『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)より、すべてのパパママに知って欲しい情報を、3週連続でご紹介。
小児科医でありママである、森戸やすみ先生がわかりやすく解説してくれます。
風邪だけでなく、埃や空気の乾燥や冷たさによっても鼻水は出ますね。
その原因は鼻粘膜が刺激されるせいですが、では風邪をひくと鼻水が出るのはなぜでしょうか。
私たちは常に呼吸をしていますから、空気が出入りする気道には様々な異物が入ってきます。
だから、鼻毛によって大きな異物の侵入を防ぎ、粘液や線毛によって小さな異物を外に出すという仕組みになっているのです。
それでも防ぎきれなかったウイルスなどの異物が体内に入って感染すると、気道で炎症が起こって粘膜が腫れ、鼻が詰まったり、鼻水が出たりするというわけ。
鼻水には、ウイルスや細菌などの異物を外に追い出すという役目があります。
鼻水は、透明でサラサラした「水様性鼻汁(すいようせいびじゅう)」のこともあれば、黄色や緑色でドロドロとした「膿性鼻汁(のうせいびじゅう)」のこともあるでしょう。
黄色や緑色の鼻水は、ウイルスや細菌と戦うために血液中から出てきた白血球とその壊れたもの、ウイルスや細菌の死骸を含んだ液体です。
最初は透明だった鼻水の量が次第に少なくなり、色がついてきて治るのは普通ですから心配ありません。
鼻水をすすると炎症が長びくのですすらないよう伝え、鼻をかめる子は頻繁にかませて、鼻をかめない子は大人が取ってあげて、鼻腔から取り去ることが大切です。
鼻水を取る器具には、スポイト式やストロー式、電動式などがありますが、どれが最もいいということもないので使いやすいものにしましょう。
上のイラストのようにティッシュペーパーを縦4分の1に折って片手に掛け、子どもの鼻の下に当てて、ティッシュだけ下へ引っ張ることで取る方法もあります。
鼻のかみ方を教えるには、鼻の穴を片方ずつ押さえてティッシュを当てて「ふん、して」などと言ってみてくださいね。
ただし、色のついた鼻水が1週間以上続く場合は、抗菌薬を飲んだほうがいいこともあるので、小児科や耳鼻科を受診してください。
医療機関では、鼻水の吸引が行われたり、抗ヒスタミン薬という鼻水や痰の分泌を抑える薬、抗菌薬などが処方されることがあります。