子どものころ、私は母に抱っこされて鏡の前で「かわいいこ、どこだどこだ~?……あ!!み~つけた!」と言いながら鏡に近づく、という遊びをしてもらうのが大好きでした。
母は鏡にうつる私の顔を見て、笑いながら語りかけてくれていたのですが、記憶の中に残っているのは、母の満面の笑顔。
ものすごく嬉しそうに笑う母を見て、私もつられて笑っていたのだと思います。
30年以上も前の話にはなりますが、鏡の中の母の笑顔は今も忘れません。
そして月日が経ち、私も2人の子どもの親になりました。
知らず知らずのうちに、子どもを抱っこして同じ言葉を娘や息子にかけていた私。
キャキャッと笑いながら喜んでくれる子ども達。
30年前の母と私の姿が、そこにはありました。

帰ってくるだけで100点満点よ!安心感と幸せをくれた母の言葉たち
母との想い出で覚えているのは、優しい笑顔と心に響く言葉ばかり。気がつけば、母から言われて嬉しかった言葉を、いつの間にか私も2人の子ども達に伝えていました。
「かわいい子、どこだどこだ~?あ!み~つけた!」

「学校から帰ってきただけで100点満点よ」
小学校低学年にもなれば、少しずつ自分でできることが増え、自立心も芽生え始めます。
とはいえ、まだまだ甘えたい時期。
そんな時、よく学校から帰ってきた私を母が抱きしめながら、「帰ってきただけで100点満点よ」と耳元で優しく言ってくれていたのを覚えています。
最初その言葉を聞いた時は、とても驚きました。
「え!?帰ってくるだけでいいの!?」と聞き返した私。
そんなことでお母さんは嬉しいの?と不思議に思ったのです。
「もちろんよ。それだけで100点満点。」と繰り返す母。
それからも時々、母はその言葉を私に伝えてくれました。
その言葉を聞く度に、テストで100点を取らなくても、発表ができなくても、帰ってくるだけでいいんだ、と存在そのものを認めてもらえて安心できた記憶があります。
月日が経ち、今度は娘が小学1年生。
大きすぎるランドセルを背負って、熱い中、頬を紅潮させて元気いっぱいに帰ってきます。
玄関を開けるなり、楽しかったこと、面白かったこと、給食が口に合わなかったことなど、次々と繰り広げられるマシンガントーク。
そんな娘を見ていると愛おしくなり、私はかつて母がしてくれたように娘を抱きしめて、同じ言葉を言っていました。
娘はとっても嬉しそうな顔で、見上げてくれます。
私の中の嬉しかった記憶がまたよみがえり、温かい気持ちに包まれました。

大人になっても、我が子はいつまでも大事な存在
そして、とっくに大人になった私にも、母は相変わらず優しい言葉をかけてくれます。
出産後、母は頻繁に手伝いに来てくれていました。
娘の相手をしてくれるだけでなく、私が少しでも楽できるようにと、栄養たっぷりの夕飯も持ってきてくれました。
来てくれるだけで本当にありがたかったのに、私の体のことまで考えてくれた母。
私は「ほんとごめんね、ありがとう」とよく言っていました。
すると、「あのね、孫ももちろん可愛いけど、お母さんにとって、あなたはずっとかわいい娘なんだからね!」と当然のように言われました。
母にとって、私はずっと娘。
私が娘や息子を大事に思うように、母は私のことを大事にし続けてくれています。
子どもが生まれ、「赤ちゃん第一」になっていた私にとって、私自身を大事に想ってくれる母の言葉はとても嬉しいものでした。
子どもたちが大きくなり、もし子どもを授かる時が来たら、同じ言葉をかけてあげたいなと思っています。
思い通りにいかない日々でも、ふと思い出す温かい言葉たち
もちろん、毎日こんなに穏やかでいられるわけではありません。
怒りすぎてしまって反省する日や、子ども達が拗ねたまま寝てしまう日。
思い通りにいかない日はたくさんあります。
でも、温かい言葉を子ども達に語りかけると、私自身まで幸せな気持ちになれます。
私の大切な言葉たちをご紹介します。
夜寝る前にギューっとされながら、「あなたは一番のたからものだよ」
私がインフルエンザにかかり、看病している母にうつらないか心配した時。
「大丈夫、ママは絶対かからないから! あなたの風邪、すいとってあげる!」
ピアノの発表会前など緊張している時に。
「わかるわかる、ママも昔ピアノ習ってたけど、発表会は本当に緊張した! ママも一緒やったわ」
肩こりに悩む母に、肩たたきをした時。
「魔法の手やね。触ってもらうだけで、楽になるよ」
このように、母はいつでも私の気持ちに寄り添い続けてくれてきました。
親から言われて嬉しかった・安心した言葉や記憶は、大人になってもずっと残ります。
私も子ども達の心に、温かい言葉をたくさん残してあげたいと思っています。

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