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「ブンバ・ボーン!」はわが子のような存在。よしお兄さん14年間の撮影秘話

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人気番組『おかあさんといっしょ』の“たいそうのおにいさん”を14年間にわたって務めた、“よしお兄さん”こと小林よしひささん。子どもたちへの思いからあの名曲の誕生秘話まで。インタビュー前編をお届けします。

まさか自分が“おにいさん”になるなんて……

── 任期14年間は最長記録だそうですね。

気づいたら14年経っていて、20代から30代をほぼお兄さんとして過ごしていたんですよね。
体操の経験がこんなに長く生かせるとは思っていませんでした。

自分の意向だけでは続けられませんから、長く続けさせてもらったことは本当に光栄に思っています。

「ブンバ・ボーン!」はわが子のような存在。よしお兄さん14年間の撮影秘話の画像1


── “たいそうのおにいさん”になったきっかけは何だったのでしょうか?

私が日本体育大学を卒業して研究室に残っているとき、ちょうどNHKから大学へ、新しい“たいそうのおにいさん”の選抜オーディションの声がかかりました。

そのとき私は、オーディションに参加する学生を引率する役回りでしたが、先生が「興味があるなら一緒に受けてくれば」と言ってくださったので、リサーチのつもりでオーディションを受けてみることに。

そうしたら1次、2次と順調に進み、結果的に連れて行った学生を差し置いて私が受かってしまったという経緯です。


── 自分が“たいそうのおにいさん”になるとは想像していなかったのでは?

まったく考えたこともなかったです。

研究室に残れるのは3年間で、その後は勉強して地方公務員になろうと思っていましたからね。

就職後は定時に仕事を終わらせて、その後、体育館などを借りて子どもや高齢者に体操を教えられたらと考えていたくらいで。

ライフワークのつもりで体操とは生涯関わっていきたいと思っていたので、この仕事が決まったときには迷いなくお引き受けしました。

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カメラを止めてはいけない緊張感

── 番組では大変なこともたくさんあったんでしょうね。

いろいろありました。

「おかあさんといっしょ」の収録は、子どもの集中力がつづく範囲で、収録というより遊んでいるような自然な流れで進めます。

以前は放送時間と同じ長さの25分間で生放送のように収録していたこともありましたが、今は子どもたちが出演する部分だけまとめて収録しています。
それでも流れを止めると子どものテンションが下がってしまうので、ちょっとしたトラブルやミスがあっても収録を続けるのが基本。

あるときエンディングの収録中に、カメラに映らないところで戻してしまった子がいたんです。
興奮しすぎてしまったんですね。

その子はすぐに子どもたちの輪から外して無事も確認できたのですが、私の衣装が汚れてしまって。

でも収録を止めてはいけない、と一瞬で判断し、汚れが映らないように上半身をひねってポーズをとりました。
ぎりぎりセーフ!
だから14年間で一度だけ、エンディングで私が横を向いている回があります(笑)。

やり直しがきかないという点で、生放送のような緊張感がありましたね。

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── 14年間の“たいそうのおにいさん”生活で楽しかったことは?

たくさんありすぎますねぇ。

毎回多くの子どもたちと触れ合って、一緒に体操をして、それを収録するのが本当に楽しかったです。

14年間続けましたが、毎回出会う子どもたちが違うせいか、全くマンネリ感もなく新鮮でした。

1回の収録で40人くらいの子どもたちに会い、合計3000回以上の収録がありましたから、ざっと計算しただけでも約12万人。

これだけの期間でこの人数の子どもたちに会える人というのも、他にはいませんよね。貴重な体験をさせてもらいました。


── 14年間、同じ年頃の子どもたちを見続けてきて、変化を感じることはありましたか?

自分でもすごく考えてみたことがあるんですけど、結論は「子どもは変わっていない」ということです。

よく最近の子どもは運動能力が低下したなどと言われますが、そんなことはなくて。
番組を楽しんでいる姿は変わらないんですよね。
時代による変化はほとんどないと思います。

ただ、お父さんの育児参加はこの14年間で増えたと思いますね。収録にお父さんが立ち会うケースも増えていますし、番組のコンサートで一緒に楽しむ姿をよく見るようになりました。

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予想を少し裏切ると子どもは喜ぶ

── 子どもたちを盛り上げるために工夫されたことはありましたか?

私がお兄さんになったと同時に「ぱわわぷたいそう」という新しい体操をスタートさせたこともあり、「教えよう」「動いてもらおう」というこちらのプレッシャーや力んだ気持ちが伝わってしまったようで……最初はあまり子どもたちが乗ってくれなかったんですよ。

向かい合って指導するのではなく、横に並んで一緒に遊ぶ感覚でやり始めたら、子どもたちの笑顔を引き出せるようになりました。

体操には運動効果を得るという目的がありますが、結局、やってもらわなければ意味がありません。
だから新しい体操を考える際は、「楽しそうに見えるか」「やってみたいと思えるか」という点をかなり意識していました。

目的や効果のすき間に遊びの要素をたくさん入れて、子どもが「やりたい!」と思えるパッケージを作っていくイメージでしょうか。

その作り込んでいく作業は楽しくて好きでしたね。


── 子どもはこちらの意図を敏感に察知しますからね。

盛り上げるためのテクニックで言えば、子どもたちの期待をちょっと「裏切る」ことも効果的でした。

子どもは小さいながらに「次はこうなるはず」という予想をしながら遊んでいますが、その予想を外すようなフェイントをかけると、笑いが起こるんですよ。

収録の合間に子どもたちと話すときや、収録が中断してリスタートするまでの間によくやっていました。

テンションをキープしておかないと、中断した前と後で顔つきが全然違ってし
まいますからね。これも14年間で習得した知恵ですね。


── テレビの向こうの子どもたちやお母さんを意識していましたか?

それはなかったんですよね。

初回の収録前にスタッフから「テレビの向こう側に見ている人がたくさんいる」ということを言われましたが、目の前にいる子どもたちだけでいっぱいいっぱいで……。

でも目の前の子どもたちが楽しんでくれなければ、テレビの向こう側にも絶対に伝わらないという思いで取り組んでいました。

ブンバ・ボーン!は、わが子。ぱわわぷたいそうは、戦友。

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──よしお兄さんといえば、エンディング前の体操。「ぱわわぷたいそう」「ブンバ・ボーン!」の誕生秘話を教えてください。

「ブンバ・ボーン!」は私も歌詞のコンペから制作に参加していました。

他にもいろいろ候補はあったんですが、「ブンバ・ボーン!」という言葉の響きがすごく良かったので、ほぼ満場一致で決まりましたね。

過去のいろいろな体操を見て、言葉に意味があるほうがいいのかとも議論しました。

でもこのときは、「言ってみたくなる魔法の言葉」があったらいいなと「ブンバ・ボーン!」に決まりました。その思惑通り、子どもたちにも大人気の歌になりましたね。


── 歌詞だけの状態から、曲になるまではどういうプロセスだったのでしょう。

1曲の中で、いくつかのブロックに分けて作っていこうと最初に決めました。
そして「ドンドドン!」という覚えやすいリズムが決まり、体操の動きが決まり、最後に音楽が決まったという流れでした。

よくできていて、エネルギーがありますよね。

振り付けや作詞・作曲の専門の方にもご意見をいただきながら、体操家としての私の意見も取り入れてもらい、全員の力が結集してできた曲です。

私にとっては、卵から孵化させたわが子のような存在です。


── 「ぱわわぷたいそう」はどのように作られたのですか?

「ぱわわぷたいそう」は最初に動きありきで作られた体操でした。

私がオーディションを受けたときに曲はまだできていない状態で、ベースになる動きだけがあったので、そこに体操の要素を入れ込みました。
“たいそうのおにいさん”になってから9年間続いた思い出の曲です。

「ブンバ・ボーン!」がわが子なら、「ぱわわぷたいそう」は一緒に成長してきた戦友のような存在ですね。

電信柱の衣装が一番のお気に入り

── もう一つ、よしお兄さんといえばユニークな衣装。個人的に思い入れのある衣装はありますか?

『すずめがサンバ』という息の長い名曲があるんですが、サンバと3羽をかけているので、それまでは3人で出演するパターンが定着していました。

でも私のときに初めて、おにいさん・おねえさんを4人全員出演させようとなったようで。

でも4羽にする訳にもいかず、結果的に私が電信柱として出演することになりました(笑)。

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顔だけ丸い穴から出して、最後のほうだけちょこっと出演する、完全にお遊戯会の脇役状態。

私としては「これぞ最高の裏切り!」「そこに行ったか!」という感じで一番気に入っています。


── そういう変な衣装に対して抵抗はなかったんですか?

抵抗どころか、むしろ大好きでしたね。
ディレクターから電信柱の提案をされたときは「それはすばらしい!」と感動したくらいで。

気恥ずかしさがあったら着こなせなかったかもしれませんが、「何着ても似合うね」と言われるくらい羞恥心は飛び越えていました。
だからどんどんエスカレートしたんでしょうか(笑)。

『すずめがサンバ』でも最初は電信柱でしたが、バージョンを重ねるごとにお月さまになり最後はおばちゃん役と、モノから人間へ成長していきました。
おばちゃん役として初めての女装をした思い出深い曲でもあります。

振り付けの先生はいましたが、踊りも自由にやってくださいと言われたので、自分のテンションやパッションで踊れて、ますます楽しかったですね。


── 卒業され、今の『おかあさんといっしょ』をご覧になってどう感じますか?

昔から続く揺るぎない番組、変わらない番組というイメージがあるかもしれませんが、やっぱり出演者が変わるとカラーが変わっていいですね。
新メンバーを迎えて、明るくフレッシュになったという印象です。

「寂しくなったでしょう」と言われることも多いですが、番組を支える柱の一つになれていたという自負もあったので、ほっとしたというほうが近いかもしれません。

安心して今のメンバーに託して、未練なくやりきった気持ちで卒業できましたね。


後編「よしお兄さんがパパになった日」は8月29(木)公開予定。お楽しみに!

プロフィール
小林よしひさ
埼玉県ふじみ野市出身。浅井企画所属。
2005年4月4日からNHKの子ども番組『おかあさんといっしょ』の第11代目“たいそうのおにいさん”に就任。
2019年3月30日放送分で卒業するまでの14年間の任期は歴代最長記録。卒業後はバラエティ番組やCMなどで活躍中。

出演情報
『映画 おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!』
2020年1月24日(金)より全国公開
“映画館でいっぱい遊ぼう!”をコンセプトに、お兄さんお姉さんたちと歌ったり踊ったり、クイズに答えたり。よしお兄さんの「ブンバ・ボーン!」など人気曲もたくさん登場! お子さまの初めての映画にもぴったりな、親子で楽しめる参加型・体験型ムービー。
eiga-okaasan.jp

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この記事を書いた人
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Conobieスペシャルインタビュー

コノビー世代が気になるあの人に、子育てや日々の思いなどをインタビューするスペシャル企画です。...

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