わたしが子どもの頃、家にはたくさんの絵本がありました。
絵本が大好きな子ども時代だったと思います。
読みすすめていくと、自分の知らない世界に引き込まれるような気がして、とりわけファンタジー作品に夢中になりました。
そんな中でも特に大好きだった一冊が、『ゆきだるま』。
他にもたくさん絵本があったのに、夢中になって何度も何度も読んだことを、今でも覚えています。
大人になり、あんなに大好きだった『ゆきだるま』のことは、すっかり忘れていました。
再び絵本に触れるようになったきっかけは、出産。
母親になったことで、また多くの絵本を読むようになりました。
そして、ふと思い出したのです。
そうだ、わたしには、特別に大好きだった絵本があった…!
「昔大好きだったあの絵本を、娘たちにも見せてあげたい!」
さっそく絵本を手に入れようと決意。
しかし、幼少期の記憶は遠く、大好きだったはずなのに、はじめはタイトルすら思い出せませんでした。
かすかに覚えている断片的な内容を元に、ネットで色々調べる日々。
そしてようやく『ゆきだるま』の絵本にたどり着くことが出来ました。
再会した絵本を前に、たくさんの絵本を読んで過ごした子ども時代に、なぜ私はこの絵本が特別だったのか考えました。
一番の理由は「文字がないこと」だと思います。
『ゆきだるま』はイラストだけで物語が進んでいくので、子どもながらにその絵からセリフを想像して読んでいたのです。
そうすることでより一層、主人公の気持ちに入り込むことができて、夢中になれました。
大人になって、再び大好きだったその絵本を読んだとき、驚くことに子どもの頃とは全く違った感情を覚えました。
子どもの頃は、絵本の主人公に自分を重ね、ファンタジーな内容にワクワクしていました。
大人になった今は、ゆきだるまに気持ちを重ねて、切ない印象を感じます。
何度も読んでいるはずなのに、「こんなに切ない絵本だったっけ?」と新鮮な気持ちになりました。
同じ作品を同じ人が読んだのに、おもしろいな~とますます『ゆきだるま』が好きになりました。
もうひとつびっくりしたことは、『ゆきだるま』の続編が発売されていたことです。
「いったいどんな内容なんだろう?」とドキドキしながら読みました。
物語は最初の絵本より、何十年もあとのお話。
ところどころに前作とつながるポイントが散りばめられています。
前作のファンであるわたしには、たまらない展開!
大人になって、この続編に出会えたことに、大きな感動がありました。
実はまだ、『ゆきだるま』の絵本を子ども達には読んでいません。
寒い季節になってきたので、そろそろ一緒に読んでみたいと思っています。
「どんな気持ちになるのかな?」
「私のようにワクワクするのかな?」
「子どもたちはこの絵本を好きになってくれるかな?」
そんなことを想像して、子どもたちの反応を楽しみにしています。
子どもの時の思い出を、こんどは自分の子どもと共有できる。
絵本は何世代に渡っても繋がることができる、素敵な親子のコミュニケーションツールだと思いました。