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公開 2015年05月14日  

早産の赤ちゃんにもお腹いっぱい飲んでほしい!知っておきたい母乳のこと

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赤ちゃんが生まれたときの状況に応じて、母乳の成分が変わるんです。医療技術が進み、早く産まれても順調に育つ赤ちゃんが増えています。母親の持病などで早く産まれて来なければならない赤ちゃんも増えています。早く小さく産まれた赤ちゃんのための母乳には、その時に必要な栄養素がたくさん含まれているんですよ。

出典:https://instagram.com/p/1C7Rsktg7M/

母乳はいつから作られる?

母乳育児をしたいけれど、赤ちゃんが満足するだけの母乳が出るのかしら?と不安に感じることでしょう。ほとんどの女性には、母乳を産生する力があります。あとは、その力を引き出すことができるかどうか、なんですね。そもそも母親の身体は、妊娠16週頃から母乳を作るための準備を始めます。一番早い早産でも、妊娠22週ですから、その時には、準備は始まっているんですね。



妊娠と同時にプロラクチンというホルモンが徐々に増え、乳腺の発達が始まり乳房が大きくなっていきます。母乳中に必要な成分が少しずつ増えていき、母乳を産生するための基盤ができていきます。このホルモン、出産予定日頃には、妊娠前の10~20倍にも増えると言われているんです。

母乳は血液から作られます

母乳の元は、血液です。母乳は白い血液とも言われています。赤ちゃんは胎児の間、母親の血液で育ち、産まれてからも、母親の血液で育っていきます。だからこそ、母親の食事はとても大切です。



ここまでは、ご存知の方も多いのですが、大事なのはここからです。母乳は血液から作られるから、出産したら食事に気をつけよう!とおっしゃる妊婦さんはとても多いです。前述のように、胎児の時にも母親の血液で育ちます。ですから、妊娠中の食事(血液)もとても大切です。さらに、授乳中の食事がダイレクトに母乳になるわけではなく、成分によっては以前の食事が影響することもあるんです。



一度母親の身体に蓄積されて、そこから母乳へと変化していく成分もあります。その中のひとつがDHAです。青魚などに含まれている不飽和脂肪酸ですね。日本人の母乳中DHAは他の人種の母乳中DHAに比べてとても多く含まれています。それは、周りを海で囲まれている島国で魚介類の摂取が多いことが理由として上げられています。DHAは必須脂肪酸で、脳の発達にも良い影響を及ぼします。若い世代で魚介類の摂取が減っていると言われていますので、少し意識して摂取してみても良いかもしれません。

母乳の成分って何?

母乳の成分の9割近くは水分です。残りの1割の固形分の中に、赤ちゃんが成長するために必要な栄養成分が含まれています。大きな成分は、脂肪分・糖分(炭水化物)・タンパク質の3つです。



私たちの食事の栄養分と、何ら変わりがありません。それぞれの中に含まれている細かな成分が、初乳・移行乳・成乳と変化していきますし、出産した週数でも変化していきます。

未熟な早産の赤ちゃんに合わせた母乳

早く小さく産まれてしまった赤ちゃんは、すべての機能が未熟です。身体に入ったものを消化する機能も、吸収する機能も、排泄する機能も。前述した母乳中の3つの成分(脂肪分・糖分・タンパク質)においては、正期産で出産した母親の母乳より、早産で出産した母親の母乳で多く含まれているんです。より少ない量の母乳でより効果的な栄養分を必要とする早産の赤ちゃんに合っているんですね。



さらに、母乳には免疫物質がたくさん含まれているというのは聞いたことがあるでしょう。この免疫物質も、早産で出産した母親の母乳の方が多く含まれているんです。小さく未熟な赤ちゃんは、感染することが生命の危機につながります。本来であれば、胎内で母親の血液で育つ期間だからこそ、早く産まれても母親の血液が一番なんですよね。

母乳分泌のスイッチを入れるには…

赤ちゃんが生まれて、胎盤が出されると母乳分泌のスイッチが入ります。ですが、これだけでは母乳の産生は増えていきません。赤ちゃんが泣くたびに乳首を含ませて吸いついてもらう必要があります。



早産で、赤ちゃんに吸ってもらうことができない場合には、とにかく自分で乳輪・乳頭への刺激(マッサージ)を始めます。1回のマッサージは5分でもいいんです。それを3時間空けずに続けていきます。最初は母乳がにじんでこなくても、続けていくことで少しずつ増えてきます。増えてきたら搾って赤ちゃんに届けることもできるでしょう。赤ちゃんに会って、会えないときには写真を見て、赤ちゃんのことを考えることでも、母乳の分泌は増えてきます。



出産して6時間以内に始められると、スムーズに母乳分泌が増えてくることが多いと言われています。早産で出産した場合、赤ちゃんのそばにいられない産後、我が子に何もしてあげられないという無力感もあります。ですが、頑張って育っている赤ちゃんに必要な母乳を出せるのは母親しかいません。入院中は助産師に頼りながら、少しずつ行っていきましょう。

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