちゃんの扱いがちがう、と感心。

一方で、母はこんな風に抱っこできるのは、私を同じように抱っこしてくれてたからなんだと気づいた。


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息子ももうすぐ1ヶ月、里帰りも残りわずかというところで、ようやく少し息子もまとめて寝てくれるようになってきた。

少し落ち着いた時に、母に「新生児ってこんなに大変なんだね、私のときもこんな感じだったの?」と聞いた。

すると驚くことに、母が私を育てたときの環境は今の私よりもはるかに厳しいものだった。

まず、私は低体重のため保育器に入ってしばらく入院。

その後退院するも、小さい体のためか全くおっぱいに吸い付けない。

私の息子も吸い付きが下手だと思っていたが、母いわく「あなたよりはだいぶ上手(笑)」とのこと。

ミルクの選択肢もあったが、産院から母乳を進められていたため、おっぱいの吸えない私を何度も咥えさせ、その度にうまくいかず泣き続ける娘の私。

そして、私の父は泊まり勤務でほとんど家に帰ってこない。

完全にワンオペでの新生児育児。

あまりに過酷だったため、祖母に緊急のヘルプをだし、1ヵ月ほど手伝いに来てもらうことになったらしい。

そ、そんな大変な思いをさせてたのか新生児の私、、、どれだけ母の負担だったのだろうと思ったが、父いわく、母は私のことがかわいくて仕方かったのだったとか。


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今の私と母はまるで友達のような関係だが、過去には、一人では何もできない赤ちゃんの私と、そんな私をいとおしく抱っこして育ててくれた母の関係もあったのだ。

残念ながら私は覚えてないけど、今の私が息子に対していとおしさを感じるように、母も私にいとおしさを感じて接してくれていた時代があるのだ。

新生児の大変な時期でも、耐えて耐えて、愛情をもって育ててくれたこと。

結婚式で、いままで大切に育ててくれてありがとうと手紙を読んだけど、息子が産まれた今では、その10倍くらい母にありがとうを言いたい。

そして、それを教えてくれた息子にも感謝したい。

これから息子が大きくなるにつれて、どんどんいとおしさを増す度に、私も母から愛をもらっていたのだと気づくだろう。

母からの愛情を貰って育った私は、同じように息子にたっぷりの愛情を注いで、今日も育児をしていこうと思う。


(ライター:りんりん)


※ この記事は2024年02月17日に再公開された記事です。

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