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ワンオペがもたらすザラリとした気持ち…「あの子を可愛いと思えない」<第二回投稿コンテストNo.11>

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日々、ワンオペで育児を乗り切るしゅんたろさん。いつからか母性が喪われ、「いいお母さんを演じること」に固執するようになってしまったそうですが…。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132108353


それは、夫が珍しく1日休みが取れた日の出来事だった。

その日は初めてともいえる3人揃ってのまともな休日だったが、出発するのが思ったより遅くなってしまい、結局近くのショッピングセンターに買い物に行くだけとなった。

100円を入れるタイプのキャラクター付きカートに子供を乗せると、その姿に愛らしさを感じたのだろう、夫は目を細ませる。

しかし私は、共に微笑む気にはなれなかった。

「そのカート、幅取って邪魔になるから買い物の間任せるね」

口早に伝えると、返事も待たず逃げるようにその場を離れた。



(やっと一人になれた……)


ホッとすると同時に、そんな自分にギクリとする。

いつからだろう。

最初は確かに可愛かったのに。愛しくて、こんなに大切なものは無いって思っていたのに。

今や私が息子に対して抱くのは、『育てなきゃ』という義務感が多くを占めていた。


(私、あの子を可愛いと思えていない)


実家は電車で2時間半。

引っ越して3年ちょっとと日が浅く、近くに親戚も知人もいない。

夫は良くて終電帰りで、土日も仕事。当然、育児にかかわる時間は皆無だ。

典型的な『ワンオペ育児』の日々を送っていたら、いつの間にか息子は首が座り、ハイハイし、よちよちと歩くまでに成長していた。

そんな二人きりの日々を淡々と繰り返している内に、私はゆっくりと、しかし確実に、『母性』と総称される感情を喪っていき、引き換えに、必要以上に『いいお母さん』を演じることに固執するようになった。


『いいお母さんは、毎朝掃除機をかけて部屋をきれいにする』

『いいお母さんは、食べないと分かっていても手間暇かけたご飯を作る』

『いいお母さんは、気分がのらなくても毎日児童館と公園に出かける』


やればやるだけ自信が無くなった。

でも止めてしまえば、もっと失ってしまいそうで、怖くてできない。

周りのお母さんはあんなに笑顔で接してるのに。眩しくて、情けなくて、交流を避けるようになった。

お母さんなのに。

お母さんのくせに。



久々にゆっくり思考する時間ができたせいだろう。

終わりのない考えを振り払いたく、食材をカゴに入れる。


(離れてる間くらいは、考えるのをやめよう)


無理やり思考を打ち切り、目線を上げた先。

そこに、私は釘付けになった。


年齢は自分の子供と同じくらいだろうか。

キャラクター付きのカートに乗った子供がこちらに向かってきていた。


(こ、この子・・・・・・・めちゃめちゃ可愛い!!!!)


さらさらとした艶やかな髪

白くて柔らかそうなほっぺた

すっと通った鼻梁

紅色の形のいい唇は、何か楽しいことがあるのか、にこにこと笑みを浮かべている。


(こんな可愛い子、初めて見た!!!!)


自分の子供にすら最近感じなかった思いに、興奮が抑えられない。

どんな人が親なんだろう?好奇心が赴くままに目線を上げる。

するとそこには、いつもと何の変化もない夫の顔があった。


・・・・・・・・・夫?


目線を下げると、やはりそこにはお人形さんのごとくかわい・・・



いや違う、これ、うちの子だ!!!!!



なんということだ。

散々可愛く思えないと悩み苦しんでいたのに、たった数分離れただけで、地上に舞い降りた天使と自分の子供を認識してしまうなんて。


(私・・・・・わたし・・・・もしかして・・・・・)


嫌な予感がする。いや、これはもう確信したといってもいい。


(めっちゃ疲れてる!!!!!)


そう。

無駄に気力がある私は、初期の段階の育児疲れを甘えと捉え、『こんな事で疲れるとは母親失格だ!!もっと頑張れ!!!』と、根性で今まで邁進してきたのだ。

そして自分の中にある理想の母親像に辿り着こうとし、当然できない事に失望する毎日。

更に焦り、無駄にタスクを積み重ね、どんどん自分を追い込んだ結果、子供に向ける感情すら認識できないようになっていったのだった。

冷静に考えれば、そこまで頑張ってしまったのは、全て息子が可愛くて、大切で、幸せにしてあげたいという思いがあればこそなのに。

不器用な私は、見えなくなっていたのだ。


憑き物が落ちる、とはこのことを言うのだろうか。

私の事を見上げ、ニコニコと微笑むわが子。

僅か数分離れた時間が、私に再び向き合う目を戻してくれた。


(可愛い)


そっと、つるつるとした柔らかい頬を撫でた。



帰り道。

ベビーカーを押しながら、夫にこんな自分を笑ってほしくて話し始める。

思えば、私の気持ちなんて、子供が生まれてから伝えてこなかった。

「私ね、さっきあなたがカートに乗せてこの子を連れてきたとき、一瞬誰だか分からなくて、すっごい可愛い子が来たー!って思っちゃったの」

言葉にしたら改めて、自分の親バカさに笑ってしまう。

そんな私に、夫は至極真面目な顔をして頷くと、

「そりゃそうだよ。だって、さっきのショッピングセンターにいた子供の中でも、この子が一番可愛かったし」

とても当たりの前のように、あっさりと言い放つ夫。


私以上の親バカがすぐ隣にいることに、その日何度目かの衝撃を受けたことは、言うまでもない。


ライター:しゅんたろ


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