1. 総合トップ
  2. >
  3. 妊娠・出産
  4. >
  5. 陣痛と眠気、窓の外には強い台風。私の出産奮闘記  <投稿コンテストNo.93>

陣痛と眠気、窓の外には強い台風。私の出産奮闘記  <投稿コンテストNo.93>

陣痛と眠気、窓の外には強い台風。私の出産奮闘記  <投稿コンテストNo.93>のタイトル画像

「お産は体力勝負」だからしっかり食べなくては!なのに、襲ってくるのは激しい眠気。そして追い打ちをかける陣痛の痛み……。いよいよすみまろさんの戦いが始まった。

出典:http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10154001946


出産は、良くも悪くも想定外のことばかりだ。

妊娠中の自分になにか伝えられるとしたら、私はひとことそう言うだろう。

夏真っ盛りの8月、お盆を間近に控え、予定日からはすでに1 週間が経過しようとしていた。初産は遅れることが多いとは聞いていたが、我が子はまったくと言っていいほど外の世界に出てくる気配が感じられない。

予定日当日に受けた検診で、もし1週間後まで何もなければ入院して陣痛誘発剤を使いましょう、と説明を受けてはいたものの、まさか本当に1週間経ってしまうとは思ってもみなかった。さすがに焦りがつのる。

もうずいぶん前から、いつなにがあってもいいように、入院グッズも心の準備も万全だったのに。そろそろおしるしがあるか、陣痛がくるか、はたまた破水するのか……。

そんな私の気持ちをよそに、結局運命の(?)1週間後を迎えたわけである。


「じゃあ月曜日の朝9時に来てください、入院の手続きしますんで。」と告げられ、病院をあとにした。

今のところ胎児と母体に問題はないものの、妊娠40週を過ぎると胎盤の機能が徐々に低下していくこと、胎児が成長しすぎると出産時の母体への負担が大きいということ。

また、妊娠高血圧を発症するのリスクが高まってしまうことなどから、陣痛誘発剤の使用が望ましいというのが担当医の見解だった。

漠然と、予定日を迎えれば自然に生まれるもんだとばかり思っていた私は、「子どもってままならないもんだな」と勝手に悟りを開いていたが、現実はまだ子育てのスタートラインにも立っていない。

入院の朝、一通りの手続きと検査を終えて、病室に案内された。渡された錠剤を飲んで、ベッドでだらだらと雑誌を読む。十月十日に及ぶ妊娠期間の間、こんな自分の姿をいつ想像しただろうか。

”お産のはじまり”って、破水した!とか、陣痛が5分間隔に!病院行こう!とか、そういうのがセオリーなんじゃないの?遅れた場合のことなんて、どのサイトにも書いてなかったじゃん。

仕事を休んで付き添ってくれている夫も、義実家への連絡が済めばすることもない。記念にと言って、はち切れそうなお腹とピンクの入院着姿を写真に収めてくれた。


当直の助産師さん曰く、「飲み薬では陣痛来ない人がほとんどですからね、今日は一応様子をみて、明日点滴しましょうね。」とのことだったので、実家の家族にも「生まれるのは明日か明後日になるみたい」と連絡を入れた。

実家からは新幹線を使っても片道4時間はかかる。「妻と生まれた子どもにしばらく会えないのはつらい」という夫の気持ちを汲んで、里帰り出産は選ばなかった。

当初、私は母に立ち会ってもらう気満々だったのだが、当の本人には「え、嫌だよ、怖いじゃん」と無下に断られてしまった。早く行ってもいつ生まれるか分からないし迷惑だろうから、無事生まれてから会いに行くよ、と。

手持ち無沙汰に過ごしていたちょうどこのとき、日本列島には大型の台風が上陸しようとしていた。


その日、最後の投薬を終えて日勤の助産師さんが帰ったころ、なんとなくお腹に違和感を覚えた。張りが強くなったような、時折痛いような感じもしたが、「すぐには陣痛来ないって言ってたしな」とあまり気に留めずにいた。

もっとはっきりした手応えがあるものなんじゃ……と悠長に構えていたが、夫に促されナースコールに手を伸ばす。

やってきた夜勤の助産師さんは、丸顔の、肝っ玉母さんを絵にかいたような人だった。

「あ~これは陣痛来てるかもしれないね。その様子じゃまだまだ大したことなさそうだから、お産に備えてしっかり晩ごはん食べておいてね!」とハキハキ言って立ち去っていく。

お産は体力勝負って聞くし、今のうちに食べとこう、と思った矢先、徐々に強まる痛みとともに、今度はひどい眠気が襲ってきた。

ここから私の戦いが始まったのである。

眠い……

食べなきゃ……

うっ、お腹痛い……

気づけば食べ始めてから2時間近くが経っていた。

「あら!まだ食べてたの!ちょっと時間かかりすぎよ~」と様子を見に来た例の助産師さんに呆れられる始末。

陣痛の合間、ぼんやりしていると、風がガタガタと窓を揺らした。雨も強くなってきたようだ。また痛みの波が来る。スマホに入れていた陣痛記録アプリを立ち上げるが、だんだん画面をタップする気力も無くなってくる。

そこからは、ひたすらベッドの上で痛みに耐えるのみだった。教えられた通り、息を吸ってー吐いてーを繰り返す。夫は試行錯誤しながら腰を押してくれている。私はただただ呼吸に集中するしかなかった。


「もう7㎝開いてるわね、分娩室行きましょう!」

どのくらい時間が経ったか分からなかったが、そう言われて心底ホッとした。いきみを逃すのがこんなにつらいなんて……もうさっさと終わりにしたかった。

かろうじて時計を確認すると、ちょうど日付が変わろうとしている。

膀胱がパンパンだからトイレに行くようにと言われたが、いざしようと思っても、これが全然出ない。産道を圧迫するから後でチューブで抜くわよと言われ、お願いします、と返事をするのが精一杯だった。


もう無理、もう出そう……

全身から汗が止まらない。

分娩室に入ってからも、いきみ逃しが続いていた。

そのときやっと、もういきんでいいわよ!と聞こえて力を込めた。バシャー!と音がして破水したのがわかった。本当に水風船がはじけたようだった。これが破水ってやつか、と思ったのも束の間、なんとかあお向けに体勢を変える。

言われるがまま、このハンドル握って、脚踏ん張って、目閉じちゃダメ!目線こっち、次はもっとながーくいきんで!そうそう上手!頭出てきたよ、もう少し!!

ほとんど混乱状態だったはずなのに、指示を全部飲みこんで、その通りにやれているという実感があった。

頭は完全に冴えていた。このとき、あと一息!と必死にいきんだ私の顔を見て「ぷっ」と笑った助産師さんのことは、決して忘れることはないだろう。

そのとき早くも、ふぎゃあ!という声がした。「あ、もう泣いた」と駆け付けたばかりの担当医がつぶやくのが聞こえた。もうちょっとなんか言うことあるでしょ、こっちは修羅場なのに。

この記事を書いた人
コノビー記事投稿コンテストの画像
コノビー記事投稿コンテスト

コノビー初の記事投稿コンテスト開催中!
※2018年10月1日(月)0時〜10月26日(金)23時59分まで

テーマは「出産」。
様々な出産に関する体...

  1. 総合トップ
  2. >
  3. 妊娠・出産
  4. >
  5. 陣痛と眠気、窓の外には強い台風。私の出産奮闘記  <投稿コンテストNo.93>