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公開 2015年03月30日  

ユダヤ人の子育て~子どもには叱らずにやさしく教えるのが良い理由~

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エジソンやアインシュタイン、ピカソ、マルクス・・・彼らを輩出したユダヤ人は、世界人口のわずか0.2%しかいないにも関わらず、あらゆる産業に跨って世界で突出した存在になっています。彼らがこれほどまでに影響力を持つようになった手がかりの一つに、家庭での「子育ての仕方」があります。ユダヤ式の子育てから見えてきた、彼らが”子どもを叱らない”理由は果たして・・!?


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かの有名なエジソンやアインシュタイン、ピカソ、マルクス・・・彼らに共通する点は、彼らが「ユダヤ人」だということ。ユダヤ人は、世界人口のわずか0.2%しかいない少数派集団であるにも関わらず、科学者や企業の創業者など多数の有力者を輩出し、あらゆる産業に跨って世界で突出した存在になっています。アメリカやヨーロッパなどの先進国全体から見ればごく少数民族の彼らが、これほどまでに影響力を持つようになったのは、一体なぜなのでしょうか。



その手がかりの一つとして、ユダヤ人流の家庭での幼少期からの「子育ての仕方」がありました。果たして、ユダヤ流の子育てはどのような特徴があるのでしょうか。



今回は、特に子どものしつけ方に注目して取り上げました。あなたは、子どもが間違った行動をとってしまった時に、いつもどうしていますか?

ここで問題です!

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上のAとCは、子どもに対して要求に従わせたり、頭ごなしに叱るという対応の仕方です。



これに対して、Bの場合は、子どもに対して冷静に困っている状況を伝えた上で、選択肢を提示し、子ども自身に判断をゆだねています。これはユダヤ人の子どもに対する対応の仕方です。小さな子どもでも一人の人間として尊重しながら、丁寧に状況を説明し、子どもが自分で決めて、自主的に動くように話をするそうです。

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実際にこういった場面では、Bのように、とっさに親が子どもを叱りながら、親が代わりに相手に謝ってしまいがちですよね。



正解はAです。ユダヤ人の場合は、親が子どもを叱ることもしなければ、代わりに謝罪することもしないのだそうです。そして、子どもが素直に自分で謝ることができた場合には、大人は、謝ることを学んだ子どもに対して褒めてあげるようです。そうすることによって、子どもは相手に迷惑をかけた時には「ごめんなさい」と謝るのが望ましいんだな、と徐々に学んでいくんですね。

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答えはCです。まずは、親は言葉と態度で子どもを信じていることを伝えます。そして、子どもが問題を起こした時には、子どもの意見に耳を傾けます。さらに、親の役割は、子どもを叱ることではなく、子どもの間違った行動を子ども自身に理解してもらって、正しく導くことだとユダヤ人は考えています。そのため、優しい言い方でウソをついたらどのような結果になるのかを子どもに気づいてもらうのだそうです。

子どもを叱ることは、人間の本能に逆らったしつけ方

日本のみならず、世界には子どもが間違ったことをすると、叱ったり、酷い場合だと暴力をふるう親が多々いるようですが、強制的に子どもに従ってもらう行為は即座には有効でも、子どもの心を傷つけたり、親への反抗心を芽生えさせるという逆効果につながることを認識する必要があります。



ユダヤ人によると、人間の行動には二つの基本要因があり、一つは喜びや楽しみを得るための行動ともう一つは、苦痛を避けるための行動をするんだそうです。そして、この原則は当然ながら子どもにも当てはまるので、子どもを叱れば叱るほど、子どもは悲しい思いをし、親との接触を避けようとしたり、反抗心が大きくなるといいます。



あなたは、子どもがあなたを嫌って、避けて欲しいと思いますか?

子どもはできなくて当たり前

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ユダヤ人は、子どもは何もできない状態で生まれて、成長に応じて一つずつできるように導いてあげるのが親の役目だと認識しているので、子どもに比較的寛容なようです。また、初めから何でもできる人も、一度教わっただけではすぐにできない人も、親として「子どもが理解できるようになるまで、辛抱強く教え、待つ」という姿勢で接するといいます。



親として「良い子」に育てたいと力んでしまうと、つい子どものダメなところばかりが目について落胆してしまいがちですが、元気に動き回ったり、騒ぐのが「子どもの本来の姿」なのだと認識した上で、子どもが元気で良かった、と広い心で受け止めるように意識してみてはいかがでしょうか。



ダメな子なんて一人もいないのです。子どもという他人を都合の良いように「変えよう」としても無理なことを認識しましょう。その時々の子どもの自然な状態を受け入れて、寄り添うところから親子の絆は深まるのかもしれません。

ユダヤ人は子どもの人格を否定しない

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子どもの良くない言動を改善するように導くのと、「こんなこともできないなんて、なんてバカな子なの」と子どもの人格そのものを否定するのは明確に違うようです。



ユダヤ人は、子どもを一人の人間として対等に尊重した上で、子どもが受け入れやすい言い方をするそうです。例えば、子どもを従わせるような、「~しなさい」という頭ごなしの要求や命令ではなく、いくつかの代替案を提示して、どれを選ぶかは子どもの判断に任せるような言い方をします。



また、何度言っても子どもが教えたことを聞いてくれない時は、親の言うとおりにしてくれない子どもが悪いのではなく、親の教え方が悪いので、教え方を試行錯誤するそうです。例えば、お着替えをする時でも、「右手はこっちだよ」、「左手はこっちだよ」、「左腕はここに入れて、頭はここから通すんだよ」、と普段からちょっとした説明言葉を一言、二言言うだけでも、子どもは多くのことを段々と理解できるようになります。



パパママのみなさんにとって、何といっても子どもの幸せそうな笑顔をみるのが一番の喜びではないでしょうか。子どもとの接し方を工夫しながら、子どもの笑顔と親子の愛情を大事にしていきたいですよね。

[参考文献]

■『ユダヤ人の子育ての秘訣』/原 伸一(著)/ロングセラーズ(2008/06/01)

■『「与える」より「引き出す」!ユダヤ式「天才」教育のレシピ』/アンドリュー.J・サター (著), ユキコ・サター (著)/講談社+α文庫(2010/09/21)

■『ユダヤ式家庭教育<上><下>』/ミリアム レヴィ (著), 母袋 夏生 (翻訳)/ミルトス (1990/05)

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