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公開 2018年12月04日  

子どもが感染性胃腸炎やノロウイルスに感染!消毒や対策方法は?<医師監修>

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毎年、秋から冬にかけて感染性胃腸炎(流行性胃腸炎)にかかる子どもが増えます。ここでは、子どもが感染性胃腸炎やノロウイルスにかかってしまったときの対策や、家族に感染しないための予防策を解説します。また保育園や幼稚園に登園してもよい目安などについてもご紹介します。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11038007216

目次 子どもがかかりやすい感染性胃腸炎・ノロウイルスとは?
子どもが感染性胃腸炎にかかってしまった!そんな時の対応方法は?
家族に感染性胃腸炎を移さないための対策
家族に感染性胃腸炎を移さないための消毒液の作り方
保育園や幼稚園はどれぐらいの期間休むもの?
食事や飲み物の注意点

子どもがかかりやすい感染性胃腸炎・ノロウイルスとは?

感染性胃腸炎は、流行性胃腸炎と呼ばれることもあります。
毎年、秋から冬の期間に流行することが多いことから、流行性と言われます。

感染性胃腸炎になる原因は、細菌・ウイルスなどの病原体で、日本においては特に、ノロウイルス、ロタウイルスによる感染が多いのが特徴で、他にも細菌や寄生虫もあります。

感染性胃腸炎に感染すると、病原体によっても異なりますが、1~3日間の潜伏期間を経たのち発症します。

感染経路は、病原体がついた手で口に触れることと、病原体に汚染された食べ物を食べることがほとんどであるといわれています。
これは後ほど紹介するロタウイルスも同様です。


ノロウイルスの症状の特徴は、吐き気やおう吐、腹痛と下痢、発熱で通常、1~2日程度、症状が続きますが、適切な対策をすれば症状が収まってきます。
なお、5歳くらいまでの小さな子供の場合はおう吐の症状が多く、年齢が高くなるに従って下痢の症状が増えるのが特徴です。

ロタウイルスの場合、おう吐、下痢、発熱が主な症状です。
乳児の場合、けいれんの症状が現れる場合もあり、症状が続く期間はノロウイルスより長く、1週間程度となります。

ロタウイルスの場合、軽症だと自覚症状がなかったり、軽い風邪のように感じたりする場合もあります。

しかし、他人に感染させてしまう可能性もあるため、ロタウイルスが疑われる場合には消毒などを行なった方が良いでしょう。

子どもが感染性胃腸炎にかかってしまった!そんな時の対応方法は?

感染性胃腸炎には特別な治療法はありません。
つまり、安静にして症状が収まるのを待つというのが対策となります。

しかし、脱水症状を起こすケースがあるので、できるだけ速やかに病院に連れて行ったほうがよいでしょう。

水分補給ができない場合にも緊急性が高まるといえるのでいずれにしても医師の指示を受けた方がよく、家族や他人に感染させる可能性があるので十分な注意が必要です。

病院に連れて行く場合、以下のポイントをチェックしておくと、治療を受けるうえで役に立つでしょう。

下痢の場合、いつ頃から症状が見られたか、便の回数、色、量などを知っておきます。
また、おう吐の場合も同様に、おう吐の回数、量を把握しましょう。
おう吐の場合、血が混じっていないかもできればチェックしておくと病院で聞かれた時に答えられますね。

家族に感染性胃腸炎を移さないための対策

感染性胃腸炎は、生活を一緒にしている家族の人に感染する可能性があります。

子どもが感染性胃腸炎にかかった場合、特に注意が必要なのは、オムツを適切に処理することや、手洗いを徹底することなどです。

また、排泄物や吐いたものを処理するためには、できれば次亜塩素酸ナトリウムを含む有塩素系消毒薬で処理することが効果的です。

その際、使い捨てのゴム手袋などを使用するのが便利です。
使い捨ての手袋ならば、ポリ袋にそのまま捨てられるので二次的な感染を予防することにもなります。

また、マスクやエプロンをして処理をするのも感染予防になります。

ロタウイルスの場合、アルコール系消毒はあまり効き目がなく、感染を完全に防ぐのは難しいといわれるため、小さな子どもがいる家庭では一時的に違う場所に移すほうが安全といえます。

手洗いはいつも以上に入念に行いましょう。
石鹸をつけ、30秒以上もみ洗いすると除菌効果が高いといわれています。
大人の場合、指輪や時計の裏に菌が残ってしまうことがあるので、指輪や時計ははずして手洗いすると良いでしょう。

家族に感染性胃腸炎を移さないための消毒液の作り方

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消毒液は2種類必要です。

1つは部屋のなかを除菌するための消毒液、もう1つは排泄物や吐いたものを処理するための消毒液です。

部屋の中を除菌するための消毒液は、塩素濃度約5%の原液(ハイターなど)を0.02%の割合で混ぜて作ります。
具体的には、2リットルのペットボトル1本の水に10ミリリットルの塩素濃度約5%の原液を混ぜます。
トイレのドアやテーブルなど、多くの人が触れる場所を中心に消毒しましょう。

また、排泄物や吐いたものを処理するための消毒液は、塩素濃度約5%の原液を0.1%の割合で混ぜます。この消毒液は、500ミリリットルのペットボトル1本の水に、10ミリリットルの塩素濃度約5%の原液を加えることで作ることができます。
排泄物や吐いたものが落ちた床などを拭くときに使用しましょう。

なお、消毒をする際に塩素ガスが発生することがあるため、部屋の換気に注意して使用する必要があります。

一般的な塩素濃度ではあまり心配ありませんが、濃度が濃い消毒液の場合は塩素ガスが発生しやすくなるので、換気をしながらが良いでしょう。

また、次亜塩素酸ナトリウムを含む原液は金属を腐食させます。
そのため、金属を拭いた時は10分ほどしたら水拭きをして腐食を防ぐようにしましょう。

保育園や幼稚園はどれぐらいの期間休むもの?

感染性胃腸炎にかかったとき、保育園や幼稚園はどれぐらいの期間休めばいいのかは、厚生労働省が作成した「保育所における感染症対策ガイドライン」に定められています。

これによると、感染性胃腸炎でおう吐の症状が出た場合に保育可能であるのは「感染のおそれがないと診断されたとき」「24時間以内に2回以上の嘔吐がない」「発熱がない」「水分摂取ができ、食欲もある」「顔色が良く、元気である」などの項目を満たしたときです。

同じように、感染性胃腸炎で下痢の症状が出た場合に保育可能であるのは「感染のおそれがないと診断されたとき」「24時間以内に2回以上の水様便がない」「発熱がない」「食事や水分を摂取しても下痢にならない」「排尿がある」という条件を満たしたときです。

保育園や幼稚園は、基本的にこのガイドラインに従って休む期間を決めています。

食事や飲み物の注意点

子どもが感染性胃腸炎にかかってしまった時、どのような食事や水分をあげれば良いでしょうか。

まず水分ですが、最も適している飲み物は「経口補水液」です。
経口補水液は食塩とブトウ糖を水に溶かしたもので、水分を吸収しやすいように工夫されています。

激しい下痢をおこしている場合にも、経口的にブドウ糖と電解質との混合液を与えると、良く吸収されます。
下痢やおう吐、発熱などによる脱水症状を軽減する目的で用いられるため、感染性胃腸炎の場合に最適です。

スポーツドリンクは電解質濃度が低く、糖分が多すぎて下痢の治療には不適なので注意しましょう。

嘔吐が続いているときは、胃を空にして嘔吐の鎮まるのを待つのが有効的です。
嘔吐が鎮まってきたら、脱水にならないようにスプーンなどで少量ずつ頻回に乳幼児用電解質を与えるようにしましょう。

また、元気になってきたら、食事にも注意してあげましょう。

消化のしやすい食べ物を作ってあげるのが基本です。

代表的な食べ物は、おかゆ、うどん、豆腐、りんごのすりおろしなどです。
寒い季節に流行することが多いので、具材がやわらかくなるまで煮込んだ温かい野菜スープなどもよいですね。

症状が下痢やおう吐の場合、家族への感染を防ぐことが大事です。

消毒液の原料や使い捨てのゴム手袋やビニールの手袋など、これからの時期には念のため備えておくと良いですね。



【監修医師】
瀨田奈祐子(せたなゆこ)

2004年 東京医科大学医学部入学
2010年 同大学卒業
2010年 医師免許取得
東京逓信病院にて初期臨床研修医
2012年 東京医科大学麻酔科学教室後期臨床研修医
2013年 麻酔科標榜医、麻酔科認定医取得

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