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公開 2019年09月25日  

「子どもは友達と思って」。ラフな感じでうまくいく、"YOU流子育て"

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大学4年生の息子さんがいるYOUさんにインタビュー。親子の距離感やコミュニケーションのコツ、子育ての楽しみ方まで。前後編でお届けします。


男の子だからあまり口を出さない

―― 息子さんはもう成人されているんですよね。

そうです、今は大学4年生。
一緒に暮らしていても、生活サイクルはもうお互いバラバラですね。
息子もいろいろ予定があるみたいだし。

食事も、彼が帰宅する時間が分かっているときはつくりますけど、そうじゃないときは外食したり、何か適当に買って食べたりしてるみたい。
友達と遊んだり、バイトをしたり、大学生活は楽しそうですよ。

もう成人してますし、子育てという意味では手は離れたといえるかも。
あとは就職と、外できちんと人と接することができているか、という心配はちょっとありますけど。


―― 将来について息子さんと話はしますか?

しないしない、全然。
もちろん向こうから相談してくることがあれば話をするでしょうけど、とりあえず今は本人に任せて放ってあります。
まぁ男の子ですしね、基本的に親があまり口出すことはないかな。

息子は幼稚園から高校まで15年間、一貫校に通ってたんですよ。
大学で初めて外部の学校に進学して、そのときだけ「なんで出るの、面倒くさいのに」って話はしましたけど。
それも本人が考えて決めて、相談というより報告という感じだったので、「そっか」と。

周りを見てても、そんな感じの距離感の親子が多いですよ。


―― 一貫校だとお友達同士も絆が強くなりそうですね。

3歳から18歳までずっと一緒だったから、お母さん同士もめちゃめちゃ仲よくて。
卒業した今もみんなでご飯を食べに行ったり旅行したり、子ども抜きでも普通に仲よしです。

息子の友達も、今でも週末になると大体4~5人がうちに来てゴロゴロ寝てますね。
幼稚園から一緒の子もそうだし、大学で仲よくなった子たちも、よくうちに来てくつろいでます。

大体いつも誰かいるけど、帰ってみないと誰が来てるか分からない。
顔を見て「ああ、この子か」って。
体の大きな男の子が何人もいると、ちょっとジャマですけどね(笑)。
昔から知ってるから、よその子って感じがしない。
みんな自分ちの子みたいな感じです。


―― 小さい頃からの友情が続いているんですね! 息子さんは小さい頃どんなお子さんでしたか?

うちの子はあんまり手がかからないタイプで、それほど大変だったことはないかも。
学校生活で困ったこともとくになかったかな。

でも、挨拶とか感謝とか、礼節については非常に厳しく育てました。
そういう常識に関することにはとてもうるさかったと思います。

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大きくなった今も挨拶は基本。
あとは「行ってきます」や「ただいま」と同じくらい、「今日はどんな感じ?」という会話を普段からするようにしてますね。

「今日私はこんな予定なんだけど、そっちは何やってるの?」みたいな。
顔を合わせたタイミングとか、ちょっと目が合ったら声をかけるようにしています。

子どもへの接し方は親のセンスも問われる

―― 親子の会話、大事ですよね。

でも、親の話が長くなると、子どもにとっては本当に面倒くさいんですよね。
親だからって「話を聞きなさい」って押しつけるような姿勢で接すると、子どもにしたら「そっちには関係ない」「こっちの世界に入ってくるな」って気持ちになっちゃうじゃない。

実際に私も昔、親のそんな態度がウザかったですもん。
だから、何か聞いて答えづらそうだったり、答えたがらなかったりするようなことがあれば、子どもが興味の持ちそうなことを少し話すくらいですね。

たとえばテレビでやってた面白そうな話題を、要点をまとめて短く話すとか。
そういう、子どもと気持ちを共有するための心がけは、親の方のセンスも問われるんじゃないかな。

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反対に、子どもの話は、それがどんなにつまらないと思ってもちゃんと聞きますけど。


―― 確かに、自分の子ども時代を思い返すとそうかもしれません……。

結局友達と一緒なんですよ。
好きな友達と同じだって考えたら、そんなに難しくない。

相手に興味があればその人の話を聞くし、自分が話すときも相手が興味を持ってくれそうなことを話すでしょ?
で、会ったときはお互い笑顔で「イェーイ」ってなる。
それと同じ。

だからあんまり「親子」って構えないで、ラフな感じでやっていったらいいんじゃないかな。


―― ケンカになることはないですか?

息子が言うには、私が怒るとめちゃめちゃ怖いんですって。
あまりにも怖すぎるから、怒らせないように生活しているって言ってます。

たとえば、彼が洗濯物をたたまずに放ったらかしにしていることがあって、1日目は普通に「たたんでね~」って言うんです。
で、3日くらいは様子を見てる。

彼の生活リズムもあるし、バイトとかで忙しいのも知ってるので。
でも、2~3日経っても一向にたたまないし、ヒマそうにダラーッとしてるし……となったら、4日目にブチ切れます。

昔からそんな感じなので、息子も、何をしたら私が怒るか分かってる。
だから、いわゆる“親子ゲンカ”にはならないです。

子育ては振り返ってもしょうがない

―― 子育てを振り返って、やっておけばよかったと思うことはありますか?

振り返ってもしょうがないから、考えたことがないですね。
現実として、すでに成長した息子がいるわけだから。

そりゃ考えようと思ったら「もっとこうしたらよかったかな」ということはあるだろうけど。
留学させておけば、とかね。

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でもそれを言ったらキリがないし、今さらどうしようもない。
あとはもう、彼が今あるアイテムでどう生きていくか、自分次第でしょう。


―― お子さんが小さい頃と今では、心配ごとにも変化があるのでは?

息子が小さい頃は、病気になったらどうしようとか、骨折したらかわいそうとか、そういう心配をしてました。

でも高校生くらいからは、「社会に出て人に迷惑をかけないだろうか」という心配の方が大きくなってきたかな。

たとえば今骨折したって、もう大人だし、本人のことだからどうにでもなるんですよ。
そんなことより、他人に何か迷惑をかけていないかとか、運転していて事故を起こしたらどうしようとか、困っている人がいたらちゃんと手助けができるかとか……もう本当にリスクばっかり。

絶対何も起こらないなんてこと、あり得ないじゃないですか。
だから「子どもが大きくなった、わーい!」みたいな気持ちは全然ないですね。

赤ちゃんの姿かたちにビックリしていた

―― お子さんが生まれて、驚いたことはありますか?

一番は、人としての概念がまるでないことですね。
ご飯食べながらでもいつでもウンコするし(笑)。

あと、赤ちゃんって手が短いじゃないですか。
赤ちゃんがそういうものだって知らないから、超ビックリして。
慌てて小児科に行って、先生に「うちの子すごく手が短いんですけど、これって何かの病気ですか?」って聞いたんですよ。
「ああ、たぶん大丈夫ですよ」って言われて終わったんですけど。

歯が生えたばかりの頃に、噛み合わせがおかしいんじゃないかと思って病院で聞いたこともありました。
「これ受け口ですか? 治りますかね?」って。

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私、何かバカみたいなことでも平気で聞けちゃうんですよ。
困ったこととか気になることがあったら、何でもすぐに聞いちゃう。

だって、赤ちゃんがどういうものなのか、全然知らないじゃないですか。
自分が生むまで触ったこともなかったし。


―― はじめてのことばかりですもんね。

ビックリしたことは本当にいっぱいありますよ。
それで、赤ちゃんってかわいそうだと思ったんですよね。
こんなに手も短いし、どこでもウンコしちゃうし、自分で起き上がることもできないし。

「かわいそうだからやってあげる」っていう仕組みになってるのね、と思いました。
だからあんなに頭が大きいアンバランスな体型で、周りにかわいがられる作戦なのね、って。

でも、そんなかわいい時期は一瞬だから。
小さくて何もできなくて、親が全部やってあげないと生きていけない、みたいな時期は本当に一瞬だけ。

大きくなっちゃったらただの人ですもん。
だから、今まさに子育て真っ最中のお父さんお母さんは、かわいい時期を楽しんでほしいな。

大変なことも面倒なこともあるけれど、そういうのも含めて楽しんでおくべき! と思います。

「みんなで育てる」という感覚を持ちたい

―― 子育てを楽しむにはどうしたらいいのでしょう?

子育てをするうえで、自分の親も、旦那の親も、兄弟や友達、子どもの友達の親とか、周りのいろんな人に協力してもらうのって当たり前のことだと思う。

それは「やってもらって当たり前」ってことじゃなくて、助けてもらったら、「ありがとう」っていうコミュニケーションが増えるじゃない。
子どもがいるって、そういうコミュニケーションが増えていくことだと思うんですよね。

だって、自分の親でも、子どもがいなかったらきっとお正月くらいしか会わないでしょ?
でも、子どもがいることでコミュニケーションが全然変わってくる。

とにかく使えるものは全部使って、できるコミュニケーションを全部やって、子育てを楽しめたらいいよね、って思います。


―― 周りを頼ることも必要ですね。

近くに頼れる人がいたら、遠慮せずに「すみませ~ん」って明るく助けてもらえばいいんですよ。
そうやって関わっていくことで、いろんな人が子どもに愛情を持ってくれるようになるし。

もちろん感謝の気持ちは忘れずにね。
甘えすぎちゃうと、やっぱり相手も「ん?」ってなっちゃうから。

たとえば友達に子どもを預けて面倒見てもらったら、次はこっちが預かるとか。
そういう距離感をちゃんと見極めながら、みんなで明るく子育てをしていけたらいいですよね。

助けてくれる人って、意外と周りにたくさんいるんですよ。
だから、「何でも自分でやらなきゃ」って、あんまり決めつけないでほしい。

子どもを預けるのは無理かな……と思っても、ダメ元で聞いてみたら、「いいよ」って言ってもらえることもよくあるので。

そしてできれば自分も、よその子も一緒にみんなで育てるつもりでいてほしい。

自分の子どもだけじゃなくて、目の届く子どもたちをみんなで育てるような感覚でいれば、きっと気持ちも大らかになれると思うんです。


―― いろいろな人とのコミュニケーションは、子どもにもいい影響がありそうです。

私も息子が小さいときから本当にいろんな人に預けてたし、よその子を預かることもあった。
そのせいか、人見知りとか全然なかったんですよ。
最初だけ、預けるときにワーッと泣いてたけど、すぐに慣れました。

「子どもとずっと一緒にいたい」ってお母さんもいるかもしれないけれど、ちょっと数時間離れるだけで分かることもあるはず。
親も子どもも、人との距離感を少しずつ考えながら、みんなで育てていけたらいいんじゃないかな。

子どもが小さいときは本当にあっという間。
だから、とにかくいろんなことをしてみてほしい。
「面倒くさいな」と思わずに、今のうちに目いっぱい楽しんでおいてほしいと思います。

<後編へ続く>


プロフィール
YOU
8月29日生まれ、O型、東京都出身。CIRCLE LINE所属。18歳でモデル、歌手としてデビュー。その後24歳から、バンド「FAIRCHILD」のボーカルとして活動。バンド解散後はタレントとしてCMやバラエティ番組に数多く出演するほか、ドラマや映画、舞台など女優としても活躍中。自然体で飄々とした佇まいと、歯に衣着せぬ辛口トークが人気。

※ この記事は2024年04月08日に再公開された記事です。

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