息子が年長のときの話です。
卒園が近づいてきた冬のある日、卒園式後にささやかな謝恩会としてセレモニーが行われるという情報を耳にしました。
噂によると、園児の代表2名が、担任と副担任の先生に花束を渡しておしまい、というあっさりした内容。
ここに「ちょっと待った!」をかけたのは、ママ友の中でもアツい性格のAちゃんです。
「せっかくの卒園式なんだから、園児全員が先生との思い出を作りたい!」
その想いに賛同したママたち数人が立ち上がりました。
今ならまだ間に合うはず、セレモニーの内容を変えてもらおう!と。
こうして、私たちの「全員参加の謝恩会」計画はスタートしたのです。
息子が通う園はこども園だったので、保育園部と幼稚園部が同じクラスで学んでいます。
お迎え時間が一緒の幼稚園部ママはみな顔見知りで、結束力も強い。
一方、保育園部ママはお迎えもバラバラ、参観日くらいしか接する機会がないのが現状。
お互いの交流もほとんどなさそうです。
そんな中、まずは保護者会会長に直談判。
これまでほとんど話したことがない会長さん相手に緊張しつつも、こう伝えました。
すでに決まっている内容も素敵だけれど、もし可能なら全員で先生に花束を渡したい。
プラス、何か先生にプレゼントをしたい。
準備はよかったらこちらで進めるので、どうか検討してもらえませんか。
そうお願いした結果、すんなりOKのお返事が。第一関門突破!
次は、演出のプラン作りと、準備です。
今回は比較的時間に余裕がある幼稚園部ママが中心になって、企画を進めることになりました。
そして、成り行き上、なんと私が総合演出をすることに!
できるだけ簡潔で、なおかつみんなの思い出に残るような内容にすべく頭をひねった結果、こんな内容にしました。
▼園児1人ずつ、1輪の花を先生に渡していく。
▼その後、先生との思い出を書いた画用紙を一斉に見せて、先生へのサプライズプレゼント。
▼最後は、桜の紙吹雪でフィナーレ!
ここから、それぞれのママの得意分野が炸裂します。
地元に知り合いが多いママは、花を1本ずつラッピングしてくれて、なおかつ安くしてくれる花屋さんにあたる。
手作りが得意なママは、画用紙を最後に入れるアルバムを手作り。
とにかく顔が広いママは、幼稚園部・保育園部すべてのママへの連絡手段を確立。
「時間は作れるから、何か手伝いたい!」と声をかけてくれるママも多く、手分けしての桜の花びら型のパンチで紙吹雪作り。
他にも、先生たちへプレゼントする絵を自宅で書いてきてもらったり、手順を把握してもらえるように説明したりと、様々な動きがありました。
できるだけ、特に保育園ママたちの負担にならないように、だけど、勝手に話を進めて疎外感を感じないように…。
人数が多いからこそ、モメないように慎重に進めていきました。
正直、すべてがうまく進んだわけではありませんでした。
もともと役員だったママの中には、「役員でもないのに仕切ったりして…」と快く思わない人もいたようです。
上にきょうだいがいる家庭では、「1人目だからこんなに力を入れられるのよねー」と面倒がっているママがいたことも事実。
やっぱり、それぞれの立場や顔を立てること、協力の仰ぎ方やお願いの仕方って、とても大事だと学びました。
そして、あっという間に本番当日。
子どもたちは少し緊張しながらも、1人ずつお花を渡しながら、先生とのひとときを楽しみました。
そして、サプライズのプレゼントも大成功。
最後の紙吹雪には、会場全体が湧きました。
嬉しかったのは、ずっとセレモニーに批判的だったママが「すごく良い会だったね」と言っていたのを後日知ったこと。
半ば勢いで総合演出を引き受けちゃったけど、そしてなかなか大変だったけれど、かけがえのない思い出ができました。
子どもたちも、そして参加したパパ・ママたちも同じ気持ちだったらうれしいな、と思います。