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公開 2019年12月25日  

なぜ年末は、こんなに忙しいのか。忘年会、懇親会、風邪、そして風邪。

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みなさんお風邪などひいてませんか?
十二月というだけでほとんど非常事態なのに、ウィルスやら忘年会やら試練が絶えませんね。
甘いものでも食べて乗り越えましょうね。


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うちの末っ子二歳(アイドル)が風邪をひいた。

七歳長女からの感染である。


長女の症状が記憶に新しいので、この先の体調の変化がだいたい読める。

微熱→倦怠→高熱→1日で解熱

だいたいこんな感じ。

鼻水や咳もそんなにひどくならないであろう、と長女を見ていたので、そう見当がついた。

この風邪はまぁ、おそるるに足らず、のやつだ。

姉弟がいると、ふたり目以降の風邪は、だいたい体調の変化の予測がついて、便利がいい。

RSウィルスとか、インフルエンザとか、ノロまたはロタ、なんかの深刻なやつだと、その見える未来が絶望を呼ぶ場合も、もちろんあるのだけれど。


が、今回に関しては楽観材料だった。



ちょっとお仕事が立て込んでいるけれど、熱もあるし、しんどいだろうから昼間も寝るだろう、なんといってもまだまだ二歳だし、体力はお姉ちゃんの半分くらいだものね。

その隙に少し仕事しよう、そうしよう。と思った。思っていた。

のだけれど、なぜなの、とても元気な二歳(アイドル)。

幼稚園をお休みして、ママを独り占めしているのがよほど嬉しいのか、テンションがマックス。

終始にこにこご機嫌で、「きょうはおたんじょうび!」と飛び跳ねんばかりだった。

もちろん、お誕生日ではないし、なんならお誕生月ですらない。

長男がお誕生日のときに、幼稚園からもらったお誕生日カードを首からぶら下げて、お誕生会ごっこを延々とやっていた。

もちろん付き合った。

かわいいと、寝てほしいが、複雑に絡み合ってせめぎ合う。

この感情をなんて言うのだろう。あれかな、「寝て」かな。



ようし、お昼ごはんを食べたらお腹もいっぱいになって、いよいよ寝るだろう。

大好きな素うどんで勝負をかける。

葱やら人参やらを入れたいのをぐっとこらえる。

食欲がやや減退しているときに、やる気をそぐわけにはいかない。

こちらとしてはなんとしてでもお腹を満たして、気持ちよく入眠していただきたいのだ。

素うどんと、好物の牛乳を並べた、真っ白な食卓。

食べたり食べなかったりしながら、なんとかそれなりの量を口にしてくれた。

さぁ、いよいよおねんねですよ、とお布団を敷いて、一緒に並ぶのだけれど、やはり、寝ない。

「おにんぎょうがねるの。うふふ」と言いながらドレスを着たお人形を三体、お布団に並べていた。

楽しそうでけっこうなのだけれど、お願い寝て。

「お人形と一緒に寝ようね」と促したら、ころんと横になってくれたのだけれど、それさえも楽しいようで目をつむりながらも、うふふ、と笑みがこぼれて仕方がない末っ子。どれだけ楽しいの。かわいい。


そして、このあたりで不穏な倦怠感が私を襲う。

鼻水が止まらない。頭がぼんやりする。そして、身体が鉛のように重い。

どこかでこれを経験したことがある。そうだ、あれだ。風邪(普通)。

ウィルスの生命力に感心するばかりだ。ちゃんと次なる繁殖の地を目指して、流浪するのだね。


加速度的に朦朧としてきたところへ、学期末で短縮授業だった長女が帰宅した。

宿題をさせて、お友達と遊ぶというので送り届けて、続きましては幼稚園へ長男のお迎え。

長男を習い事へ送迎したら、チャイルドシートの中で末っ子は健やかに眠っていた。やっと来た。

末っ子が寝たらひと働きする予定だったけれど、倦怠感が全身を満たしていたので、車の中で末っ子と仮眠。

お願い、起きたら頭の先から足の先まで全快していますように。



車の窓をノックする音で目が覚めた。

夫だった。

「長男のお迎えの時間じゃない?大丈夫?」

時計を見ると習い事が終わる時間だった。

「じゃあ、行ってくるね」

颯爽と立ち去る夫の後ろ姿を見ながら、そうか、今日は懇親会とやらだったな、と新たな現実に直面した。


あの、十二月の懇親会とか忘年会とか、みんなどのようにして受け止めているんだろう。

年末の飲み会や食事会の多さ、どうにかならんだろうか。

小さい子どもを抱える我が家では、年末の忙しさの中、あらゆるウィルスと闘う非常事態ともいえる十二月であるのに、なぜ、頻繁に酒を酌み交わし、懇親したり年を忘れたりするの。

お手紙をお互いしたためたり、なにか小さくて粋な(ファンシーな付箋やシールとか)プレゼントを贈りあったりして、懇親したり年を忘れたりするのでは、いけませんでしょうか(切実)。

そんな時代が来ることを心からお祈り申し上げますとともに、早目のご帰宅をお願いしたいです。



さて、身も心もふらふらなまま、長男と長女をお迎えに行く。

夕飯をつくるライフなんてもう残っちゃいないけれど、明日の朝の私のためにカレーをつくることにした。

カレーをつくって、明日の朝食にも充てるのだ。

スーパーでカレーの材料と一緒に、そのまま口にできそうなものを、手当たり次第買う。

イチゴだとか、みかんだとか、ミニトマトだとか。

足りないビタミンをそれらで補う。あとはカレーさえ作れば今日という日を乗り越えられるのだ。

遠くにかすむトンネルの出口を目指して、ただひた走る夕べ。


帰宅して、上のふたりをお風呂に向かわせて、カレーを作る。

湯上りにカレーを食べさせて、食後にミカンなどを与えて、末っ子とお風呂に入ろう、とするが入らない。

イヤイヤ期二歳、頑として入らない。

いったん保留にして、上のふたりの歯磨きなどを済ませる。

さぁ、仕切り直してお風呂だよ。するとすんなり「うん」と言いお返事。

「じゃぁ、ママも入るね」と服を脱ぎかけたら今度は「だめ」といい笑顔。

なにかの聞き間違いでは、と思い、さぁもう一度「ママも入るね」。


「だ!め!」


そうか。

心身のライフがもう底辺を這いつくばっていた。

交渉する元気も、説き伏せる元気も残っちゃいない。

頭は痛いし鼻はつまるし、満身創痍のはっきりとした風邪を身にまとっていては、末っ子の「だめ」をただ受け止めるしかできない。

そうこうしているうちに上のふたりの寝支度が整って、めでたくふたりはお休みしてくれた。



お昼寝をして、カレーを食べて、お風呂を終えた末っ子は、これ以上ないくらいに元気いっぱいになっていた。

「治癒」の二文字が、末っ子の背後に燦然と輝いていた。

もう、とうぶん眠ることはありません、とらんらんとした表情が物語っていた。

この後の顛末は、もはや書くまでもないので省略する。

なかなかのアレだった。


明けて本日、鼻は依然としてつまってはいるけれど、子どもたちがみんな元気になってひと安心。

あとは、忘年会及び懇親会、さらには新年会が、心のこもったお手紙にかたちを変える未来を鮮明にイメージしながら、クリスマスと年末を駆け抜けようと思う。

みなさん、風邪、その他のウィルスには、くれぐれもお気をつけくださいね。

良い年末を。


※ この記事は2024年03月22日に再公開された記事です。

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