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公開 2019年11月12日  

絶賛イヤイヤ期は「仕方ない」でラクに。山口もえさんの完璧じゃない育児

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バラエティ番組などでの絶妙な間合いが印象的な山口もえさん。育児やママ友づきあいにおいても、そのバランス感覚が発揮されているようです。リフレッシュのため工夫していることなどについても伺いました。


気づかないうちに体がダメージを受けていた

――一番下のお子さんは2歳とのことですが、3回目の出産はどうでしたか?

出産は3回経験しましたが、3人目が一番大変でした。
産後は疲れもたまっていたのか乳腺炎を起こしてしまい、さらに帯状疱疹にもなってしまったんです。

思い返すと12年前の1人目の出産のときは、赤ちゃんのお世話と自分の体力の回復に専念することができました。
でも2人目、3人目になると、上の子にも生活リズムがあります。
そのリズムを守らなければという思いが強く、自分が休むことを後回しにしてしまいました。
ふと気づくと、自分の体がすごく大きなダメージを受けていたんです。

子育てはやっぱり体力勝負。
自分のこともおろそかにせず、しっかりケアすることが大切だと痛感しました。


――ご自身のケアのために、何か取り組んだことはありますか?

私はすごく運動が苦手なんですが、体のリカバリーと体力づくりのために、去年くらいからジムに入りました。

動いたり走ったりと子育ては常に体力を使うものですが、それだけでなく、たとえば子どもをいつも左手で抱っこするとか、人によってさまざまな体の“クセ”がありますよね。

ジムではトレーナーさんのアドバイスを受けながら、体のメンテナンスをしています。
「体のこちら側ばかり使っているから、反対側も使うようにしましょう」と指摘してもらって、自分でも普段から意識するようになりました。

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――自分ではなかなかクセに気づかないかもしれません。

そうなんです。
私も指摘されるまでちっとも気がつきませんでした。

子育てをしているお母さんたちは毎日子どもを抱っこして、重い荷物を持っているので、「私は体力がある」と思っている方も多いかもしれません。
できれば時々マッサージやジムに行って、体の状態をチェックしてもらえるといいと思います。

でも、お子さんが小さくて、なかなか外出が難しいお母さんもきっといますよね。
そんなときは、家で旦那さんにマッサージしてもらうのもおすすめです。
夜寝る前などに少しマッサージをしてもらって、「ここの筋肉が張っている」と分かれば、体のクセを意識するきっかけにもなると思います。

我が家では夫と3人の子どもたちがみんなで、私のマッサージをしてくれるんですよ。

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――お子さんたちのマッサージ、いいですね!

長女や長男と一緒に2歳の次女も一生懸命マッサージをしてくれて、体だけではなく気持ちも癒やされます。
それで今度は、お返しに私が子どもたちをマッサージしたり。
そういう子どもたちとのスキンシップを、普段からとても大切にしています。

産休中は上の子と過ごす時間を楽しんだ

――お子さんが生まれてから、仕事に対する考え方に変化はありましたか?

一番上の長女のときは、出産前から仕事復帰の時期が決まっていました。
出産して2カ月後くらいには、もう仕事を再開していたと思います。

私は16歳のときから芸能界でお仕事をしてきて、本当にこの世界のことしか知りませんでした。
ずっと駆け足で突っ走ってきて、周りからも「もしあなたが休んだら、ほかの人がすぐにそのポジションに代わってしまうから、とにかく休まないで走り続けなさい」と言われていたんです。

長女の産休が初めての長期休暇で、そのときも「ちゃんと仕事に復帰できるだろうか」と不安で仕方ありませんでした。
それですぐに仕事に復帰したのですが、4年後の長男の出産のときは、東日本大震災が起こったこともあり「もっとちゃんと子どもと一緒にいたい」と思うようになりました。


――仕事への取り組み方も変わったのですね。

子どもは本当にあっという間に成長してしまいます。
長女のときは子育てをしながらもできる限り仕事をしていて、あまり子どものそばにいられなかったという思いがありました。
なので、長男を出産したあとからは、それまでと比べて仕事のペースをグッと落としました。

先ほどもお話ししましたが、2人目、3人目になると、生まれた赤ちゃんのケアだけではなく、上の子の生活リズムも守らなければいけないですし。
子どもとの時間を優先した上で、仕事に取り組むようになりましたね。

一番下の次女のときは自分の体力回復にも時間がかかったので、1年くらい休んでから仕事を再開しました。

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――産休の間はどのように過ごしていたのですか?

1回目の産休のときは仕事を休むことへの不安もあって、「何かしなければ」と思い、野菜ソムリエの資格を取得しました。

2回目のときはさらに上位の資格の勉強もしつつ、出産前に、上の子と一緒にあちこち旅行をしました。
せっかくのお休みなので、赤ちゃんが生まれる前に、上の子との楽しい時間をたっぷり過ごしたいと思ったんです。
「今日はどこに行こうか?」と子どもに聞いて、行きたいと言ったところに出かけて。
日帰りで遊びに行ったり1泊旅行をしたり、とても楽しい思い出です。

完璧を目指すより、子どもと楽しく過ごすほうを優先

――これまで12年間の子育ての中で、大変だったことは何ですか?

子どもたちが順番にインフルエンザになったときはつらかったですね。
看病をしていた私にもうつって、子どもと一緒にダウンしてしまいました。
本来ならインフルエンザにかかった人は部屋を別にするのですが、「みんなインフルエンザだから別にいいや、一緒に寝よう」って。

そういえば長女がまだ小さかったころ、インフルエンザになって、病院の先生から「薬をアイスクリームに混ぜるといいですよ」と言われたことがありました。
その通りにしたらアイスの味が苦手だったようで、口に入れた途端にプーッと吐き出してしまったんです。
あのときも「どうしよう」と途方に暮れました。

やっぱり、子どもの病気ほどつらいものはないですね。
できるなら代わってあげたいけれど、苦しそうにしているのを見ていることしかできなくて。
元気になるために薬をあげているのに、嫌がって飲んでくれなかったり。


――一番下の娘さんは今2歳で、イヤイヤ期も大変なのでは?

次女はもう絶賛イヤイヤ期です。
歯磨きもイヤ、お風呂もイヤ。
少し前までは頭を洗うのをすごく嫌がったので、次女の頭はしばらく洗ってなかったです(笑)。

歯磨きも、虫歯にさせたくない私と、口を開けたくない次女の攻防戦ですね。
でも、これは仕方ないと思うんです。
イヤイヤ期はちゃんと自我が芽生えてきた証で、「一生懸命自分でやりたい」という成長のあらわれだと思うので。


――それはイヤイヤ期3回目の余裕でしょうか……?

嫌がる次女の口を無理矢理開けて、ワンワン泣いているのを押さえつけて歯磨きをしても、お互いにイヤな気持ちになるだけです。

そのときの気分次第で歯磨きをさせてくれることもあるんですよ。
歯磨きの面白い動画を見せて、気分が乗っているときとか。

でも、体調や機嫌が悪いときは、何をやってもダメです。
「そういうときもあるよね、仕方ない」と思えるようになったら、子育てがすごくラクになりました。

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私だって、顔を洗わないまま寝てしまうこともあります。
もちろん顔を洗って歯を磨いてから寝るのが一番いいと分かってはいても、どうしても疲れて寝落ちしてしまうこともありますよね。
そう考えたら、次女がイヤイヤ言うのも「しょうがないな」と思えるようになったんです。


――そのように思えるようになったきっかけは何かあるのでしょうか?

一番上の長女のときは、私も初めての子育てで、分からないことばかりでした。
育児書を見ると完璧なママのことがたくさん書いてあって、「私も頑張らなくちゃ」と一生懸命になっていました。

でも、あるとき「私には無理だ」と思ったんです。
育児書に載っているような、離乳食も全部手作りで完璧なママには、私はなれないなと。
それからは、無理をして完璧を目指すよりも、子どもと楽しく過ごした方がいいと思うようになりました。

ママ友とは持ちつ持たれつのいい関係

――お子さん3人だと、いろいろとママ友づきあいもあるのでは?

子どもの学校のお友達家族や、私の学生時代からの友人など、ママ友には本当に助けてもらっています。

この間も、私も夫も仕事で朝早く家を出なくてはならず、「子どもの学校と保育園をどうしよう」と困っていたら、近所に住んでいるママ友が「うちに来ていいよ」と子どもたちを預かってくれました。

困ったときに頼れるママ友が身近にいるのは、すごくありがたいですね。
助けてもらった分こちらもお返ししたり、機会があるごとにお裾分けをしたりしています。
持ちつ持たれつで「何かあったら頼むね」と言い合えるママ友は、とても心強い存在です。


――お互い子育てをしているママ同士だから助け合えるのかもしれませんね。

子ども同士が仲のよい家族で、何組か集まって出かけることも多いです。
夫がなかなか連休を取れないので、私が子ども3人を連れて、ママ友家族と一緒に旅行をすることもあります。
子どもは子ども同士ワイワイ遊んで、パパとママは夜遅くまでお酒を飲んで語り合って。
そんな旅行がここ何年か続いていて、すごく楽しいです。

子ども同士が一緒に成長していく様子を見られるのも嬉しいですね。
年齢や学校が違っても、ずっと変わらず仲良くしています。

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――上手なママ友づきあいを続けるコツはあるのでしょうか?

私は最初の直感を大事にしています。
初対面のときに「ちょっと私とは合わないな」と思ったら、その方とはそれ以上深いお付き合いはしません。

誰でもきっと、そういうカンのようなものがありますよね。
もしかすると「何度か会ったらとてもいい人だった」ということもあるかもしれませんが、第一印象での直感って結構当たっていると思うんです。

「ちょっと苦手だな」「一緒にいると疲れそうだな」という人と無理に仲良くしようとすると、後々お互いにつらい思いをすることになってしまうのではないかと思います。

「いつもと違う時間」を意識してつくる

――子育て中、リフレッシュできるのはどんなときですか?

私と同じように子育て中のママや、またはバリバリ仕事をしている友達など、いろいろな人と会っておしゃべりをするのがリフレッシュになっています。
普段あまり会わない人と美味しいものを食べて、美味しいお酒を飲んで、話したいことを話して。
子育ての合間に、そういういつもとは違う時間をつくるようにしています。

あと最近楽しかったのは、昼間からビールを片手に映画館で映画を観たこと!
何かに没頭できる自分だけの時間はすごく大切なもの。
映画館からの帰り道は心も体も軽くなって、良いリフレッシュになりました。


――最後に、子育て中の皆さんにメッセージをお願いします。

以前ある女優さんから「子どもはあっという間に大きくなっちゃうよ」と言われた言葉が、ずっと心に残っています。

「抱きしめたいと思ったときに子どもが大きくなっていたら、もう抱きしめさせてくれない。だから子どもが抱きしめてほしいと思っているときは、いっぱい抱きしめてあげた方がいい」と。

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子育ては大変なことも多くて、「もうイヤ!」「いつまでこの大変さが続くんだろう」という気持ちになることもあると思います。

でも長い人生の中で見れば、子どもが小さいのはほんのわずかな間でしかありません。
だから今のうちに、たくさん子どもを抱きしめてあげてほしいな、と思います。
10年もしないうちに「抱っこ」なんて言わなくなってしまいますから。

8歳の長男も、今はまだ嫌がらずにギューッとさせてくれるけれど、きっとあと数年で「やめて」と言われてしまうんだろうな。
そう考えると、子どもの成長はうれしい反面、少し切ないですね。


プロフィール
山口もえ

1977年生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。タレントとしてテレビや雑誌、CMなどさまざまなメディアで活躍中。2007年に第1子、2011年に第2子、2017年に第3子を出産。野菜ソムリエプロの資格を持つ。夫は、お笑いコンビ・爆笑問題の田中裕二さん。
NHK Eテレ「趣味の園芸 やさいの時間」(隔週日曜8時~)に出演中。

※ この記事は2024年04月03日に再公開された記事です。

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