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世界一かわいくてかっこいい、私のヒーロー。近所の公園で大冒険<第三回投稿コンテスト NO.45>

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現在5歳の息子さんがいる海さん。おばけや鬼はもちろん、虫や雷、ブランコやつり橋なども怖がっていた息子さんの、ちょっぴり笑える成長物語です。


赤ちゃんの頃の長男は、興味のあるものに一直線に向かっていく子だった。

子育て広場に行くと、初めての人や場所にしばし固まるが、目新しいおもちゃへの興味が勝ってすぐに動き出した。

みんなで輪になってする手遊びには全然興味を示さない。

呼んでも来ないし、連れ戻すと暴れて逃げていく。

親子の触れ合いタイムは、私の手遊び勉強タイムだった。

歩くようになると、今度はまだ足元がおぼつかないくせに、花壇の縁のレンガや公園の植木の斜面など1歳児には険しい道ばかりを行きたがった。

階段のぼりも大好きで、出かけた先のお寺の石段を黙々とのぼり続けた時はかなり見晴らしのいい高さまで到達した。

動物も好きで散歩中の犬にはぐいぐい近寄り顔を触ろうとする。

噛まれやしないかと心配で何度も止めたが毎回触ろうとするので、外に出るときは犬がいないか周囲を確認してから出かけたくらいだ。

それでも遭遇することはある。

近所の公園で遊んでいた時に大型犬、それも胴の長さだけで当時2歳の長男の身長を超えるような、大人でもビビるサイズの犬が散歩で現れたのだ。

「ワンワン!」

長男は当然走って近づいていく。飼い主のおじさんがリードをしっかり握っていたが、長男が顔を触ろうとした瞬間、大型犬は後ろ足で立ち上がって飛びついてきた。

前足を肩にかけられた重みでしりもちをつく長男。

飼い主さんが慌てて犬を引き離してくれたが、私は血の気が引いた。

しかし長男は驚いた表情で「ワンワン、僕のこと大好きなのかな」と言い放つと嬉しそうに再び触りに行ったのである。

怖いもの知らず。

2歳までの長男はまさにそんな感じだった。

見ているこっちがヒヤヒヤしっぱなしだったが、男の子だし、ある程度は許容してたくましく育ってもらおうと思っていた。


世界一かわいくてかっこいい、私のヒーロー。近所の公園で大冒険<第三回投稿コンテスト NO.45>の画像1
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しかし3歳を過ぎる頃になると、「怖い」という感覚を理解したのか、怖さを想像できるようになったのか、一気に色々なものを怖がるようになった。

おばけや鬼はもちろん、虫や雷、ブランコやつり橋なども怖がるようになった。

「あ!」と私がわざと驚いたように声を上げただけで「なに!? なんなの!?」と周囲を見回してびくつく有り様。

あんなに顔ばかり触ろうとしていた犬に対しても、むやみに近づかなくなり、触っても背中をチョンと指でつつく程度になった。

ビビリ。

3歳の長男はまさにそんな感じになった。

けれど3歳頃といえば仮面ライダーや戦隊物に興味を示しだす時期でもある。

長男にもヒーロー願望なるものがむくむくと湧いてきたようで、「悪者が来たらぼくがやっつけてあげる!」「何かあったらぼくを呼べ。助けるから!」など強気なイケメン発言を繰り返すようになった。

とはいえ、実際に部屋に虫が入り込んだ時などに「助けてー」と長男を呼ぶと、完全に腰が引けて近寄りもしない。

5メートルはゆうに離れた場所からちらちら様子を窺うだけ。

虫といってもコバエや蟻サイズである。

そのギャップがかわいくて、小さな虫やカエルをみつけるたびに「助けてー」と長男を呼んでいた。


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ところで、私の住んでいる町の駅には動く大きな恐竜のモニュメントがあるのだが、この頃の長男はそれを「かっこいい!」ととても気に入っていた。

普段は基本的に車移動なので駅に行く機会が少ないこともあり、たまに駅に行くと必ず「恐竜が見たい!」とせがんでいた。

なので毎回恐竜を見に行くのだけれど、長男は決して恐竜に触れない。いや、触れるどころか近づきすらしない。

50メートル以上の距離を常に保って眺めているのだ。

ヒーローのプライドで決して口にはしないが、怖がっているのは一目瞭然。

せっかくだし近くで見ようと何度か誘ってみたものの、完全拒否。

まぁ当然だ。

見た目はリアルだし、動くし、BGMもなるし、小学校低学年くらいの観光客の子どもがびくついているのを見たこともあるくらいの立派なモニュメントなのだ。

3歳の、しかもビビリの長男が近づけるはずがない。

遠く離れた恐竜を指さして嬉しそうに笑う長男を見ていたら、遠くてもこの子は大満足なんだなぁと思い、近くへ行こうとは誘わなくなった。


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それから半年ほど経ち、長男が4歳間近になった頃のことである。

駅前まで出る用事があったので私は長男を誘って二人で出かけた。

所用を済ませた後、長男に久しぶりに恐竜を見に行くか聞くと、「行く!」と即答だったので、恐竜が見える駅前広場に向かい、ベンチに並んで座った。

「あ、動いた! すごいね!」

長い首を上下に揺らす恐竜を見て長男が目を輝かす。

私は何気なく尋ねた。

「近くで見てみる?」

「うん」

「そうだよねー怖いもんねぇ……って、今うんって言った?」

「ぼく、近くで見たい」

まさかの近くで見たい発言!

拒否の返答しか想定していなかった私は驚きつつも「じゃあ行ってみよう」と軽い感じで立ち上がった。

長男もノリノリでついてくる。

その姿に成長を感じて嬉しくなり、近くで見たらきっと大きいだろうねぇと期待を持たせながら恐竜の方へと歩いた。

しかし、いざ恐竜が近づいてくると明らかに歩みが鈍る長男。

手をつないで歩いていたのだが、若干後ろに手を引っ張られる形になってきた。

「ほら、もうちょっとだよ」

私は努めて明るく言った。

長男の表情は見るからにこわばってきている。

それでも完全に立ち止まることはない。

近づく恐竜をちらちら見ながら歩いている。

もし「やめよう」と言えばすぐに頷くかもしれない。

でも、ゆっくりだけど進み続けている長男が今まさに恐怖心と戦っている最中のような気がして、私は何も言えなかった。

恐竜の前まで残り1メートルほどになった時、長男が言った。

「ママ怖い?」

「えーと……怖いよ。けど近くで見たいなぁと思って」

私は長男の横にしゃがんでそう答えた。

もう十分だよ。

もう十分長男は頑張った。

恐竜は間近にいる。

今までにないほど近い距離にすでに来ている。

見上げるほど近くだ。

「恐竜、大きいねぇ」

私につられるように、無言で立ち尽くす長男がちらりと恐竜を見上げた。

長男の手にそっと触れ、私は言った。

「……帰ろうか」

その瞬間、

ドドドドドーン!

重低音のBGMが鳴り響き、止まっていた恐竜が動き始めた。

すると固まっていた長男が動いた。

「大丈夫! ぼくが守ってあげる!」

そう叫ぶと私を背中からぎゅっと抱きしめた。

そう、背中から――。

長男は私の背後にしがみついて隠れながら、ヒーローの如きかっこいいセリフを叫んでいたのだ。

「あ、ありがとう……」

なんというかわいさと男前っぷり。

長男の手がぷるぷるしているのを背中に感じながらキュンキュンが止まらなかった。

そして、笑いをこらえるのに必死だった。


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5歳になった長男は、今でも怖がりなところはあるが、蟻やダンゴムシは触れるし、蚊は刺される前に叩き潰すようになった。

節分会では泣かずに鬼に豆をまき、お泊り保育ではお化け屋敷にも入れた。

恐竜のモニュメントも近くで見ている。

そして今でも「もし泥棒が来たらママは2階に隠れてね。僕がライダーキックでやっつけるから」と、かっこいいポーズを決めながら正義の味方のような言葉をかけてくれる。

こんなかわいいスーパーヒーローは他にいない。

いつまでママのことを守ってあげると言ってくれるのかしら。

先のことを考えるとちょっぴり切なくなるけれど、言われなくなっても平気。

だってあなたの存在そのものが、生まれた時から私のことを守ってくれているのだから。



(ライター:海)



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