自己主張が強いタイプの娘。
友だちに対してもきつめの態度で主張することが多く、その言動に母親として慌ててしまうことがあります。
娘の親友のAちゃんがママと一緒に遊びにきてくれた日のこと。
わが家の前で、二人で昔懐かしい缶ぽっくりで遊んでいました。
コーンの缶でできた背丈の低い缶ぽっくりとホールトマトの缶でできた背丈の高い缶ぽっくり。
はじめは交替で使っていたのですが当然背丈の低いコーン缶のほうが簡単です。
途中から二人とも「コーン缶でやりたい!」と言い出しました。
気の優しいAちゃんが笑顔で「おねがい、おねがい」訴えるのに対し、娘は怖い顔。
意見が通らないと判断したらプイッと家の奥へ引っ込んでしまったのです。
すかさずAちゃんが娘の後を追っていきました。
顔を伏せて三角座りをしている娘をAちゃんが懸命になだめてくれています。
Aちゃんのママと私は玄関から部屋の様子をうかがっていました。
「ねえ、私が悪いんでしょ?」
娘をなだめるAちゃんの声が聞こえてきます。
わが子は無言でスネたまま。
その状況に申し訳なくなった私は家に入り娘の説得をはじめました。
「ほかのオモチャで遊んだら?」
首を横にふる娘。
「あなたはトマトの缶ぽっくりも上手でしょ、コーン缶は貸してあげたら?」
首を横にふります。
長期戦になる予感…。
気分を変えるため娘を別室へ連れていきました。
今度は低めのトーンで諭してみます。
私「Aちゃんが遊びにきてくれたのに機嫌悪いままでいいの?楽しく遊べる時間が減っちゃうよ」
娘「いいの!」
私「そろそろ夕方だからAちゃん帰っちゃうよ。笑顔で終わろうよ」
娘「いいの!」
私に似て頑固な娘。
折れる気配はありません。
けれど、せっかく遊びにきてくれているAちゃん母子をこのまま放っておくわけにもいきません。
抵抗する娘を抱き上げ部屋から出ました。
AちゃんママもAちゃんの説得してくれているようでした。
「缶ぽっくりは娘ちゃんのでしょ」と聞こえてきます。
私は、抱いていた娘をAちゃんの前に立たせ仲直りするよう促しました。
相変わらず仏頂面でうつむいている娘と、機嫌を伺うように娘の顔を覗きこむAちゃん。
Aちゃんのママと一緒にしばらく見守っていましたが、母たちの間には気まずい空気が流れています。
いたたまれなくなった私は二人から視線を背け、まったく関係のない話をAちゃんのママにふりました。
「最近は仕事落ち着いてきたの?」
…すると、二言三言話したところで大爆笑が聞こえてきたのです。
娘たちです。
見ると、なわとびをもって2人でケラケラと笑っているではありませんか。
「あれ、缶ぽっくりじゃないの?」とAちゃんママ。
大人たちがあれこれ説得してもダメだったのに放置したとたんに仲直りした子どもたち。
拍子抜けしてしまいました。
考えてみると、子どものケンカなんて幼稚園ではしょっちゅう勃発しているでしょう。
先生もいちいち仲介していられないし、その都度子ども同士で折り合いをつけているはず。
大人の場合なら一度ケンカすると「しばらく話しづらい」という状況に陥ったりもします。
でも5歳の子どもたちが「あの子とケンカして話しづらい」と言っているところは見たことがありません。
きっと大人より子どもほうがよっぽど仲直り上手なんです!
この日の私は、子どものケンカが原因でママ同士の間に流れる重い空気に耐えられなくて娘たちの仲裁に入り撃沈しました。
もしかすると私が入ったことで娘も意地になって仲直りのタイミングを失ったのかもしれません。
放っておいたらもっと早くに仲直りできていたのかも…と少し反省。
仲直りする力は大人より子どもほうが高いはず!
ケンカが始まっても子どもを信じて見守っていればいいんだと気づかされました。