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公開 2019年01月23日  

クラスで「個性」は受け入れられる?答えをくれた長女の言葉

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左右ちぐはぐな靴下をはいて登校したがる長女。
周囲の目が気になり、おなじ靴下をはいてほしい私。

人とちがうことはどうしていけないんだろう、何が普通なんだろう。
1年生の言葉に、心がほどけたお話です。


長女とちぐはぐな靴下の話


長女は時々、みんなはそうはしないんじゃないかなあ・・・という事をやる。

あれは、小学校1年生の頃だったか・・・小学校に、左右別々の靴下をちぐはぐに履いて行こうとするのだ。

「右と左で違うから2回分かわいい。おしゃれ」と。

あははかわいいと、いつまで笑っていられるのか。

大きくなってくると、長女のこういうところは周囲からは奇妙に映ってしまうのではないか。


私は、左右で同じ靴下を履かせようとした。

どうやって説得したらいいんだろう。

「ルールだから」は駄目だ。

「それはみんなが見ておかしいなって思うかもよ?」も駄目だ。

「靴下同じ色の方がかっこいいよ」なんて、単に私の主観だから駄目だ。

「そう決まってるんだよ」なんて1番駄目だ。

「どうして」
「何で」
「誰がそのルールを決めたの」
「ルールを守らないとどうなるの」

会話がループを始める。


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私:同じ靴下をはかないと、みんなが「おかしいな」って思うかもしれないよ?

長女:みんなが「おかしいな」って思ったら何がいけないの

私:うー・・・ん、「長女ちゃん、変なの~」っていじわる言ってくる子もいるかもよ

長女:「長女ちゃん、変なの~」って言われたらどうしていけないの

私:その子とはお友達になれないかもしれないよ?

長女:どうして?

私:変だなあと思われたから

長女:そうかなあ~「変なの~面白いなあ~」ってお友達になりたくなるかもしれないよ?

私:うーん・・・、でも、今日だけは靴下同じのを履いていって・・・まだ新学期始まったばかりで、初めましての子が多いから、今日だけお願い

長女:うーん・・・よくわからない。それはどうして?


ああ、わかる。なぜなら私がそういう子どもだったからだ。

小さい頃は「あはは、かわいいね」で済んでいたことが、じわじわとそれでは済まなくなってくる。

小さい頃、私は水色のズボンが気にいって、同じズボンを2枚買って毎日交代で履いて学校に行った。

周囲からは、洗濯もせずにズボンを履いてくる汚い子と笑われた。


「普通」の波。

小さい頃は、みんながそれぞれ好きなところを泳いでいるのに、次第にざばあっと「普通」の波が押し寄せてくる。

大抵、皆はその波にうまく飛び乗って、波の上をサーフィンで楽しく渡っていくのだ。

それに私は気がつかず、海の底で自分の世界のままでいた。

みんなが私を見て笑っているのは、私が愉快で楽しい人だからだと勘違いをしてきた。

違う、あれは嘲笑だったのだ。

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自分が小さい頃を思い出してみる。

色々ぼんやりしていてよく思い出せないが、どうやら私は周りからクスクス笑われている。

あれは幼稚園の頃だったか・・・

「人間はどうやって産まれるのでしょう」と先生が言っている。

「人間も卵だったんだよ。その卵がちょっとずつ細かく分かれてだんだん大きくなるの。犬も、ネコも、みんなはじめは卵だったんだよ、ねえ、先生?」

得意げに私が早口で答える。
私はもっといっぱい知っているのだ。

「違うよー!人間は卵じゃありませーん!ねえ、せんせー!!」

「そうですね、人間は卵からではありませんよ、卵はニワトリさんとかトカゲさんとかよ?」

みんなが笑っている。

何か私は面白いことが言えたのかな・・・分からない・・・。

「変なの・・・みんな、あの子の話聞かない方がいいよ、変な子だから」

誰かが聞こえるようにボソっと言ったのが聞こえる。

そこで我に返って、「うわっ!」と声が出そうになる。

このままでは、長女が小学校高学年になってくるあたりで、おかしい人・・・と物笑いにされてしまうのではないか・・・。


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「お母さんが小さい頃、『ねえねえ、あの子変な子だから喋らない方がいいよ』とか言われたことがあって・・・」

「そっか、お母さん、変な子だったのか」と長女が言った。

長女は私にもたれかかって横に座った。

「それじゃあ私とおそろい。私、お母さんに似てるんだね。ほら、目も私だけお母さんに似ていて・・・」

私の目が奥二重で、夫の目は二重でぱっちりとしている。

まつげも長くてきれいだ。

長女だけ私の目と似ていて、私はそれも気にしていた。

「私は目の形がお母さんと一緒。お腹がポコってしてるのも、お尻がぽてってしてるのも、おそろい。お母さんに似てるの嬉しいんだよ、お母さんの事全部好きだから。後、自分の事も全部好きだよ。私は私のこと全部気に入ってる。いつもふわふわしている所とか」

もう、途中から私は声を殺しながら泣き出してしまった。

ありがとうって伝えたいけど、言葉が出ない。

「大丈夫、お母さんは完璧、私のお母さんだって言うだけで完璧。近所のおうちのこと、『きれいなおうち、すごい完璧なお母さん』って時々言ってるじゃない?でも、どんなに玄関がきれいでも、どんなにそこのお母さんがすてきなスカートが似合っていても、私にとって、私のお母さんじゃないとそれは完璧じゃないんだよ」

「・・・ありがとう・・・お母さんは本当に、本当に全然完璧じゃないんだけど・・・それは、自分でも本当によくわかってるんだけど・・・」

長女を育てていると、ああ、やっぱり不思議な子だな・・・と思う事がよくある。

夫が、「長女は不思議な事を言ったりするよね。本当、ああいう所、大切に育ててあげたいと思うよ」と言う。

「本当だね、大切にね、そのまま育ててあげたいねえ」と、私は小さかった昔の自分にも言ってあげるのだ。

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※ この記事は2024年04月09日に再公開された記事です。

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