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公開 2019年06月28日  

突然の2,380円のおねだりに…"豚コマ算"発動!

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3児の母“ハネサエ.さん”が執筆するnoteには家族との日常を描いたエッセイがたくさん。

子連れの買い物におねだりは付きモノ。

いつもよりお高い代物を要求されて、ハネサエ.さんが思い巡ったこととは…。



よくいく近所のスーパー。

そこではレジ横に雑誌類を陳列していて、もちろん子ども向けの商品もある。

昔から定番の、付録がついた、あの、あれ。

表紙にはアンパンマンだとか

プリキュアだとか

なんとか戦隊とかが

ぎゅうぎゅうに描かれていて、子どもたちを魅惑してしょうがない。



3人の子どもたちを引き連れてスーパーに行くと、お菓子だったり、ガチャガチャだったり、その時々でなにかしらをねだられる。



そして、ついに先日は、例の付録つき雑誌だった。



「ねぇ~これ買ってよ~!」

いきなり要求してきたのは、息子である。

さすが中間子、カツオ的センスに長けている。

実は、この日は幼稚園でマラソン大会が行われたのだ。

息子なりに、行事をがんばった今日なら「イケる」と判断したのだろう。

すると、息子の「イケる」をみていた娘も便乗した。

普段は優等生気質が邪魔をして、なかなかおねだりができないが、カツオが作ったこのチャンスには、すんなりのれる。


手にはすでにキャラメルをもっていたのに、あざとく少女雑誌に乗り換えると宣言した。


買ってやりたい。もちろん。


しかし、皆さんご存知でしょうか。

近頃の子ども雑誌のお値段を。

表紙に猛々しいヒーローがドアップになっているそれは、¥1900 と書かれていた。


スーパーマーケットで¥1900といえば、なかなかの高額商品なことは間違いない。


豚コマなら、なんと2キロは買えてしまう。


いや待て、いつも行くお肉屋さんなら、今日は特売だから67円/g、3キロ近く買える。


3キロの豚コマなら、うまくやれば一週間食いつなぐこともできる。


はたして子ども雑誌¥1900 に、家族五人、一週間分のエネルギーと同じ価値があるのだろうか。


豚コマ算がとまらない。



表情を失って呆然とする私を見て、息子は無理だと悟ったらしい。

やっぱりこれにする、とアンパンマンが描かれた雑誌を差し出した。

そこには¥670の文字。

豚コマ1キロだ。

娘はというと、サンリオキャラクターが描かれたピンク色の雑誌を持っていた。

こちらは¥980 。

豚コマだけで冷蔵庫が埋まってもしかたがないので、こんどは豚ひきで計算してみる。

1キロちょっと…だ。

合わせて2キロの豚肉たちがチラついて仕方がない。

雑誌が欲しい気持ちはわかる。

大好きなキャラクターが所狭しと描かれていて、どこを開いてもにぎやかしいその本が楽しくないはずがないのだ。それに加えて魅力あふれる付録まで。それはもう、わくわくするだろう。欲しくてたまらない気持ちになるはずだ。

わかる。ちゃんとわかってるんだ。

けれど、母さんは…どうしても豚コマ算がとまらないのだよ。

買う買わないと、あいまいな押し問答を繰り返しているうちに、退屈していた末っ子が、Eテレキャラが描かれたそれを見つけてしまった。

「ワンワン!!」そう叫ぶが早いか、すぐさま私に向かって突き出した。


三冊の合計は¥2380 、豚コマが……豚コマ……いや、豚バラだって、豚ロースだってたくさん買えてしまう。


キャラメルやぷっちょとはわけが違う。



ときめき真っ最中の子どもたちに、説明する。

「あのね、今日は本を買いに来たわけじゃないんだよ。ほしい気持ちはとっても分かるんだけど。

この本を買うお金で、たーくさんお肉が買えるんだよ。」

こちらもそう簡単にお財布を開くわけにはいかないのだ。

今日はお肉の特売日でまとめ買いする予定だし、お給料日はまだ先だし。

少しでも傷を浅くしたい一心で、ガチャガチャを提案すると、娘はあっさり飛びついた。

息子は意地を張りたがったけれど、末っ子がクレーンゲームにしがみついたのを見て、「これにする!妹に取ってあげたいから」と雑誌を手放した。

おねだりされた三冊は、思いのほか簡単にリリースできてしまった。

子ども雑誌にまったく罪はない。

よくできた代物だと思う。

何か月も、なんなら、何年も大事に読んでくれたりもするし。

すぐ飽きてしまうカプセルトイに比べたら、よほどよかったのかもしれない。

でも、スーパーで想定外の¥2380 を払えるほど私のハートは強くない。

そして、しつこいようだけど、この日はお肉の特売日だったから、お肉を買うはずのお金で、雑誌を買う気分にはなれなかったのだ。
そういうことって、ある。




…豚コマ算は続く。

子育ては日々、葛藤の連続ですね。


ハネサエ.さんのnoteには子育てや日常を切り口にしたエッセイがたくさん。

コノビー書き下ろし記事も近日公開予定!
お楽しみに!


(編集:コノビー編集部 阿久津)

※ この記事は2024年03月01日に再公開された記事です。

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