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公開 2015年04月15日  

この春入園されたお子さまとママパパに、幼稚園の先生が伝えたいこと

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毎年迎える入園シーズン。幼稚園の先生として10年間、たくさんの子どもたちと親御さまをみてきました。緊張したり、不安なお子さまも多いのではないでしょうか?そんな親御さまに伝えたいことは・・・


思い出に残る入園式になりましたか?

待ちに待った入園式。春が来る度、誰もが一つ階段を登り大人になっていきます。



入園式は、新学期を迎える子どもにとっても、子どもを送り出す保護者の皆さまにとっても特別な瞬間かと思います。特に幼稚園の入園式は、子どもにとってもご両親にとっても初めて迎える大きなイベントの一つ。とても心に残っているのではないでしょうか。

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私は先生として10年間入園式の日を迎えてきましたので、入園式にまつわる思い出は本当にたくさんあります。



新しく少し大きい制服姿に、お母さんに可愛く結んでもらった三つ編み姿。子どもの記念日を何とか一番いい場所で写真に収めようとするお父さんの姿。お母さんの少し緊張したお顔。大人の不安をよそにちょろちょろ動き回る子どもの姿。何だか思い出すだけで、胸があたたかくなります。



10年間入園式を迎えてきた私が思うこと。

それは、入園式は「保護者のためのイベントである」ということです。

子どもの自立と親の自立

保護者様の中には「いつまでも今のまま小さくて幼いままで・・・」「ずっと傍で笑顔を見ていたい・・・」と思う方も多いのではないでしょうか?





しかし、いつか子どもは大人になり、たくさんの失敗や経験を学ばなければならない日が来ます。



入園式は、小さく幼かった我が子が、一つ階段を登る姿を少し離れた場所から見守る生活のスタートです。そして、子どもを一生懸命育ててきたお父さんお母さんの「頑張ったね!」記念日でもあると思います。



初めて我が子を手に抱いたその日から、母乳を与え、懸命に働き、笑顔に癒され夜泣きに苦しみ、病気の心配に怪我の心配・・・

0歳~3歳までを育てあげることは、精神的にも体力的にも本当に大変なことです。

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それらすべてを、お父さんお母さん方は必死にやって来られたのではないでしょうか。



子どものことを頼れる場所が近くにある方はともかく、預ける場所、頼れる場所がなかったお父さんお母さん方。幼稚園の入園式は、ちょっぴり子どもの成長を寂しく感じもしますが、幼稚園という場所を通してたくさんのつながりができます。同じ子育ての悩みを相談できる仲間ができます。



先生たちは、お子さまのために一生懸命教育していきます。



そして子どもには、共に遊びながら成長できる友だちと、自分の子どものように叱ったり褒めたりしてくれる先生ができます。



これから始まる幼稚園生活では、安心して肩の荷を下ろし、子どもの成長を見守っていただければと思います。

新しい生活を迎えて

入園式を終え、新しくはじまる新生活。



お友だちはできるかな?

担任の先生はどんな先生かな?

自分の教室の場所はどこかな?



…色々なことが分からず、寂しくて泣いてしまう子がほとんどですが、中にはぼーっとして一日終わってしまう子もいたりします。

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保護者の皆さまも、登園初日は子どもたち以上に不安を感じ心配しているのではないでしょうか?



よく保護者の方から質問があることは「今日一日どんな様子でしたか?」というもの。



子どもに聞いても

「幼稚園楽しかった?」

『楽しかったー』

「ないちゃった?」

『ないちゃったー』

という感じで、ほぼオウム返しのような会話になってしまいがち。今日何があってどんなことしたのか、きちんと話せる子はほとんどいませんから、心配になってしまう保護者さまも多いでしょう。



でも、それが当たり前です。

初めて集団生活の中に入り、園での生活を覚えるのに必死な子どもたち。お友だちの名前も先生の名前も少しずつ覚えていけるよう、見守っていただける姿勢が大切だと思います。



子どもはよく泣き、よく笑います。そして、よく動きます。さまざまなことに興味を示し、自分というものを自覚するその日まで、幼稚園では集団生活の中でたくさんのことを学ぶのです。

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子どもが幼稚園に行きたくない!と言い出す・・・・そんな時には?

「お母さん~」といって泣き叫び、幼稚園へ行こうとしない子や、

「バスに乗りたくない~」と言ってバスに乗らない子。



困り果てた保護者さまを、毎年たくさん見てきました。



でも、そんなみなさんに共通して言えることが一つあります。



それは、「ずっと泣いている子は一人もいません」ということ。



子どもたちはお父さんやお母さんが近くにいないから不安を感じ、泣いてしまうのです。大人でも、初めての学校や職場への初日は不安ですよね。

しかし、「習うより慣れろ」という言葉にもある通り、園に慣れてしまえば「幼稚園行きたい~」と言ってきてくれるように成長します。

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登園をどんなに泣いても、嫌がっても、これからの長い人生の中で人とのつながりは必ず必要になります。新しいお友達をつくる楽しさを「学んでおいで」という気持ちで子どもたちを送り出していただければと思います。





2015年4月。すべての入園式を迎えた子どもたちと保護者の皆さまが、笑顔で新しい生活を送れますように。



本当におめでとうございます!

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▲卒園生たちと、9年後に再会した時の集合写真

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