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公開 2017年07月21日  

手のかからない子がいい子だなんて、そんなのは大きなまちがい。

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書籍「子育てを元気にすることば-ママ・パパ・保育者へ。」(著:大豆生田啓友)より、全3回にわたり、“気持ちをラクにしてくれるようなことばとエピソード”をご紹介します。第3回目は、「手がかかる子」について。



地域の子育て支援センターで、1歳のお子さんがいるママと話した時のことです。

そのママはわが子の子育てについて、とても悩んでいました。



スタッフの声かけの下、みんなで輪になって親子遊びをしようとすると、その子はいつも一人だけ嫌がり、泣いてパニックになってしまうそうです。

そのたびに「どうしてうちの子だけ」と、つらい気持ちになると話してくれました。そして、「自分の育て方が悪いのだろうか」と毎日悩み、落ち込んだ気持ちになると言いました。



子育てをしていると、「なぜ、子どもが自分の思い描いていたように育ってくれないのか」と悩むことが、誰にでもあるものです。

中には、そうした姿にいら立ち、大きな声で怒鳴りつけてしまうこともあるかもしれません。また、うまく育てられない自分やすぐにいら立つ自分が嫌になってしまい、自己嫌悪に陥る方も少なくないようです。

程度の差はあれ、子育てをする多くの親が通る道です。特に子どもに「育てにくさ」を感じる場合、あるいは、イヤイヤ期の親にとってはつらい時期が長く続き、疲れ果てている方も少なくありません。

それでも、この1歳児のママは、「こっちの方がいいの?」など、その子の思いに添おうと丁寧に声をかけていました。本当に素晴らしいと思いました。

「うまくいかないことも多く、今は大変だけれども、そのように応じていることが長い目で見た時に、その子にとってはとても大切な意味があるのではないか」と私はお伝えしました。


ここで一つ紹介したいのが、児童精神科医の佐々木正美さんの言葉です。

「手のかからない子がいい子だなんて
そんなのは大きなまちがいですよ。
人生のどこかで、
親は子どもにたっぷり手をかける必要があるんです。
小さいころに手をかけさせてくれる子が
本当はとてもいい子なんです。」


佐々木さんは乳幼児期は手がかかって当然と言います。

さらに、「手がかからない子」が良いわけではないとも述べています。確かに、「手がかかる」ということは、親からたくさん「手をかけてもらえる」ということです。



たくさん愛してもらった子は将来、他の人にも愛を持ってかかわれるようになるのだと思います。

だからこそ、親自身がつらくならないように、周囲からしっかり支えられることも、とても大切なのです。






佐々木正美『「育てにくい子」と感じたときに読む本』1頁、主婦の友社、2008年


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このお話が収録されている、「子育てを元気にすることば」はこちらから購入できます。

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