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公開 2017年09月08日  

子どもに良いアプリ・おもちゃの選び方のコツは?工学博士が徹底解説!

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前回の記事では、これからの時代を生き抜く子どもたちに必要となる「21世紀型スキル」と呼ばれる新しい力についてお話を伺いました。実際にわが子の「21世紀型スキル」を育むために親はどのように関わればいいのか。
「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」の著者で3児のママでもある五十嵐先生の実体験とともにお話を聞いてきました。

研究者として、3人の子どもの母として考える、これからの教育。

——大学の先生と、3児の母。その両立をしながら、さらに「子どもの教育」に意識を向けるために、どんな工夫をしていますか?

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そうですね。本当に仕事に育児にと忙しい毎日です。

ただ、時間がない中でも、「子どもと向き合う時間をちゃんと取りたいな」とは感じていて、最近工夫しているところとしては、「リビングに置くおもちゃ」ですかね。


——リビングに置くおもちゃ、ですか?

季節のお洋服を入れ替えるように、リビングに置くおもちゃを入れ替えているんです。

「ちょうど良い年齢になってきたからこっちで遊ぶかな?」みたいな感じで、置くおもちゃを選んでいます。

子ども部屋よりもリビングにおもちゃがある方が、子どもたちも自然に遊び始め、私もその様子を見ることができるんです。

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長女が生まれたので、小さいブロックを片づけ、昔使っていた大きいブロックを出してきたところ、 兄たちがダイナミックなものをつくり始めた。遊び方もおもちゃによって変わる。(五十嵐先生提供)


兄弟を比較するわけではありませんが、やっぱり性格も好みも違いますね。

「お兄ちゃんはこのくらいの時にこういうもので遊んでいたけれど、この子は遊ばないな」という違いを見ながら「今の時期なら何をこの子に与えたら興味を持つかな?」と試行錯誤するのがすごく面白いですね。


一緒に遊んでいるとそういう変化に気づくことができるのですが、でも仕事が忙しい時期は、まあ、難しいですね…(笑)。


——「デジタル教育」の専門家なので、やっぱりお子さんたちにもデジタルデバイスを活用した教育や遊びを行っていらっしゃるんですか?

専門家だからといって、いつもデジタルで遊ばせているわけではないですよ(笑)。

さまざまな遊びの中の1つとして、「デジタルデバイスを使う」という選択肢もあっても良いんじゃない?という考えです。

私も夫も同じIT分野の専門家なんですが、夫は「子どもはデジタルデバイスを使わずに、外でいっぱい遊んだ方が良い!」という考えなんです。

だから平日も土日も、子どもたちは自然とお父さんがいる間はデジタルデバイスを使わないようになりました。

土日は公園に遊びに行ったり、部屋で積み木で遊んだりという時間を楽しんでいますよ。
たくさんの遊びの中に少しデジタルな時間があるかな、という感じです。

これからの時代を生きる子どもたちに必要な力を伸ばすために、親としてできること。


前回お話した「21世紀型スキル」はあくまでも初等教育〜中等教育に関する目標として設計された指針なので、子どもがごくごく小さいころから「21世紀型スキル」ばかりを意識する必要はないと思います。

一方で、幼児教育の役割は人生の土台づくりだとされています。
将来の「21世紀型スキル」に結びつくような「好奇心」や「興味」といった部分を、遊びを中心に育てていくことが大切ではないでしょうか。

こうした幼児期に育てたいスキルを「非認知能力」とも呼びます。

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「好奇心」を引き出すために。幼児期にできる方法とは?


——「好奇心」や「興味」といった部分を遊びを中心に引き出すには、どんな方法がありますか?

おうちの中でも外でも、デジタルに限らずいろんな遊びがありますよね。

「あれやってみない?」と子どもを誘った時、嫌がっている場合には無理強いせず、子どもが「それ面白そう!」と興味を持つような働きかけをしてみる。

それで駄目だったら、お母さんがやってみて「一緒にやる?」という感じで一緒にできると、そこから新しい遊びが始まることも考えられます。

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最近は外で遊ぶ時に「お砂で汚れちゃうから」と尻込みするお子さんが多いそうです。

でも「お砂場で遊ぼうよ」と言うと嫌がる子も、「お山をつくって水を流そう」と誘うと興味を持ってくれることもあります。

——言い方を変えるだけで、子どもの興味関心の持ち方が変わるんですね。

そうなんです。
一度泥んこになってしまえば、次から少しくらい砂がついても怖くなくなる。

そういったハードルを乗り越えることを手助けしてあげることが、子どもの好奇心を育むことに繋がるんじゃないかと、自分自身子育てをしていて感じますね。

また「何で遊ぶか」を考えるだけでなく、「どのように遊ぶか」を考えることも重要です。

——どういうことでしょうか。

例えば、我が家の上の8歳のお兄ちゃんは外遊びがちょっと苦手。

でも一人で黙々と手作業するのが好きなんです。
今では弟のためにペーパークラフトの型紙を作ってあげることもあります。

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最近、<こどもちゃれんじ>を気に入った次男のためにしまじろうのペーパークラフトをつくる長男。(五十嵐先生提供)


外遊びが大切だと思うからといって無理やり「お砂場で遊びなさい」というようなことはせず、家で何かを作ることが好きならそういう力を伸ばしていこう、という感じで接してきた結果かなと思います。

——好きなことを伸ばすことが、さらなる好奇心を育むことに繋がるんですね。
でも逆に、好きなものに接しているだけで良いのかな…、という心配もあるのですが。


そうですよね、長い時間遊んでいるとダラダラしてしまうこともありますよね。

実は、「時間を区切り、目標をはっきりさせる」ことで、子どもたちは集中して取り組むことができるんです。

さらに子どもが何かを達成したときは、褒めることが子どもの自己肯定感を高めることにもつながります。

加えて褒める時には、「どうしてできたと思う?」と問いかけてみるのもおすすめです。

「どうやって」「どうして」できたかを自分の言葉で表現することで、次にやるときにどうしたらもっとうまくいくかを考えることができます。

子どもに良いおもちゃ・教材を選びたい…!チェックするべきポイントってあるの?


——親の声かけで、子どもたちの姿勢が変わってくるんですね…。
でも、遊びや学びの選択肢が私たちが子どもだった時より増えていて、選ぶのが難しいとも感じてしまいます。


確かにデジタルデバイスもいろいろな形がありますし、どんなアプリで遊ぶかという選択肢は日々増えています。


そんな時は、6つのチェックポイントに沿って考えてみると良いかもしれません。

以下の図はアプリを選ぶ基準ですが、デジタルデバイス以外の通常のおもちゃを選ぶ際にも参考になるのではないでしょうか。 

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参考:「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新社)


——いろんな視点からチェックすることができるんですね。

もちろんチェックポイントを知っていても、親が完璧に実践するのは難しいでしょう。

プロの教育を受けた保育士や幼稚園教諭であっても、子どもとの関わり方や遊びを考えるのは難しいものです。


でも親だからできることもあると思うんですよね。


——例えばどんなことでしょうか?

それは子どもが遊んでいる最中の様子をじっくり見ること。

子どもが絵本をつくって遊んでいる時、「絵本をつくっているんだ」とただなんとなく見るだけではなく、その絵本を読み聞かせしてもらったり、一緒に話したりしてみると「この子は今こういうことが好きなんだ」ということ以外にもさまざまな気づきがあります。

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えほんづくりアプリ「ピッケのつくるえほん」での一画面。(五十嵐先生提供)

先日、次男が作った絵本では、主人公が坂道を転げ落ちるところで、最初は悲鳴を「ちやー」って書いてありました(笑)。
「きゃー」と書きたかったのかもしれません。

そろそろひらがなをちゃんと教えようとか、「ゃ」の使い方が分からないんだなとか、そういった気付きにもなりました。


——遊び一つとっても、親の目線でいろんな発見があるんですね!

特に幼児期はお勉強の時間をわざわざとるのではなく、遊びの一環として学習効果も考えつつ、なるべく遊んでいる様子を見たり一緒に遊んだりということを心がけています。

これは、親だからこそできることなのかなと思います。

——家庭での遊びの中でどのような学びを生めるか、親子の関わりが大切になってくるということですね。
それでは次回はデジタルの専門家である五十嵐先生にこそお伺いしたい、ママ・パパの素朴な疑問について伺いたいと思います。


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みなさんのおうちで実践している「おもちゃの選び方」について教えてください!


今回は、親の声かけや子どもの見守り方について、五十嵐先生の実体験を踏まえてご紹介していただきました。

コノビーでは今回、自由に読者のみなさんが投稿できるFacebookページをつくりました。
Facebookページには「グループに参加」のボタンを押すと参加することができます。
※ 承認まで時間がかかることがあります。ご了承ください。

そこでは「子どものおもちゃ選びについて何か気をつけていることはありますか?」をテーマにみなさんの意見を募集します!

もちろん「3歳の子どもにはどんなおもちゃ・アプリがいいの?」などの質問も受付中。
五十嵐先生も登場して、あなたの質問に答えてくださるかもしれません!

感じたことや疑問に思ったことなどを、ぜひ教えてくださいね。



イラスト:うえたに夫婦


※ 今回の記事は五十嵐悠紀先生への取材を元に、記事について監修いただいております。
※ 内容につきましては一部個人の見解を含みます。
※ 「こどもちゃれんじ」と非認知能力の因果関係を保証するものではありません。

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